徐々に破滅に向かい始める第五巻。九話と十話が入ってます。
・九話
ついに佐伯に体操着が盗まれたことも、教室をメチャクチャにしたこともバレてしまう。
主人公の春日は別れを切り出すが、それを拒絶する佐伯。
ここらへんが、なんで? とも思うけど、女のプライドなのかね?
仲村という存在を意識していなければ、まぁ、別れたでしょうな・・・・。
何度も書いているけど、佐伯というのは秩序・体制の象徴。
だから、混沌・反体制になびく春日は、佐伯には理解できない。というよりは、認めることができない。認めることができないから、手放す・・・・となるのではなく、逆に、引き留めようとする。
そこらへんが女のプライドであり、体制側の意地なのかな?
で、親にバレて家を出るわけだけど、そこで出会ったのが仲村。
そのまま、二人で町を出ることを決意。
・十話
で、なんの計画もなく、ただ、
山の向こう 何があるかな?という漠然とした思いだけで自転車で走り出す二人。
が、金も装備もなく、雨が降り出したので、山を登っている途中で、二人とも道端で休憩。
そこに、嫉妬に狂った、というよりは、二人がくっつくのを認めたくない(それを嫉妬と言うのか?)佐伯が登場。
二人の女性があらわれて、互いに春日を自分の方に引っ張り寄せようとする。
で、春日が、どちらを選ぶかと言うと、
選べない… そんなことできない!と叫んで、どちらの女性も失望させるという、大変(しょーもない)男らしい逃げで終わり。
僕に選ぶ権利なんて無いんだよ!
冷静に考えるまでもなく、金もないのに、仲村と一緒に町の外に出て、どうするんだ? ということなんだけど。
でも、春日は、佐伯を選ぶことは出来ない。
同じクラスだったけれども、春日にとって単なる想像上の存在(アイドル)だった佐伯を、現実のものとして、捉えられない。
それは、「惡の華なんて、おれも分からねーよ」と告白してしまったのと同じで、中学生の春日にしてみると、よく分からないけど、自分の幼い自尊心を満たしてくれるものでしかない(まぁ、そんなもんだけどね)。
佐伯に憧れていたのもポーズなら、また文学好きも単なるポーズに過ぎず、もちろん普通ならそれでいいのだけれども、仲村という強烈な個性の前では、その嘘を自覚せざる得ないわけでして。
てな感じで、中途半端な自分というものを突きつけられて、今回は終わり。
で、何度も考えてしまうのは、仲村は春日に恋愛感情はあったのかな?
ここまで見てきても、やっぱり、よく分からんね。
春日は、仲村に対して、少なくとも性的な対象として見てはいるけど。
佐伯が、ウブな春日を引かせるくらいに迫ってくるのに対して、仲村は、そんな彼女を小馬鹿にしていることからすると、仲良しこよしの恋愛ごっこを軽蔑しているのは確かなよう。
春日が、仲村も佐伯も選べないと叫んだ時に見せた表情は、ちょっとだけ「女」な感じがしたけど、どう感じるかは、人それぞれだからなー。
過去の感想。
■『惡の華』 第一巻 の感想。
■『惡の華』 第二巻 の感想。
■『惡の華』 第三巻 の感想。
■『惡の華』 第四巻 の感想。
『惡の華』Blu-ray 第五巻 | ||||
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