2016年12月18日日曜日

「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」



「ローグ・ワン」、初日に勇んで3D吹替版を見てきました。

感想を一言でまとめると、「こんなもんかー」。

昨年公開の「エピソード7」と同じく、主人公は女性ですが、スピンオフらしく、ちょっと癖のあるキャラクター。
これが上手に活かされているなら、映画として文句なく成功したのでしょうが、なんかイマイチ。
「スターウォーズ」らしく、父親との確執を抱えているのだけれども、あっさりと和解して、以降は、単純な熱血キャラに。

そもそも、二時間完結の物語にもかかわらず、キャラが多過ぎ。
なので、主人公の掘り下げも不十分だし、脇役たちは、それ以上に薄くなってしまっている。

ジェダイがいない物語なので、当然、ライトセーバーが使えない。
そういう制限の中で、ドニー・イェンの座頭市は、まぁ、やり過ぎ感はあるけど、悪くなかったけどね。

だからこそ、もう少し、奥行きを持たせるようなエピソードなり、活躍の場があったらと思ってしまう。


結局さ、こんなにキャラが多いのは、玩具やゲーム展開を見越しての結果なんだろうなぁ。

そりゃ、大作映画になればなるほど、マネタイズの重要なのは分かるけど。

どうにも、「無理に詰め込んだな」という印象が拭えないです。


そして、最大の謎は、映画史に残るヒールであるダース・ベイダーの扱い。
なんで、主人公や、その仲間たちと絡ませない?

暗黒面に落ちたダース・ベイダーが、これでもかってくらい凶悪に暴れることの出来る、せっかくの機会なのに。

そして、ラストの戦いにおいて、主人公がクレイジー・クライマーになって、全く肉弾戦なしって、どうなの?
子供の頃から鍛え込まれた、凄腕の兵士という設定なのに。


・・・・・と、ちょっと厳しい意見を書きましたが、大人向けというか、ビターというか、ナンバリングでは出来ないような個々のキャラクタの報われない悲劇への収束は、個人的には好きです。

それだけに、「うーん、もう少し、やりようがあった気がするなー」と思ってしまいます。


邦画だったら、「こんだけの大作を、一本の映画ではもったいないから、前後編にしちゃおう!」って、やっちゃって、なんだか微妙な作品になってしまうのだろうけど、「ローグ・ワン」は、それこそ、二部作にしたら、良かったんじゃねーのかなー。

または、子供が泣こうが喚こうが上映時間を三時間くらいにするとかしたら、重厚な大人向けの「スターウォーズ」が出来たと思うんだけどなぁ・・・・。

by カエレバ

2016年11月28日月曜日

なんとなく見てきた「聖の青春」



現在の日本で、現役でありながら既にレジェンドというと、野球のイチロー選手と、棋士の羽生さんでしょうか?

七冠だもんね。
漫画よりも漫画みたいな強さでして、その偉業があるからこそ、「月下の棋士」における滝川名人にしろ、「3月のライオン」における宗谷名人にしろ、逆輸入でリアリティが生まれるというか、有り様が自然になってしまうというか。

その存在感たるや、未だに堂々としたものがあります。

で、その全盛期の羽生さんを苦しめたと言われる、村山聖棋士の映画が「聖の青春」になります。

原作は、大崎善生さんによるノンフィクション「聖の青春」。
漫画化、舞台化もされて、今度は映画。


平日の昼間に映画館で鑑賞したのですが、観客は、まぁまぁはいってました。
時間帯もあるのでしょうが、若い人はおらず、だいたい六十前後で、男女半々。


内容ですが、一言であらわすと、「天才の夭折モノ」。
ぶっちゃけ、泣けるに決っている。

後は、まぁ、主人公に、どこまで共感やら同情、憐憫が生まれるかなんだけれども、・・・・・・病気のせいなんだけれども、「怪童」と呼ばれた容姿。

「3月のライオン」の二階堂のようなキャラなら愛されもしようが、映画内では、独り善がりのこだわりをもった傲岸不遜で、人を人とも思わない人間として描かれています。

難病を患っているのにお酒やジャンクフード大好きとか、少女漫画が趣味で女性には奥手という側面は、料理の仕方によっては、「愛くるしい」と観客に思わせることができるのでしょう。(たとえば「寅さん」のように)
でも映画では、まったく同情ができない困った人間として描いているのが、偉いようなムゴイような。

場面によっては「キモイ」キャラになっていまして、まぁ作り手としては、リアルを追求した結果なのか、故人に敬意を払ったからなのか。(漫画っぽくなることを回避したかった?)


主人公が、そんな感じなので、カタルシスの得難い映画になってました。


松山ケンイチさんが役作りで激太りしたことが話題でしたが、出演者全員が適材適所で熱演。

なんだけれども、一方で、師弟愛やら親子愛、羽生さんとのライバルだからこその心の交流とか、決して詰め込めすぎてはいないけど、どこか焦点がボケてしまっているような・・・・・。
ここらへんの加減は、難しいところなんだけれども。


「意外」と言っては失礼なのだろうけど、東出昌大さんの羽生さんの役作りは、すごかったね。
イケメン若手俳優にはありがちだけど、「人気はあるようだけど、どれやっても同じ人にしか見えない」というのが東出さんのイメージでしたが(後は、杏さんの旦那)、今作では、羽生さんよりも羽生さん。
歩き方まで似せていました。


まぁ、かわいそうな話ではありますが、村山聖棋士の人生が未だに語られるのは、羽生善治というレジェンドがあってのこと。

山本おさむさんの漫画のタイトルは、「聖 -天才・羽生が恐れた男-」だもんね。

映画内でも、主人公・聖は、自分の命が長くないと分かっているから、羽生さんとからの一勝は、普通のプロ棋士の二十勝分に値すると述べている。
短い人生かもしれないが、將棋の歴史に燦然たる名を残すことになる羽生さんから勝利をもぎ取ることは、この世界に自分という存在の爪痕を残す最善の方法であるわけでして。

その「あがき」が、まぁこの映画の肝。

ならば、主人公と同等くらいに、羽生さんの完成度が求められるわけでして、そりゃ、力も入るわけだ。

羽生さんの、あの独特な聖人的空気感は、大変素晴らしく再現されていました。
(が、勝負師の面は、ちょっと弱かったかな? と思わないでもないですが)

聖の青春 (講談社文庫)
by カエレバ

2016年10月16日日曜日

「ニュースの真相」、製作者の思いは分かるが


まぁ、こんなもんか


「ニュースの真相」を見てきました。

アメリカでは2015年公開で、日本では翌年に持ち越し・・・・・という流れからすると、「あんま話題にならなかったな(=ヒットしなかった)」というのが透けており、正直なところ、あんまり期待はしておりませんでした。

で、見終わった感想ですが・・・・・・、案の定、「こんなもんか」という感じ。


あらすじ


2004年、二期目を目指す共和党ブッシュ大統領と、それを阻止すべく、民主党ジョン・ケリー氏は、激しい選挙戦を繰り広げていた。

そんな中、CBSニュースでは、ブッシュ大統領の軍歴詐称疑惑を報道する。

大きな話題となるのだが、しかし、番組の中で提示された証拠が「捏造ではないか?」という指摘がされる。

ニュースを報道した現場では反論を試みるのだが、徐々に劣勢に立たされて・・・・・。


で、物語は、「ブッシュ大統領の不正を暴くぞー、おぉ!」と現場の奮闘、「ついに報道できた!」と盛り上がるけども、あっと言う間に追い詰められて・・・・・という感じで、流れに起伏があるんだけど、いろいろと盛り込み過ぎなのかな? 登場人物に感情移入し難いのかな? 映画の中では多くのイベントが発生しているのに、見ている方は、なんか平坦というか、平板というか、イマイチ乗れない。

劇中の重要な二人の人物について、他の登場人物が、「彼らは親子みたいなもんだ」と言わせるのは、「それは観客に気づかせるのが重要なのであって、口にしたらお終いでしょ」と興醒めだし、そして、親子的な絆があるようには結局見えない・・・・・。


