2017年1月26日木曜日

「ガール・オン・ザ・トレイン」の感想



「ガール・オン・ザ・トレイン」、見てきました。

予告編からも、なんとなく予想できることですが、「女のドロドロ、見せまっせ」系(?)のミステリー。

こういうの、流行りなんですかね?

「ゴーン・ガール」を見てきました
映画「ダーク・プレイス」の感想


ストーリーですが、
・子供が欲しかったけど、出来なかった女性
・子供をつくることは出来るけど、要らない女性
・子供が出来て、とりあえずは幸せを享受している女性
という三タイプの人生が交錯し、徐々に一つの線でつながっていく過程が描かれています。


で、タイトルの「ガール・オン・ザ・トレイン」。

「ゴーン・ガール」もだけど、なんで「GIRL」なのかな?
「WOMAN」じゃ、ダメなのかな?

「未成熟な大人」だから、「ガール」なのかな?


で、その「未成熟な大人」が、電車の車窓に映る家を見て、勝手な妄想を抱き、事件に巻き込まれていくんだが・・・・・・、西村京太郎ほどではないにしても、「電車」が物語上、もっと重要なファクターになるのかと思ったけど、そんなでもなかったね。

まぁ一応、同じ場所を行ったり来たりする電車に乗っている主人公というのは、前に進むことの出来ない現状とかぶるのだろうけど。


で、


「衝撃のラスト」と書いてあるんですが、まぁ、だいたいがハッタリで、案の定、そんなでもなかったです。


ネタバレですが、最終的には、「全員が身勝手な一人の男に振り回されていた」という収束は悪くなかったのです。

でも、殺されることになる女性の性格が、いまいち分かりづらくて。

出産と子育てに失敗したことが、彼女の性格形成に異常をもたらしたようなんだけど、・・・・・・普通に見ると、単にお股のゆるい女性だよね。

こちらの読解力不足なのかな。

もとが小説だから、二時間の映画に収めようとすると、「なんか意味深」な性格を付与するのが限界だったか!?


それもあって、最終的には、「三人は絆で結ばれている」というオチも、「そうか!?」と思ってしまったなぁ・・・・・。


by カエレバ

2017年1月21日土曜日

映画「手紙は憶えている」



映画「手紙は憶えている」を見てきました。


ストーリー。

妻を亡くした老人は、痴呆症で長期的な記憶を維持できない。

もう片方の友人は、車椅子生活で、外に出ることは出来ない。

老い先短い二人だったが、かつてアウシュビッツにて家族を殺された過去を共有している。
今、彼らの手元にはアメリカに隠れているナチスの戦犯の情報がある。

海老一染之助・染太郎よろしく、片方は頭脳担当、片方は肉体担当で、ナチスの戦犯探しに出るのだった・・・・・。


定番のナチスものかな?
と思ったら、あくまで、「ナチス」は、ミステリーを構築するための小道具という感じ。

老人の痴呆や老化も同じ。

そんなに掘り下げいるわけではないです。

なので、変に悲壮感が出ることもないので、娯楽作品として気軽に見れます。

なんだけれども、ほら、主人公は老人だから。
物語のテンポが、なんかゆるいんだよね。


そして、ラスト。

「実は、彼が犯人なのかな?」という予想をしていましたが、案の定。

それにしても、いくら痴呆とは言え、過去ほど鮮明に覚えているはずで、彼にとって忘れ得ない記憶のはずなのに、すっかり抜けて落ちているなんてこったい。

まぁまぁ娯楽作品ですからね。
そこらへんは、水に流して見るのが、大人な鑑賞態度ということで。

by カエレバ

2017年1月20日金曜日

西川美和監督「永い言い訳」



西川美和監督の新作が、地元の映画館でも遅ればせながら公開されました。

「あぁ、また嫌な気分にさせられるのだろうなぁ。なんで金払ってまで、二時間苦行をしなくてはいけないのだろう?」と思いながらも、見てきました。

そして、案の定、やっぱり、まんまと「ツラい映画」。

仕方ない。

これは監督ではなく、西川美和女王様が我々M奴隷の為につくって下さった罰。
鑑賞ではなく、調教の一環だと割り切ろう・・・・・・。


ちょっとしたネタバレありの梗概


冒頭から、主人公は妻に当たり散らしていて、嫌な奴全開。(本木さんの演技が、終始、秀逸でした)
津村啓という筆名を持った作家業にも行き詰まっているし、本名である衣笠幸夫の私生活にも満足していない。

事故で妻を亡くしたものの、まったく悲しみを感じない。
そして、喜びも感じない。

「愛妻を亡くした作家」という、世間の求めるキャラクターを演じながら、自らの業の深さを色々な場面において直面させられる、という筋立て。


途中、疑似家族モノを経るのだが、まぁ、そりゃ、西川女王様が、そう簡単にお約束な癒やしや解決策を提示するわけもなく、・・・・・・そもそも父親が健在な家庭に、もう一人の父親など不要なわけでして、結局は破綻。

それでも、ラストは、作家として作品を仕上げて、また、私生活においても荒れていた室内は整理され、妻の遺品を片付けているシーンで終わっているのだから、・・・・・まぁ、一応大団円でした。


相変わらず男の浅ましさを描く映画でした。
女性なのに、毎度毎度、どうして西川美和監督の描く男性って、こうもリアリティがあるのかな? 不思議ね。
これまでの男運が、(私人としては)悪かったと言うべきか、(クリエイターとしては)良かったと言うべきか。


一回見ただけではストーリーを理解するのは難しく、二回・三回と見ることで、監督の真意に近づけるような映画です。
その価値のある作品なのだが、見る度に、西川女王様よりムチを食らわされるわけで、ツラいね・・・・・・。


by カエレバ