連載当時、いろいろと反響のあった「美味しんぼ -福島の真実編-」ですが、単行本になったので、読んでみました。
ぶっちゃけ、漫画としては、「面白い?」と聞かれたとすると、なかなか答え難いものがある作品になってました。
まぁ、作者にしもて、今作に関しては「娯楽じゃねーんだよ」という自負があるから、そこらへんは、気にしてないかな?
一方で、山岡と海原の(完全なる)和解が達成されたわけでして、あえて福島を舞台に、そのような大きな展開をもってきたことからも分かるように、作者の並々なら入れ込みようがうかがえます。
物語は、震災から半年後、福島に取材に行くシーンから始まります。
で、以降は、
「現地に行く」
↓
「現地の人に会って、農作物や郷土料理を食べる」
↓
「どうして、こんな事態になっているんだと怒る」
↓
「東電と政府の悪口」
↓
「東電と政府の悪口」
というパターンが続きます。
さて、ラストの「福島を捨てろ」と言わんばかりのまとめ方で、作品及び作者が炎上してしまいました。
そこだけ報道をされたので、未読の方は、全体的に過激なことを主張していると思われているかもしれませんが、そんなことはないです。
ラスト以外では、現地で必死に生きる人の声を伝えようとする姿勢。
度々出てくる放射能やらセシウムなどの数値について、正直なところ、僕は客観的な判断を下すほどの知識は持ち合わせてはいないです。
なので、作品内での指摘が、適正なのか、過剰・誇張なのかは分かりませんが、しかしながら、ある地域に住む人々が、数値について、一々気にしなければいけないような状況下に置かれていること事実なわけでして、あらためて考えさせられます。
最終的な(作者&作品の)結論は、海原雄山の言葉、
低線量の放射線は安全性が保証できない。国と東電は福島の人たちを安全な場所に移す義務がある。が、全てを語っております。
私は一人の人間として、福島の人たちに、国と東電の補償のもとで危ない所から逃げる勇気を持ってほしいと言いたいのだ。
これが、まぁ炎上したわけでして・・・・・・・。
リスクがゼロであることを証明することはできない以上、安全な場所に移るべきだ、ということなんだけど、うーむ。
いくらなんでも過激なのでは?
あんた(作者の雁屋哲さん)は金もあって、仕事も続けられるからオーストラリアに移住したけど、普通の人は、そうはいかんのよ・・・・・とは思ってしまう。
が、「絶対に大丈夫と保証できるの?」と詰め寄られたら、被曝量について正確な知識などない僕には、返す言葉ないわけでして。
「なんとなく皆が大丈夫と言っているから、移住までは必要ないんじゃないの?」と思っているに過ぎない。
「リスクをゼロにする、ということ自体がナンセンス」と反論もできるけど、そもそも、あの事故がなければ、余計なリスクを背負い込む必要はなかったわけでして。
答えのある話じゃないからね、難しいです・・・・・・(と、逃げておこう)。