が、まぁ、最大の欠点は、あまりに「共和党大嫌い!」「保守派のバカヤロー!!」が色濃いことか?(個人的には、共和党よりも民主党の方に頑張って欲しいと思っているが)
だって、ラストシーンでブッシュ大統領の再選が決まって、主人公たちはやけ酒飲んでいるって・・・・・、そりゃ、あんまりだ(分かり易過ぎだろ)。

そんな感じ。
政治色・党派色が強過ぎて、「このお話しって、どこまで信じていれば、いいんだろう?」と不安になるんだよね・・・。


とは言うものの


とは言うものの、まぁ、製作者側の言いたいことも、よく分かるけどね。

民主党ジョン・ケリー氏は、ベトナム戦争で叙勲している。
選挙戦では、その叙勲すらも中傷に遭ったようだけれでも、従軍した事実は揺るがない。

に比べて、当時(今も?)、イラクとアフガンという孫子もビックリの二正面での戦争をしていながら、当の最高指揮官であるブッシュ大統領は、ベトナム戦争には従軍していない。
しかも、政治的な力をもってベトナム行きを免れたという客観的証拠はともかく、状況証拠は数多上がっているわけで。

で、2000年にしろ、2004年にしろ、大統領選挙は、かなりの接戦。
2000年の場合は、ブッシュ氏は選挙人では勝ったものの、総得票数では民主党のゴア氏に負けているわけで、・・・・・熱心な支持者からすると、大統領選出過程も納得できないし、最高司令官としても納得できない。

そんな人間が大きな戦争を始めて国をメチャクチャにしたわけで、もし「軍歴の疑惑」が、ちゃんと報道されていれば、こんなことにはならなかったはず、・・・・・・という思いが強いんだろうし、だから、こういう作品になったんだろうなぁ。


ネットの台頭


ブッシュ大統領の軍歴疑惑報道はデタラメ--ブロガーがCBSに異議申し立て

しかし、この映画を見て、改めて思い出したのだが、CBSニュースの顔であるダン・ラザーを引きずり下ろしたのは、ネットなんだよね。

もう10年以上前の出来事だけど、以降の時代を象徴するような事件だったんだなぁ。


そして、主人公が、「小さな瑕疵をあげつらって、問題の本質から目を背けている(本質から目を背けるように仕向けている)」、つまりは、「木を見て森を見ず」だというラストでの主張も、現代的だね~。


現在絶賛吊し上げ中の豊洲移転問題なんかも、話題が「盛り土」に集約されてしまって、「なんだかなー」という感じ。

他にも、従軍慰安婦問題における朝日新聞やら、南京事件、沖縄の米軍基地、原発等々、左右・保守革新を問わず、枝葉末節をあげつらって、「ほれ、みたことか!」と勝どきをあげている姿を、しょっちゅう見かけるのだが、さて、相手の主張の一部分を否定できるからと言って全体を否定できるわけでもないし & 自説が全肯定できるわけでもない。

なんだけれども、「政治」になると、局地戦の限定的な勝利も大勝利と宣伝され、寸土の譲歩ですら無条件降伏と非難されてしまうわけでして、結局、殲滅戦の後に残るは、「なんだか、誰も幸せになってない気が・・・・」という焼け野原。

なんとなーく、漠然と、ネットの普及によって、こういう傾向は促進されてしまったような気がするけど、さて、どうなんでしょう?


まぁ、ともかく、そういう現代的な課題・風潮の描写もあるだけでに、ちょっと惜しかったなぁ・・・・。

大統領の疑惑
by カエレバ

2016年10月3日月曜日

クリント・イーストウッド監督「ハドソン川の奇跡」


いつ死ぬんだよ


現代の馬援と言えば、クリント・イーストウッド。

御年86才。

まだ新作映画をつくるよ・・・・・・。

前作、「アメリカン・スナイパー」も、とても80を超えた監督の作品とは思えない、現代の映画でした。
クリント・イーストウッド「アメリカン・スナイパー」の感想


そして、今作は、2009年にアメリカで起こった「USエアウェイズ1549便不時着水事故」を扱っています。
USエアウェイズ1549便不時着水事故 - Wikipedia

たった七年前の出来事。

まぁ、ほんと、「老いてはいよいよ壮(さかん)」です。(下衆の勘繰りだけど、スタッフが優秀なんだろうなぁとは思ってしまうけど。まぁ、その優秀なスタッフの中心に、たとえ象徴としても存在していることで、名作が生まれるのなら、それはそれで、スゴイのだが)

バランス感覚


クリント・イーストウッド監督と言えば、ゴリゴリの共和党支持者として有名です。(ハリウッドでは、民主党支持が優勢で、珍しい存在なのでは?)

クリント・イーストウッドがトランプ氏支持 「軟弱な時代だ。誰もが発言に細心の注意を払う」

民主党憎しで、トランプ氏でも許容してしまう、「器の大きさ」というか、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」というか、「敵の敵は味方」というか。(THE共和党であるレーガンの後継者として共和党大統領となったパパ・ブッシュ氏も、「こりゃ、駄目だ」と匙を投げましたが・・・・・・。■ブッシュ父「クリントン氏に投票する」 共和党の元大統領が異例の告白)


政治的には、ちょっと偏ったところがあるんだけれども、そして、年を取れば、より偏狭になるものだが、つくる映画は、けっこうバランスがとれているんだよね。

日本でも、たまぁーに、保守色濃厚な作品がつくられることがあるけど、所詮、国内限定にならざる得ない。

それに比べると、クリント・イーストウッド監督の作品は、日本人でも十分に理解できる普遍性を持っているわけで、なんだか不思議。
「優秀なスタッフが、下支えしてるんじゃねーの?」と勘繰りたくなるわけです。

あらすじ


で、「ハドソン川の奇跡」。原題は、機長のニックネーム「Sully」。
まぁ、分かりやすいタイトルが求められるし、「Sully」では意味分からんなのだが、それにしても、身も蓋もない邦題だね。

作品の粗筋。
バードストライクで飛行不能になった飛行機を、機長は見事にハドソン川に着水、奇跡的に乗客乗員に死者を出すことはなかった。

偉業に対して、マスコミは賞賛を惜しまない一方で、政府は、「本当は空港まで戻ることが出来たのに、機長の判断ミスで着水したのではないか?」と疑い始めるのであった・・・・。


「父親たちの星条旗」「アメリカン・スナイパー」でも、一般人が、英雄と讃えられる一方で、歴史・社会・政府に翻弄されるという物語でした。

「硫黄島からの手紙」も、栗林中将はモンスターや英雄というよりも、一人の人間として描かれていましたし、「インビクタス/負けざる者たち」のマンデラ大統領も、似た感じかな? そもそも、主人公は、マンデラ大統領ではなく、(一応は)選手だし。

「ハドソン川の奇跡」も、そんな流れの作品です。


映画の主人公を演じるのは、善人「トム・ハンクス」。

突然の大衆からの英雄視に戸惑いながらも自分を見失ず、家族への愛を忘れず、驕ることなく、かと言って卑下することもない機長が描かれています。
こういうのが、「宣伝くせー」とはならず、「ほっこり」として受け入れられるのも、さすがトム・ハンクスさんです。


でも、映画内では、分かりやすいニコニコ顔は封印。
敢えて渋面ばかり、・・・・・・でも、善人という演技。ここらへんは、ちょっとヒネったね、という感じ。

なんで、そんな顔になってしまったかと言うと、絶えず政府からミスを疑われているから。

偉くなくとも


主人公は、アメリカ社会において、妻を娶り、子供をもうけ、40数年間、パイロットして粛々と仕事をこなしてきた。
それは、英雄的な行為ではないかもしれないが、アメリカ社会に限らず、ある地域・組織・団体においては、決して恥ずべき経歴ではない。

