「カンヌ映画祭で絶賛と非難の問題作」という、ありがちな煽り文句がついている「ヴィオレッタ」を見てきました。
ストーリーを簡単に言いますと、売れない芸術家(崩れ)の母親が、美しい娘をモデルにして、ポルノまがいの写真を発表し、話題になるものの、母娘の間には軋轢が生じる、という流れ。
興味深いのは、監督の実話というところ。
今なら、毒親とでも言うのでしょうか?
娘の心情は無視して、自らの功名心と生活費の為に、犠牲にするというのは。
で、この映画は、監督にとって、娘を裸にして生きていた母への復讐という面は否定できないわけでして。
しかし、今度は監督自身が少女(幼女?)役の子を裸にしなくてはいけないというジレンマ。
でも、過激さを薄めてしまうと、「娘は、なんでモデルになるのが嫌だったの? いいじゃん、それくらい別に」と観客は思ってしまうでしょうし、「これは芸術!」といった風に美しくまとめてしまうと本来伝えたかったメッセージ性が薄れてしまう。それじゃ、昔を忠実に再現しましょう! というのでは、母親と同じで、世の下卑た男どもの劣情を利用していることになってしまし、でも、子役に妖しい魅力がなければ母親や世間が熱中した理由も分からなくなってしまうわけでして。
そこらへんの、さじ加減の結果が、こんな感じ。
個人的には、綺麗だし妖しい魅力はあるけど、いやらしいというほどではないかな?
■映倫が異例の“区分指定適用外”判定 「ヴィオレッタ」は児童ポルノの烙印を押されたのか
公開までは、いろいろとあったようだけど、正直、そんな目くじらを立てるよう描写はなかったです。
逆に言うと、主役の子は綺麗だけど、そういう方面を期待して見に行くと、肩透かしを喰らうと思います。
で、まぁ、ぶっちゃけ「面白かった?」と聞かれると、「うーん、そんなでもない」というのが正直なところ。
アラフォーで妻も子もない状態なので、母親にも娘にも感情移入できなくてね。
「死は娼婦よ」みたいなセリフや、母が墓石の上に寝るシーン、そもそも撮影場所に死のモチーフが満ちているところなんか、「この映画は、なにか深いものを宿している」的なメッセージがプンプンするんだけど、なんか、あんまり考察する気もおきず、だらだらと見てきた感じです。
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