2014年8月9日土曜日

『惡の華』 第四巻 の感想。


全十三話の、ちょうど半分の七話と、その後の八話が入った、「惡の華」第四巻。


ターニングポイントを、意識している七話でした。

これまでは、仲村に振り回されっぱなしの主人公の春日。
佐伯を騙している罪悪感に耐えられずに、仲村に、自分が体操着泥棒であることを、暴露して欲しいと訴える。

で、佐伯だけではなく、クラスのみんなに告白することを迫る仲村。

そんなことは出来ないと、一度は、拒む春日であったが、彼女の孤独に共感して、教室をメチャクチャに。

スローモーションを多用した圧巻のシーンになっておりました。


で、その後の、ついに、体操着を盗んだことがばれるのか? という八話。

ですが、どうやら、仲村の配慮だと思われますが(もしかしたら、偶然)、春日の暴露は表沙汰にはならず。

しかし、教室をメチャクチャにしたのが春日(&仲村)であることに気がつく。

それに対して、自分から別れを切り出す春日であった、てな感じで終わり。


「秩序と体制を象徴する佐伯」と、「混沌と反乱を象徴する仲村」。

春日のプレゼントした「惡の華」を理解しようとする佐伯だけど、おそらくは理解することはない。
一方で、仲村は、「惡の華」をもらっても、決して読むことはないだろうけど、少なくとも春日とは通底するものを持っている。

春日も仲村も、この世界の通俗、偽善、狭隘に辟易している。


所謂「中二病」というヤツですなー。

自分だけは特別であると思いたい、あいつらと違うんだっていう臆病な自負を抱く時期って、誰でもありますからね。


で、物語を楽しみつつ、なんか違和感を感じたわけでして、「なんだろう?」と考えてみると、ネットがないんだよね。

一応、現代が舞台なはずなのに(出てくるテレビは薄型だし)、二人ともネットを使うことはない。
使ってはいるのかもしれないけど、活用はしていない。

なんで、そんなことに違和感を覚えるのかと言うと、今なら、こういう孤独を抱えている子なら、きっとネットにハマるんだろうな、と考えてしまうから。

まぁ、自分の時代にはネットもなくて、今も子供がいないので、あくまでも想像ですけど。


ネットで、孤独が癒やされてしまったら、仲村と春日がくっつくことはないだろうから、敢えて踏み込まないのは、物語上、仕方ないと言えば、仕方ない。まぁ物語の嘘というヤツでして。
(作者の青春時代に、ネットがなかったから、そういうストーリー展開が想像出来ないということもあるのだろうけど)


で、仲村と春日は急激に親密さを増すんだけれども、そこで疑問なのは、春日の性欲。

佐伯に対しては、この物語の発端からして分かるように、彼女を性の対象として見ている。

でも、春日の仲村に対しては、なんか有耶無耶な感じがすんだよね。


何度か書いたような気がするけど、ここらへんは、やっぱり、疑問が残るところだな・・・・・・。


過去の感想。
『惡の華』 第一巻 の感想。
『惡の華』 第二巻 の感想。
『惡の華』 第三巻 の感想。


『惡の華』Blu-ray 第四巻
by カエレバ

0 件のコメント:

コメントを投稿