そして、その地道な積み重ねがあって、「ハドソン川の奇跡」を成し遂げることが出来た。
不幸中の幸い。

しかし、劇中において、機長を追及する側の人間たちは、その粛々と生きてきた彼の人生を、まったく省みようとはしない。

単純にコンピューターのシュミレーションから、「こういう可能性があったはず」と責め立てる。(現代的な世知辛さと言いたいところですし、映画内でも、どことなくそんな雰囲気ですが、まぁ、いつの時代も似たようなもんでしょうね・・・・・・)

よしんば彼の判断が間違っていたとしても、最悪の事態を想定して、現場で出来うる最高の判断を下しに過ぎない。
己の技量を最大限に発揮しての着水だったはず。


ここらへんの、

・「偉くなくとも正しく生きる」を地でいっていたような人物

と、

・傲慢な政府(官僚組織)

の対比は、すごく健全な保守思想を背景にしているようなぁー、個人的には思いました。

で、まぁ最終的には、機長の昔ながらの経験やら知見の積み重ね(過去こそが大事という意味での「保守」ですな)が勝利するんだけどね。


上映時間は90分。

物語上、盛り上がるのは、当然、「飛行機が不調となり、川に着水するまでの流れ」。
普通に考えると、冒頭か最後に挿入するしかないように思えるんだが、映画では、ある程度物語が進行してから、不時着のシーンが挿入される。

しかも二回も。

普通、こんなことしたら、「なんだか冗長だなー、繰り返す必要あるの?」と思ってしまうけど、「機長の判断の、なにが問題とされているのか?」が明確になってから、再度の着水シーンになるので、ちゃんと緊張感を伴って見ることが出来る。

ここらへんのさじ加減も、絶妙ね。

で、映画内では、家族愛を描きつつ、夫婦愛で留めて、無理に娘達を絡ませないあたりも、「分かっているなぁー」。

なんだけれども、あんまりにも、まとまりが良くてねー。
そのせいで、逆に、小品に留まってしまった感じがします。

ハドソン川の奇跡
by カエレバ

2016年9月22日木曜日

映画「ダーク・プレイス」の感想


シャーリズ・セロン主演の、ミステリー映画「ダーク・プレイス」。

そんな期待しないで見に行ったら、やっぱり、「まぁこんなもんか」くらいに収まる感じの作品でした。

つまらなかったわけじゃないんだけどね。

こんな感じの物語


シャーリズ・セロン演じる女主人公は、小さい頃に、実の兄によって家族を惨殺されてしまったという、悲惨な過去を背負っている。

だが、この「悲惨な過去」のおかげで、多くの寄付が全米から集まっており、悠々自適に暮らしていた。

が、それも、「これまでは」のお話。

毎日楽しく暮らしていたら、当然、お金もなくなるわけで。
人々の記憶も薄れ、かつて発売した自伝も、もう話題にはならず。

いままで働いたこともないので、今更、就職なんてこともする気がない。
どうにかならんかと困っているところに、「殺人クラブ」という奇妙なサークルから、過去の事件について語って欲しいと誘いを受ける。

家族の事件を思い出すのは本意ではないが、背に腹は代えられない。
報酬の為に、「殺人クラブ」に赴き、事件と改めて対峙することになった主人公。

彼らと接しているうちに、事件は報道されているような単純なものではなかったことを、知ることになる・・・・・・。

終わってみれば


まぁ出て来る人物が、どいつもこいつもダメ人間ばっか。

で、そいつらと同じくらいダメ人間の主人公が、事件に関わった人物たちに当時の話を聞きに行く。
すると、次に会うべき人物のヒントをもらう。
で、その人に会うと、次のヒントが・・・・・。

その合間合間に、事件が起きる前の、過去のシーンが差し挟まれる。

最初は混乱したけど、最終的には、「あぁ、そういうことだったのか」と腑に落ちる・・・・・・・、だけれども、まぁ、終わってしまえば、結構「予想通りね」というオチ。
無理などんでん返しをすると、それはそれで、興醒めだから、程よいバランスなんだろうけど。

それにしても、本筋とは、まったく無関係と思われていた事件が唐突に絡んで、さらに犯人判明って、・・・・・・うーむ。
原作の方は、きっと、丁寧に伏線を貼っているのだろうと思われますが。
二時間映画だから、本筋を追うのが精一杯なんだろうなぁ。


シャーリーズ・セロンと言えば、「モンスター」での熱演(怪演)が印象深いから、そんなの期待していたけど、まぁぶっちゃけ、今作は普通のサスペンス映画でした。

ダーク・プレイス [Blu-ray]
by カエレバ

2016年9月21日水曜日

萌えアニメの名工房「京都アニメーション」が送り出した「聲の形」



泣くな


かつて、鳴り物入りで掲載されたオリジナルの「聲の形」(短編)は、「マガジン」を購読していたので、リアルタイムで読みました。

少年誌でありながら、「障害者」への「いじめ」を扱った点は、「英断だなー」とは思ったけど、作品としては、「まぁ佳作かな」といった程度の感想でした。
その後、購読を止めてしまったので、改めて連載された長編バージョンの方は、読む機会がなく現在に至る。

で、「あの京アニがアニメ化する」と聞いたときは、「英断だなー」とは思ったけど、まぁそれ以下でもそれ以上でもなく。正直、大して期待はしていませんでした。

そして、2016年。

「シン・ゴジラ」の波が去る前に、新海誠監督「君の名は。」ブームが到来、まだまだヒット街道驀進中ですが、その監督から、


という評価をもらっているのは、さて、社交辞令なのか、本心なのか。

もう「君の名は。」を見て、アニメ欲(?)みたいなものが満たされてしまって、「別になぁ・・・・・」と思っていたけど、前評判は上々。
「大してすることもないし」という消極的な理由で、休日に映画館に行ってみましたが、中高生だらけで。

席も後ろの方は埋まっていて、「あぁ、失敗した」と思いつつ、スクリーンを見上げるような席を確保。

で、いろんな映画の予告が流れ始めるんだけども、後ろの中高生たちが、クチャクチャしゃべっているんですよ。
両隣が空いているのが、せめてもの救いだったのですが、上映直前になってカップル登場。しかも、隣は男が座りやがる。

で、この男が上映中に、声が聞こえるくらいに泣き出すわけだ。

「おいおい、彼女連れで、男がアニメで泣くんじゃねーよ」と思ったもの、当の私も涙が出ておりました・・・・・・。

現代日本の「罪と罰」


「京都アニメーション」(通称「京アニ」)と言えば、「涼宮ハルヒ」や「らき☆すた」「けいおん!」とか、萌えアニメをつくらせたら天下一品というのが、僕のイメージです。

そういうアニオタに刺さりやすい作品に長けている会社が、「障害者」への「いじめ」を扱った作品を映像化するというのは、どういうもんなんだ?
下手をすれば、安易な感動作にしてしまって、いわゆる「感動ポルノ」批判も有り得るわけで、・・・・・・・しかし、開始数分、特に、聴覚障害者である西宮が転校してきて、最初は受け入れようとしたものの、徐々にクラスのお荷物扱いにされてしまうという短いながらも、リアルで残酷なシーケンスを見せられて、圧倒。「これは本気でつくっているんだ」と納得。

もう、そのころには館内も静まり返っていました。


この映画では、「障害者」への「いじめ」、そして、少年の「贖罪」の過程が描かれています。

多くの日本人は、小中と学校生活を送ってきています。
身近に障害者がいなかったとしても、異質なるものを排除しようと動いたことや、または実際に排除されたという経験は、誰にもあると思います。(「日本」の「学校生活」に限った話ではありませんが)
仮に、そのような行為とは無縁であり、また、うまく立ち回って排除される立場に追いやられることはなかったとしても、個人の行為や集団の動きを見たことはあるのでは?

さて、その時、制止することはできたでしょうか? まぁ、時には、したかもしれません。
しかし、全部は無理でしょう。

傍観を決め込んだことだって、あるのではないでしょうか?

