あらすじ
数年の諜報活動の末、ナイロビにて過激派テロリストを発見。
ドローンによる爆撃を望む指揮官と、法律問題に悩む政治家や官僚。
紆余曲折を経て、どうにか爆撃の許可を得るが、攻撃対象の直ぐ傍には、いたいけない少女が。
凶悪な自爆テロが間近に迫る中、「少女を犠牲にするか?、それともテロリストを見逃すか?」という倫理的な問題が、ドローン攻撃に携わる多くの人間を揺さぶるのであった・・・・・。
あらあら
去年、世間の話題をさらった「シン・ゴジラ」。
非常事態においても、決断を下せない姿が、「日本的だなー」と感じ、「こんな、まどろっこしいお話だと、海外ではうけないだろうなぁ」と予測しておりましたが、残念ながら、的中してしまったようです。
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石原さとみ“ガッズィーラ”も大爆死!「シン・ゴジラ」が欧州で売り上げ91万円
「内向きなモチーフも、突き詰めれば、普遍性が生まれる」ということもあるのですが・・・・・・、まぁ、よほどの日本オタクでなければ理解し難い内容。
特に、あの「決断を下せない組織」というのは、欧米人には理解できないということか。
なんて思っていましたが、・・・・・、「アイ・イン・ザ・スカイ」を見ると、「あらあら、けっこうどこも一緒じゃん」と思ってしまった。
まぁ、そんなものですよね・・・・・・。
今一歩
さて、「シン・ゴジラ」は面白く見れたのですが、・・・・「アイ・イン・ザ・スカイ」は、正直、今一歩。
今作では、「爆撃によって一人の罪のない少女が死ぬ可能性」と、「絶好の攻撃機会を失うことでテロリストにより多くの人命が損なわれるかもしれない可能性」のせめぎ合いが、物語の肝。
「少女の死が露見することで倫理的な責めを負わされる政治家の逃げ腰」、「数年の諜報活動の苦労が、ようやく実ろうとしている現場の焦り」、「人命を犠牲にしてまで遂行する作戦があってはならないという素朴な理想主義」、「実際に引き金を引くことになる兵士の苦悩」、「上司の意向を忖度して、作戦に合致する数字を提示する分析官」等々の、逡巡、逃避、決断が、物語に華を添えるわけなんですが・・・・・・、非アメリカ人からすると、「そもそもドローンによる攻撃って、主権侵害じゃないの?」とか、「建前では暗殺禁止ってなっているけど、これって暗殺と何が違うの?」なんて疑問が浮かんでしまうんだが、登場人物たちは、そのことにはまったく触れない。
「悪い奴らを殺して、なにが悪いんじゃー!」てなもんでして、そりゃ、越境のテロ行為に悩む現代欧米社会においては、そんな理想論を振りかざしたところで無意味なのでしょうが、登場人物たちは、少女を巻き込む可能性のある爆撃に賛否ありつつも、どこかに「テロリスト排除は、その国にとっても歓迎される善行である」という意識が共有されており、上から目線の姿勢が見え見え。
無辜の少女一人の命に、今さら右往左往されても、なんだか嘘臭いんだよね。
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さようなら、オバマ「あなたは史上最悪の爆弾魔でした」
映画のウソなのは分かるが
追加で気になることとして、ドローンからの映像が、あまりに鮮明で。
敵から目視できない遥か遠方の空中で待機しているはずなのに、攻撃対象の顔が識別できる解像度って。
また、スパイメカにしても、おいおいという高性能。
そりゃ、物語を成立させる為の、必要悪の「ウソ」だとは分かるのだが、ちょっと、鼻白んでしまう。
(超絶テクノロジーの割には、それを操るコンソールは、懐かしのXperia PLAYというのが、微笑ましかったけど)
女性のお立場
「シン・ゴジラ」と同じく群像劇なんだけど、「アイ・イン・ザ・スカイ」では、女性キャラはぶれないんだよね。
現場の指揮官は、とにかくイケイケドンドン。少女の命なんか知ったことか、「今しかない!」と、始終、上を突っついている。
で、意見集約をしているロンドンで、一貫して爆撃の非倫理性を指摘しているのも女性。
それに比べて、男たちは、とにかく決断が出来ない。
いつも、たらい回し。
首相ですら、微妙な発言で、言質を与えないようにするわけで、まぁ、なんだかんだで、どこも同じよねと再認識。
で、まぁ、よくよく考えると、爆撃の被害を受けるのも女性(少女)。
そもそも、倫理的な問題を抱えてながらも爆撃を決断することになった端緒は、女性テロリストの存在が判明したから。
こうして並べると、「女性」というキーワードが本作には散りばめられているような気がするが、・・・・・・うーん、まぁ、たまたまかな?
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