もし、自分は完璧だと自信を持って言える人がいたら、どうぞ石を投げなさい・・・・・。


映画においては、加害者と被害者、そして傍観者も登場し、痛々しい言葉の応酬となり、さらには暴力となってぶつかり合います。

キャラクターの造形、特に女性側は、京アニらしく非常に可愛らしく描かれています。
楽器でも持たせてバンドなり吹奏楽なりやらせたら、人気が出てフィギュアもバンバン売れそうな感じです。

なんだけれども、多くの日本人の奥底に眠っている罪悪感やらトラウマを引きずり出すような、非常に残酷な物語になっているんだよね。
現代日本版「罪と罰」は、萌えアニメの様相で表現されるのか・・・・。(首相がマリオに扮するくらいの「現代日本」だからね)


※ただしイケメンに限る


この「萌えアニメ」の器を利用したというのが、良いんだか悪いんだか。


可愛らしく描かれた西宮が、劇中において初の発声シーンには、衝撃を受けました。

通常のアニメ文法で描かれているキャラクターに、聴覚障害者特有の声をかぶせることの違和感。
この違和感は、これまでアニメ作品が取り扱ってこなかったことの裏返しだよね。


また、植野という美少女から出た、言うなれば「障害者などいなくなってしまえ」という発言は、相模原で障害者施設殺傷事件が起きてしまった現在では、原作者・製作者が、どこまで意図したのかは分かりませんが、見た目と発言のギャップは、物語に独特のテイストを加味することになっていました。


が!

「※ただしイケメンに限る」でして、原作に沿っているとは言え、ヒロイン西宮。劇場版ということで、萌えの匠たちが技量のあらん限りで可愛らしく描いており、そりゃ、「物語なんてそんなもんだよ。アニメに限った話じゃないでしょ?」とは分かりつつも、結局、美少女だから救われてんじゃんと、まぁ、いやらしいことを思わんでも。

女キャラは、とにかく美人。母親たちまで、美魔女という豪華な布陣。
まぁ、原作が、そうなんだから、仕方ないんだろうけど。


で、物語の根幹に関わるツッコミとしては、(ネタバレでなんですが)・・・・・・・いじめの被害者が、加害者に惚れるって・・・・そりゃ、あまりにも、ファンタジーだよね。
ファンタジーだから、ラストに「救い」もあるわけで、それを一概に否定するのも無粋だとは思うものの・・・・。

いじめの被害者・加害者を同性にして、最終的に友情が成立するという流れの方がリアルではあるんだろうけど、そうすると物語のダイナミズムに欠けるのかな~。

女性監督


こまかいツッコミを入れると、そりゃ、なんだってキリがないのですが(主人公の自転車が変わったのは、なんか説明があった?)、障害者であり「いじめ」を経験して自己肯定感が持てないヒロインと、その「いじめ」の加害者であり、また被害者にもなる主人公も、その罪と罰で自己肯定感を持てず、その二人の心理の行き来を細やかに描けているのは(もちろん、原作の力もあるのだろうが)、素晴らしかったです。


何度となく描かれる、水への飛び込みシーン。

googleで、「夢判断 飛び込み」と検索すると、「新しい世界への飛躍」といった感じの言葉が並んでいます。

まぁ、そんな当たるも八卦当たらぬも八卦な夢判断を援用しなくても、絵のイメージからしても、地上から水への飛び込みというのは、大変動きのあるものになります。

で、実際、ダイブシーンを契機にして、物語が動くことが多い。

(ネタバレですが)その最たるものは、当然、ヒロインの投身自殺。
これは、オープニングの主人公の自殺シーンと重なるわけでして、どちらも花火が打ち上がっていることから、製作者の意図的な「対」と言っていいでしょう。

主人公の自殺は未遂に終わり、直ぐに母親によって「身勝手」と批判されます。

その代わりに、主人公は、ヒロインの自殺の身代わりとなる。

ドストエフスキーの「罪と罰」において、主人公のラスコーリニコフは、裁判では真の意味で自らの行為を理解できず、流刑地の日々において神の存在を認識して、ようやく「罪」を自覚します。

「聲の形」においては、この自殺の身代わりによって、他人の向き合ってこなかった自らの「罪」に気付く。(それは西宮の闇に気が付いてやれなかった、ということでもあるのかな?)


そういった、細やかな流れというのは女性監督ならではなのかな~。(女性だから繊細な心理描写という、ありがちなコメント・・・・・)


で、今作の監督・山田尚子さん。wiki見たら、まだ31才だって。

こりゃ、まだまだ活躍が期待できますね。

業界では珍しくない女性アニメ監督 - Togetterまとめ

アニメにおいても、ガラスの天井は既に破られているようだけれども、宮崎駿監督筆頭の大御所、庵野秀明・細田守、そして、「君の名は。」で一気にメジャー化した新海誠監督等の中堅など、やっぱり、まだまだ男性ばっかりなのかな~というイメージが個人的にはあります。

が、今作を見ていると、新しい時代が来ようとしているのかね~。(さて、ゲーム業界で、女性クリエイターが前面に出て来るのは、いつごろなのかな)


聲の形 コミック 全7巻完結セット (週刊少年マガジンKC)
by カエレバ

2016年9月18日日曜日

映画「シチズンフォー  スノーデンの暴露」の感想



NSA(アメリカ国家安全保障局)の、違法(?)な国民監視の実態を告発したエドワード・スノーデン氏のドキュメンタリー映画「シチズンフォー  スノーデンの暴露」を見てきました。

エドワード・スノーデン氏からの記者への接触、スクープ記事掲載による世間の反応、及び、スノーデン氏が亡命を余儀なくされる顛末などが描かれておりました。


中心となっているのは、スクープ記事掲載直前に、香港へ移動した彼へのインタビューです。

ウィキリークスのジュリアン・アサンジ氏なんかは、山師的なところがあるように見えるが(個人的な感想です)、このインタビューを見ると、エドワード・スノーデン氏は、アメリカ人らしい価値観と使命感をもって告発に挑んだんだなぁー、というのがよく分かりました。


一方で、NSAの国民監視の方法と、その違法性についての説明は少なめ。

また、NSAの監視がどのように活用されて、アメリカの国益にかなったのか(実際にテロを防げたのか?)?、また報道以降、NSAは活動を自粛しているのか? なんて疑問が浮かんできたけど、そういうことには答えてくれないわけでして、・・・・・・ちょっと物足りなかったですね。


暴露―スノーデンが私に託したファイル―
by カエレバ

2016年9月14日水曜日

新海誠「君の名は。」感想


売れるなぁ


「今年はシン・ゴジラで決まりだな、ありがとう庵野監督」と思っていましたが、新海誠監督の「君の名は。」が登場すると、巷の話題はすっかり奪われてしまった模様。

興行収入も猛追。

年に二作も、オタク系で話題作が出るなんて・・・・・・と、驚いている次第。


これまでの新海誠監督作品は、ちょろちょろ見ています。

が、どうもナイーブというか、繊細が過ぎるというか。

悪く言うと、おセンチなんだよね。(古い表現だな)


「秒速5センチメートル」なんかは、それが、うまーく作用していたと思うけど。

一方、直近の作品である「言の葉の庭」は、ちょっと、まぁ、なんか自己に酔っていると言うか、あまりにデリケートと言うか。
どうにも、見ていて恥ずかしかったなぁ・・・・・。


「君の名は。」も、当初は映画館に行くまでもないか、まぁ配信なりDVDで見れば事足りるだろうと思っておりましたが、あまりのウナギ登りの評判に、交通費を千円かけて見てきました。


とりあえず、世評通り面白かったです。

作品の完成度としては、「秒速5センチメートル」も超えたと思います。

冒頭はゆっくりとしたテンポで二人の主人公の日常を丁寧に描き、中盤からの急転直下、そして何気なく撒かれていた伏線を使っての救出劇で、最終的にはホッとするラスト。

緩急は巧みでしたし、まだあどけない少年少女の純愛を下敷きというのは鉄板の材料でして、311以降だからこそ身につまされるカタストロフィを差し込みつつ、物語は人々の願望の反映であるからこその惨劇の回避など、・・・・・・まぁ、そりゃ、ヒットするわけだよ。


思い出すこと




「君の名は。」を見ていて、ちょっと思い出したのは、渡辺麻友さんの声優が妙に上手だった「ねらわれた学園」。(ストーリーが複雑な割には、妙にアニメちっくな演出が過多だったなぁ・・・・)

あっちも、キラッキラッした絵の中で、日常生活を描きつつ、SF的な仕掛けを駆使して、最終的には世界が救われ、主人公たちも結ばれる、という流れは、なんとなーく通底しるんだが、まぁ、アニメの「ねらわれた学園」も、大林宣彦監督の「ねらわれた学園」があってのもの。

そして、「君の名は。」の男女入れ替えも、やはり大林宣彦監督の「転校生」、未来人と少女の初恋は「時をかける少女」の影響下にあるわけでして。

そういう意味では、「君の名は。」は、ジュブナイル邦画の系譜にしっかりと乗っかり、かつ一つの到達点と言えるんだろうなぁ。


by カエレバ

2016年8月14日日曜日

新作「ゴーストバスターズ」を見てきた

続編というかリボーンというかリスタートというかリブートというか


見たことがない人でも、テーマ曲は聞いたことがあり、「あぁ、ゴーストバスターズの曲ね」と分かるくらいに知れ渡っている作品です。

ハリウッドのネタ切れもありまして、 昨今のリブートブームに乗って新作がつくられました。

1も2も見たことがあるはずなのですが、幼少期のことなので、ほとんど内容は忘れています。

が、1980年代のアメリカ映画らしく、とてもワクワクする映画だったのは、なんとなく覚えています。


で、今作。



映画「ゴーストバスターズ」最新作予告編が公開されるも大ブーイングを受けるなど賛否両論

個人的には別段気にならなかったのですが、あんまり予告編(前評判)は、良くなかったですね。


さて、実際見てみました。

まぁ前作は、ほとんど覚えていないので、比較はできないので、純粋に今作の評価になるのですが、・・・・・・うーん。

少なくともワクワク感はなかったですね。

単純に私が年を取ったのか、作品のレベルがイマイチだったのか・・・・。

隣の隣にカップルがいて、女性(20代前半?)は、けっこう声を出して笑っていたんですよ。

なので、自分(男性)の肌には合わなかっただけなのかね~。

あらすじ


主人公の女性は、大学教授。終身雇用の権利を得ようと必死になっている最中。
そんな大事な時期に、幽霊を退治して欲しいという、珍妙な依頼を受ける。
そこで、かつて友人と書いたオカルト本が出版されていることを知る。

「これはマズイ」と、直ぐに旧友に抗議へ。
未だに幽霊の存在を信じている旧友は、聞く耳を持たず。

そこで、幽霊退治の依頼を仲介してやるので、出版を撤回してもらうように持ち掛ける。

大喜びの旧友と一緒に、主人公は依頼主のところへ向かうのであった・・・・・。

女性による女性の為の映画?


敢えて女性四人組、さらに中年。

全盛期のキャメロン・ディアスの美貌に頼っていた「チャーリーズ・エンジェル」なんかと比べると、「どの層を狙っているんだ!?」と不安になるような布陣。

男に媚びるような作品はつくらん! という製作者の意図が透けて見えます。


昨今のブロックバスター映画なら、ゲップが出るくらいにCGが冒頭から尾っぽまで詰まっているのですが、この作品は、女性たちの掛け合いにも時間が割かれています。

ここらへんも、女性の観客を意識した配合なのかな?

ネタバレ


で、まぁネタバレです。

幽霊退治(ゴーストバスター)なんて、権威には相手にされていない世界。
そこに従事する人間というのは、現代では女性こそが相応しいということなんでしょう。

女性主人公たちを大学(権威)から追い出すのは、男だったし。


他に登場する男たちも、(作品がコメディということもあって)どれもこれも、一癖二癖あり。

その中で、重要な役割を担う二人の男性。


一人は、彼女たちの補佐。
マッチョの美男子だけど、脳みそからっぽ。

電話の応対も出来ないような、ダメダメ。

戦力になるどこか、足を引っ張るタイプ。


もう一人は、幽霊を現実世界に解き放つ黒幕。
ネクラの童貞こじらせ小デブ。

この重要な二人は、物語の途中で合体してしまう。


「イケメンもキモメンも、どっちも女の敵じゃーい」ということなのか?


で、この男が霊界と現世の壁に穴を開け、ニューヨークは幽霊で大パニックに。

警官や軍隊(ものの見事に、男性ばかり)が出動するが、まったく役に立たず。(踊るだけ)

結局、ゴーストバスターズチーム(全員女性)の活躍によって、世界は救われる。


・・・・・・男尊女卑ならぬ、女尊男卑だねー。


ラストで友情を取り戻し、二人の女性の髪が白髪になってしまうのは、老化のメタファーとも捉えることが出来るわけでして、いろいろあったけど、新しい研究施設も手に入って、仲良しの女性四人で、これからもガンバロー的な終わりは、「年を取っても、女だけで仲良く。もう男になんか頼らないし、男の面倒を見るのもやなこったい」という、まぁ、現代女性の願望につながっているようにも見えます。


娯楽映画なので「政治性」というものが前面に押し出されているわけではないし、無理にほじくり出す必要もないのでしょうが、どうも、イマイチ楽しめなかったせいで、そこらへんに原因があるのかな~などと思ってしまいますが、所詮、屁理屈です。


ゴーストバスターズ 1&2パック [Blu-ray]
by カエレバ

2016年8月7日日曜日

ありがとう、庵野秀明監督「シン・ゴジラ」


ついに庵野監督がメジャー世界に羽ばたくか!?



庵野秀明監督は「エヴァンゲリオン」の成功の後は、村上龍さんの「ラブ&ポップ」、永井豪さんの「キューティー・ハニー」を実写化したりして、まぁ、それなりに話題にはなったけど、・・・・・・「それなり」という感じでした。

面白かったけどね。


結局、最近になって、エヴァをリブート、まんまと大ヒット。

まぁ、こちらも面白いから困ったものでして。


でも、個人的には、「このままエヴァだけで、終わってしまうのかね・・・・」という危惧も。


エヴァだって、社会現象にまでなった大ヒットなのは、分かってますよ。
それは、そうなんだが・・・・・・。

超映画批評(『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』60点)さんで、
この映画にエヴァンゲリオン初心者の方を連れて行くのはあまりオススメしない。ためしに私は本シリーズを知らないスタッフを連れて行ったが「眠くなるけど(アクションシーンが)うるさくて眠れず、早く終わらないかとずっと思ってた」などと散々な評価であった。
と書かれている。

つい最近お亡くなりになった永六輔さんも、「話題だから見てみたけど、なんだか分からんから、途中で退席したよ」とラジオでおっしゃってました。

アニメ史に残るようなヒット作であって、やっぱりオタクコンテンツから抜け出ていない。(一応言っておくと、オタクコンテンツが悪いわけではないよ)


お師匠筋の宮崎駿監督なら「ナウシカ」(「もののけ姫」か?)、押井守監督なら「GHOST IN THE SHELL」で、オタクの大将から一歩抜け出したのですが、さて、庵野監督は、このままオタクの大将で終わるのかな・・・・・、いや、別にオタクの大将が悪いわけじゃないし、妙に芸術家気取られるくらいなら、清々しいとは思うけどね。

でも、これだけの才能がある人なんだから、メジャーな世界でも通用する作品も見たいなー、とは思っておりました。



・・・・・・そして、「シン・ゴジラ」。

渡辺謙さん主演のハリウッド版「GODZILLA」の成功から、「本家の日本でつくらんで、どうする!?」というライバル意識と危機感で制作が決定。

特撮面では、「進撃の巨人」の酷評から立ち直れるかの、瀬戸際。
今作が失敗すれば、「やっぱり、日本のSF映画は、こんなものか・・・・・。所詮、オタク or マニア向けか、子供相手の商売しか出来ないのね」という失望と失笑が広がるのは必定。

どうなのかね~、いけるのかね~、エヴァの最終作をつくりたくないから逃げてるかね~、・・・・・などと思っておりましたが、ものの見事に傑作を送り出してくれました。

ありがとう、庵野監督。

「THE 日本」が、いいんだか、わるいんだか


今作は、特撮ファン&SFファンだけに限定されることのない物語であり、渡辺謙さんの「GODZILLA」とも違う、オリジナリティに富んだ「今のゴジラ」「庵野監督のゴジラ」でした。

そして、単に優れたエンターテイメント作品であるだけでなく、現代日本に対して、示唆に富む内容。

が、この「現代に日本に対して、大変示唆に富む内容」というのが曲者だったりします。


この作品、えらく、登場人物が多いんだよ。
で、官僚は官僚で、自衛隊は自衛隊で、絶えず会議をしている。

怪獣映画と言うよりも、会議映画ですよ。


確かに、リアリティを生み出す効果はある。
庵野監督らしい、「ハッタリだな」と思わないでもなかったけど、これって、主人公・矢口が率いるチームとの対比で、描かれているんだよね。

縦割り式で、最終的に上の判断が無ければ銃の一発も打てない官僚組織。

で、ありながら、トップの首相は、個人的な思いや政治的信念とは違っていても、周囲からの説得で、あっさり従ってしまう。
日本らしい組織。空気によって物事が運ぶ、無責任の構図。


に、比べて、主人公の矢口チームは、一つの部屋に集まって、縦も横も関係なく、意見を出し合う。
また、リーダーの矢口は、他人からの意見を聞く度量はあるが、自らの決意に忠実で、危険を顧みず現場で指揮をとる。
(人命を前にして、攻撃を止めさせる首相と、最終決戦を前にして躊躇しない矢口も、対比になっていたねー)


で、「普通」の作品だと、
「前者(官僚組織)は悪」
「後者(アウトロー集団、反エスタブリッシュ、反エリート)は善」
と、単純に描いてしまいがちなんだけど、ここが、まぁ、「庵野秀明監督、一皮むけたな~」とうなるところでして、前者にしても、日本的な民主主義として、決して「悪」と描いているわけではない。

だから、最終的には、矢口チームによってゴジラを倒すことに成功するものの、当の矢口は復興にも努力を惜しまないつもりだが、「政治家に大事なのは、出処進退」と口にしている。


初代「ゴジラ」において、圧倒的な力を持つ「ゴジラ」を倒した芹沢博士は、ゴジラを凌駕する力を得た為に、自らを滅ぼさねばいけなかった。

矢口も、自分の行為は、あくまでも非常時の超法規的行為であると自認している。
だからこそ、復興に目処がついたら、自らも身を退かなければいけないと考えているようだし、また、日本の組織においては自分は異端であり、平時においては身の置き所がないことも分かっている、・・・・ということなのだろうなぁ。


ここらへんの、「THE 日本」という組織の描き方は見事だったんだけど、・・・・・・・でも、よく描かれているだけに、海外の人に分かるかな~。

アジア圏なら、庵野監督も名が知られているから、「シン・ゴジラ」はヒットすると思うのだが、でも、西洋には難しいか?


ゴジラは、なんの象徴?


庵野監督と言えば、「圧倒的な情報量」「裏設定」を物語に込めて、受け手に「謎解き」をしたくなる仕掛けづくりが上手な方。

エヴァですと、「死海文書」「ロンギヌスの槍」「生命の実」「白き月」とか、オカルト色の強いワードを羅列して、「さぁ、解釈しなさい」と迫ってくる作品でした。

大ヒット当時、各々が解釈を披露して百家争鳴でした。


「シン・ゴジラ」では、これが、「安全保障」「防衛出動」「憲法」「緊急事態条項」「集団的自衛権」・・・・・など、現実の法規・慣習になっている。

つまりは「政治課題」を、物語の謎解きアイテムにしているわけでして、・・・・・・ぐむむむ、巧みな餌撒きですよ、まったく。
(政治課題を物語に内包させるというのは、押井守監督の「機動警察パトレイバー 2 the Movie」の影響もあるのかな?)

今後、なにか国家間の事件や、軍事に関する問題が発生する度に、「シン・ゴジラ」が持ち出されるのが目に見えます。


時々の事件の特異性に応じて、「シン・ゴジラ」内の枝葉末節を必要に応じて切り取られることになるんだろうねー。

で、その際、重要なのは、「「シン・ゴジラ」におけるゴジラって、なんの象徴?」という問題。

初代からのモチーフである「原子力の悪」、人智を超えた「圧倒的な自然の力」、最早対話をすることも不可能な「外敵(ぶっちゃけ、北朝鮮か中国)」、暴力的に自国を蹂躙していく「黒船」、・・・・・「ゴジラ」が「最悪な来訪者」であることは誰もが認めるところ。

しかし、その解釈となると、エヴァと同じで、いくらでも出てきてしまう。

まして、現実の政治課題とリンクしているとなると、各々の立ち位置によって、色がついてしまうわけで、そこも含めて、ついに「大人な作品」をつくったなぁと感慨深いものがあります。

おまけの感想


石原さとみさんが、相変わらず「綺麗」&「キュート」だったけど、他のキャラがリアリティのあるオッサンばっかりだっただけに、マンガチックで、ちょっと浮いていたね。
まぁ、石原さとみさんの問題ではなく、庵野秀明監督の女性観の起因するのだろうなぁ(矢口チームの女性も、「いかにも」だったし)。


あと、中盤におけるゴジラの絶望的な強さと比べて、ラストが意外にあっさりだったね。
まぁ、リアリティを追及した結果なんだろうけど。


そして、素晴らしいクオリティの作品で、また見れるなら、同じような作品は見たい。

が、・・・・・・・・・・・続編は、どうかな?
映画会社としてはつくりたいだろうけど、・・・・・・難しいだろうなぁ。

怪獣映画なら、新しい怪獣を出すことで解決するけど、これって会議映画だからな。

また延々と会議を見せられてもねぇ。

あっ、でも、「日本に敵対する国が、新しい怪獣をつくって、それと対峙」という、国際関係を絡めた話なら、どうにか成立するか?


シン・ゴジラ音楽集
by カエレバ

2016年8月4日木曜日

映画「帰ってきたヒトラー」


あらすじ


どうしてか、現代に蘇ったヒトラー。

服がガソリン臭いということは、総統地下壕で服毒自殺の後に、焼却されたことが契機で、タイムスリップした模様。
まぁ、ここらへんの設定を、「なんで?」と聞くのは、野暮でして。

最初は戸惑いつつも、徐々に現実を受け入れ始めるヒトラー。

ヒトラーそっくりの演説は(そりゃ、本人なのだから当たり前)、大衆たちは面白がるようになり、人気者へ・・・・・・・・・。

感想


同じドイツ産ですと、「グッバイ、レーニン!」も、なかなか面白い設定だったけど、こちらはさらに珍妙な映画でして。

「ロードムービー」的にドイツ各地にヒトラーを登場させて、一般人がどんな反応をするか「ドキュメンタリー」的に撮影。(ヤラセ? 演出? どうなんだろう)

その内容を、物語へ適時差し込みつつ、最終的には、この映画制作すら映画内に取り込んでしまうという入れ子。


まぁ、「ヒトラーが現代に蘇って、人気者へ」という筋から、製作者の意図が、「現代への警鐘」であることはもろバレですが、それを単純な一本調子のストーリーではなく、複雑なメタ構造であらわそうしている点が、なかなか凝ってました。


気になったのは、主人公(?)のヒトラー。

顔つきや、演説、身振り手振りなんかはヒトラーに似ているように思えたが、えらく身体がしっかりしているんだよね。肩幅が、しっかりしていて。

ヒットラーというと、小男(実際は、175cmの身長だったそうで、小男ではない)のイメージがあるので、どうも違和感がありました。

が、そのうちに、製作者の意図なのだと納得。

この物語におけるヒトラーというのは、神経質な小男ではなく、「たくましい指導者像」として描かれている。

映画において、多くの大衆は、この「ヒトラーのそっくりさん」を、パロディとして許容している。
最早、ヒットラーなど、過去の遺物。いまさら、恐れるまでもない、と。面白がるのが、大人の寛容ではないか・・・・・。

が、「ヒトラーのそっくりさん」は、実は「ヒトラー本人」。
危険思想を内在した、「たくましい指導者」である。


・・・・・・・まぁ、言わずもがなですが、現代において、「たくましい指導者」というのが、世界各地で誕生していたり、誕生しようとしている。

「たくましい指導者」と、「ヒトラー」は違う。
「ヒトラー」は過去の遺物であり、現代における「たくましい指導者」というのは現代社会における課題を克服しようとしているに過ぎない。

言動の端々には、ヒトラー的なものと相似を覚えるかもしれないが、本質が違うのだから問題はない・・・・・・・と、「たくましい指導者」の支持者は思っているでしょうが、・・・・・・・まぁ、製作者から言わせると、それは、「本物じゃないの?」ということなんでしょうなぁー。


さて、トランプさん、どこまで行けるかな?


あと、おまけの感想としては、名作「ヒトラー -最期の12日間-」の、例のシーン(総統閣下シリーズ)が、そのままパロディになっておりまして。

日本では、このシーンは相変わらずの大人気ですが、ドイツでも人気なのね・・・・・。(わざわざ日本に媚を売ったわけじゃないよね?)

帰ってきたヒトラー 上下合本版 (河出文庫)
by カエレバ

2016年8月2日火曜日

渡辺謙さんの「GODZILLA」感想


庵野秀明監督の「シン・ゴジラ」も公開されるので、その前に渡辺謙さんの「GODZILLA」を見てみました。


初代の「ゴジラ」が核戦争の恐怖を下敷きにしていたのは言わずもがなですが、2014年公開のアメリカ版「GODZILLA」は、311をモチーフにしているのね。

冒頭の地震からの原子炉の暴走、一帯が避難区域に指定されて立ち入りが禁止になるという流れは、モロ311。

その後も、ゴジラの登場シーンで津波が発生しているのも、やっぱり311そのまんま。


・・・・・日本では、逆につくれないだろうなぁ。
外国人だからつくれた・・・・・というよりは、ハリウッドの貪欲さだねー。

無神経とも言えるけど。


ローランド・エメリッヒ監督の「GODZILLA」が、「ジェラシックパークをつくるとスピルバーグに怒られるから、ゴジラってことにしようぜ!」程度の作品だったけど、渡辺謙さんのは、まずまずオリジナルへの敬意が感じられました。


にもかかわらず、ハリウッド映画のお約束で、やっぱり日本の風景が「変」なんだよね。

「金がないから」とは思えないし、「リサーチ不足」とも考え難い。

すると、この「ちょっと変な日本」というのが、アメリカの観客には、受け入れ易いのかね~?

うーむ。

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2016年7月24日日曜日

「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」感想


どうして? と自問


前作の「インデペンデンス・デイ」は、けっこうなヒットだったが、個人的には「別に・・・・・」というのが、正直な感想。

で、続編の「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」。
20年の時を経て続編なのだが・・・・・・、出来が良いという噂は聞かない。

むしろ、聞こえてくるのは、「イマイチ」という評価ばかり。

前作も「うーん」で、今作も「うーん、らしい」なら、スルーすればいいのだろうが、なんだか、自分でも良く分からないのだが、見に行った。

で、結果としては「うーん」。

世評通りね・・・・・




前作は、全編にわたって「アメリカ万歳」でして、そんなお馬鹿な展開が、どうにも馴染めなかったのだが、絵的には見応えがあったのは事実。

今作は、冒頭から出し惜しみなしの派手な画面ではあるが、・・・・・(贅沢な話だが)それだけに、なんか「待ちに待った」という感じがないんだよね。
スープ、前菜、メインディッシュ、全てが「脂っこい」。
結果、全体として平坦。

ストーリーも、相変わらずのお馬鹿。

人類の存亡を賭けた決死の作戦が、検証もなしに、あっさりと決行。
そして案の定、ガッツリやられる。
でも、ご都合主義で生き残ってしまう主人公たち。

うーむ。


で、前作同様の群像劇なんだが、一人一人のキャラが薄くなって、あんまり良い効果を生んでいるとは言えないね・・・・・。

そんな登場人物の中には、中国語を話すお姉さんがいるんですよ。

ハリウッド映画のアジア人って、欧米の美的センスなのか、なんだか微妙だったりすることも多いのだが、こちらさんは、日本人から見ても、まごうことなき超美人。(■アンジェラベイビー google画像検索)

だけれども、物語中では、取ってつけた感が、ハンパない。

ダイバーシティ(多様性)の尊重という面もあるのだろうが、映画会社の本音としては、中国市場を見据えての配役でしょうなぁ。

前作が「アメリカ万歳」だったのに、今作は中国へ配慮しなくてはいけないというところが、なんだか二十年の月日を感じます。

そして不可思議なコラボ




「宇宙兄弟」と「オデッセイ」のコラボは、そんなに評判が良かったのかな?

それで、「ガンダムUC」とのコラボなんだろうけども。

なんだか不可思議な組み合わせだなぁ。



インデペンデンス・デイ [Blu-ray]
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2016年7月20日水曜日

三谷幸喜監督「清須会議」



契機


久方振りに大河ドラマを、毎週見ております。

さすが、手練の三谷幸喜さんの脚本でして、「次は、こうなるんだろ?」と分かっていても、面白いです。


で、「そう言えば、同じ戦国時代で、三谷幸喜監督の映画もあったなぁ」と思い出した「清須会議」。

早速(遅きに失した?)、見てみました。

役者さん


興味深かったのは、「真田丸」と「清須会議」で、役者がかぶっているところ。

でも、ほとんどの役柄が正反対なんですよね。


- 清須会議 真田丸
大泉洋 羽柴秀吉
(抜け目ない野心家)
真田信之
(田舎の好青年、実直)
小日向文世 丹羽長秀
(優柔不断)
豊臣秀吉
(抜け目なく、傲慢な最高権力者)
寺島進黒田官兵衛
(腹黒)
出浦昌相
(武闘派)
鈴木京香お市の方
(ある意味、黒幕)
北政所
(豊臣政権の良心)

寺島進さんくらいでしょうか? ほとんど同じなのは。

ここらへんの、「こっちでは、こういう役をするんだなぁ~」というのが、まぁドラマ・映画を見る醍醐味でして、見応えはありました。


が、期待が高すぎたので、素直に楽しめなかったというのが、正直なところ。

ストーリー全体としては、・・・・・・詰め込みすぎなのかな? と思わないでも。

また、戦国という過酷な世界において、三谷作品らしいコメディ要素というのが、時に「ねぇーよ」とツッコみたくなる。


「真田丸」にもないわけではないのですが、例えば伊達政宗の登場シーンなんかは、コミカルに描きつつも、パファーマンス好きな性格を見事に表現していたけど。

おまけ


どうでもよいおまけの感想としては、そうそうたるメンバーの中で、剛力彩芽さんだけ、あきらかにキャリアが薄いんだよね。

映画公開は2013年。

この時期は、オスカープロモーションの次の顔として、剛力彩芽さんを推しまくっていたんだなぁと、なんだか寂しい気分にならんでも。(別に剛力彩芽さんは好きでも嫌いでもないです。ネットで言われるような「ブス」だとは思わないけど)

そんな感じでした。


by カエレバ

2016年7月12日火曜日

自民党の憲法改正草案を爆発的にひろめる有志連合「あたらしい憲法草案のはなし」


乗るしかない このビッグウェーブに


参議院選が終わり、改憲勢力が衆参どちらも三分の二獲得。

安倍首相、改憲論議「自民案ベースに」=公明と温度差、実現見通せず【16参院選】
「わが党の案をベースにしながら3分の2を(どう)構築していくか。これがまさに政治の技術だ」
安倍首相は自民党草案を大分気に入っているようですが・・・・・・・。

しかし、非自民の民進やら共産が反対なのは当然ですが、友党である公明、与党でも野党でもない「ゆ党」とも揶揄されることのある自民へは是々非々の立場をとる維新ですら、「あれはねー」と苦笑いされているようなイメージがあります。(日本のこころさんは、物足りない?)

去年の集団的自衛権の容認には、憲法学者からは総スカンを喰らいましたが、一方で、「日米同盟強化」「中国の軍事的伸長に対応」という観点では評価する有識者もいました。

が、「自民党の改憲草案」に関しては、・・・・・・誰も賛成している人がいないような。

そもそも、自民党の議員さんですら、「まぁ、あれは草案ですから」「あくまでも、叩き台です」と言って、なんか歯切れが悪んだよね。

「あれこそ、目指すべき頂きだ!」と正々堂々と主張しているのは、安倍首相(稲田朋美さんとかも?)くらい?

勝手なイメージだけど、産経新聞は賛成しているのかな?


一回、読んでみたいものだが、素人に解説なしで理解できるはずもなく。

「どうすっかな?」と思っていたところ、「自民党の憲法改正草案を爆発的にひろめる有志連合」による、「あたらしい憲法草案のはなし」という本が出たので、買ってみました。

パロディ


正直、賛成と反対の両論併記された本が読みたかったのですが、・・・・・まぁ、前述の通り、褒めている人(本)はないんだよね。

で、「あたらしい憲法草案のはなし」は、戦後直後に憲法理解を深める為に使われたあたらしい憲法のはなしのパロディ。

自民党の憲法草案について、自民党の立場に立って解説を加えているのですが・・・・・、当然、悪意(?)バリバリ。

たとえば、こんな感じ。
 憲法で国家権力をしばる。憲法は国民から権力にむけられた命令である。このような考えかたを「立憲主義」といいます。立憲主義は、すべての国の憲法に共通した原則です。

 しかし、あたらしい憲法草案では、この原則が逆転いたしました。

<すべて国民は、この憲法を尊重しなければならない>(百二条)

 世界じゅうの憲法で、こんな条文をもつ憲法はほかにありません。ですので、憲法学者をはじめ、おおくの人が「それはまちがっている」といいました。

 ですが、みなさん、それは日本ではなく、他の国がまちがっているのです。

 国の最高法規である憲法を、国民がまもらなくてよいなど、おかしいではありませんか。民のくせにリーダーに命令するなど、おこがましいではありませんか。

「奴等は、こう考えているに違いない」という推測で書かれてはいるんだけれども、・・・・・・自民党サイドからすれば「邪推だ!」でしょうし、反自民からすれば「的確である」なんでしょうなぁ。


結局


しかし、自民党の議員さんですから、自党の改憲草案を、誇らしげに「目指すべき方向」ではなく、遠慮がちに「たたき台」と言わざる得ないのは、どうにもこうにも、「フリーハンドで権力を行使したい」という欲望が、薄っすらと見えてしまう内容となっていることを自認しているからなんだと思います。

でありながら、安倍首相が、分かっていて喜々として自党の改憲草案を提示しているとしたら、なんだかなー。

また、分かっていなくて提示しているとしたら、これもまた、なんだかなー。


まぁ、どうなるんですかね。

安保法案も、当初は、従来の憲法解釈から逸脱することは出来ないのだから、結局、「集団的自衛権容認」という冠が欲しいだけで、実質は変化がない or 微妙な変化に留まるのではないかとも言われていました。

が、結果的には、大分踏み込んだ内容となったわけで、・・・・・・・・さて。


by カエレバ

2016年7月7日木曜日

近くの映画館で「シェーン」をやっていたので見てみました


古いっちゃ、古い


「名作・古典と呼ばれるものは、いつか見ないとなぁー」と思いつつ、いくつかの作品は、いまだに未見。

「さよならジュピター」とか、「宇宙からのメッセージ」を見るくらいなら、本当は、そういう作品から触れるべきなのでしょうが・・・・・。

さて、近くの映画館で、デジタルリマスターの「シェーン」が上映されているので、「この機会に」ということで見てきました。

観客は、平日ですが、15人くらいかな?
田舎の映画館にしては、けっこういましたね。

ほとんどが、仕事はリタイアした感じの六十才オーバー。

そんな中に、一人だけ二十代、それも前半かな? 若い男性もおりました。
渋い趣味だね・・・・・。


で、古い映画なので、アスペクト比が、昔のブラウン管テレビくらい。
音楽の使い方も、ちょっと時代がかっている。

そして、主人公のシェーンなのだが、「イケメン」で、「ミステリアス」だが、「タフ」かつ「ジェントルマン」。それでいて、「ユーモアも解す」「働き者」という欠点のなさ。

今の作品では、ちょっとお目にかかれないようなキャラクター設定。


でも、そういう完璧な人間であるからこそ、父親とは友情で結ばれ、子供には慕われ、奥さんには密かに想われてしまうのだが、家族を壊すことは決してしないわけでして、そこらへんが、「古臭い」というか、「古き良きアメリカ」であったりするもの、作品全体を「さわやか」にしているわけだ。

「カムバック」ではなくて、「グッバイ」


「名作」とか「古典」というものになると、見ていなくても、なんとなく粗筋やラストシーンを知っているものですが、「シェーン」も、「シェーン カムバック」という子供の悲痛な叫びが、あまりにも有名。

そのセリフで終わるのだと思っていましたが、「カムバック」の後に、「シェーン グッバイ」があるのね。(ネットで調べたら、「シェーン カムバック」で終わっているバージョンもあるようですが)

どっちが良いのか? また、どちらが製作者の意図を正確に反映しているのかは分かりません。

主人公のシェーンは、最後の決闘を経て、「銃で物事を解決するような時代ではない」と子供に諭して去っていく。

古き時代の終わりであり、郷愁としての「カムバック」も、惜別としての「グッバイ」でも、どっちでも間違ってはいないわけでして。


なんだけれども、「シェーン」の公開は1953年。もう半世紀以上前。
その時代につくられた映画ですら、「もう銃ではない」というラストなのに、相変わらずの銃社会のアメリカというのも、なんですなー。


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by カエレバ

2016年6月26日日曜日

「デッドプール」を見た



おもしろかった


「デッドプール」見てきました。

ストーリーは、予告編通り。

悪の組織に騙されて、改造人間にされた主人公が、復讐 兼 顔を取り戻す為に戦うという、お話。

こう書くと、「藤岡弘、さんの仮面ライダー」みたいですが、こっちの主人公は、徹頭徹尾「いい加減」。

あくまでも、「復讐 兼 顔を取り戻す」が目的なので、人助けもしないし、善のあり方に悩みもしないし、巨大過ぎる力に恐れもしない。

とにかく、自分を傷つけ、顔を奪った悪人を退治することに邁進するだけ。

単純明快。


それだけだと、単なる復讐鬼のシリアスなお話になってしまうんだろうけど、顔を取り戻して、再び恋人の前に立ちたいという主人公の願いが、うまーく観客の同情を引くように作用していて、ここらへんが上手よね~。


ちょっと肩肘が張っていた「バットマンvsスーパーマン」や「シビルウォー」なんかの大作と違って、素直に楽しめました。

続編は・・・・


好評だったようなので、続編もつくられるのだろうけど・・・・・・・。

「キック・アス」と同じで、「1」のコンセプトが活かされない内容になるんじゃないかなぁ。
(■「キック・アス2」の感想)

難しいところだよね。


「お気楽な主人公が愛を取り戻す為に戦う」というノリを続けるとしたら、またしても恋人が人質にとられて、奪い返しに行くってことでしょ?

それだと「スーパーマリオ」におけるピーチ姫の如く、「またか!」だよね。

かと言って、主人公の成長を描こうなんてしてしまうと、決戦前に武器を忘れてしまうといった「お気楽」の要素が排除されてしまうわけで。

どうなるんでしょうねー。

by カエレバ