2015年8月29日土曜日

台湾映画「海角七号 君想う、国境の南」



久しぶりに台湾映画が見たくて、「海角七号」を見てみました。

なんとなく、「日本統治時代」のエピソードが挿入されているのは知っていましたが・・・・・、見終わった感想としては、「なんだかトレンディードラマみたいね」。
(トレンディードラマの定義が、できるわけではないんですが)

頑固で話を聞かないイケメンと、命令ばかりする小うるさい美人。

反目し合いながらも、徐々に理解を深めていき、気が付くと互いを意識し合うように。


・・・・・うーん、もうオッサンなんで、見ていて恥ずかしいよ。


で、ネタバレ。

この台湾人のイケメンが、バンドマンの夢を諦めて、故郷に帰ってきたところから話が始まります。
故郷では郵便配達の仕事を手配してもらうけど、真面目にやるわけもなく。

適当にやっているので、全部は配れず、残った手紙は家に置いておく。
そんな中に、日本からの手紙があった。

それは、かつて台湾で教師をしていた男が、敗戦で台湾に残してくるしかなかった恋人に宛てた、送られることのなかった手紙であった。


で、ヒロインというのは日本人。
(演じるのは、ちゃんと日本人の田中千絵さん。今見ると髪型が時代遅れですが、スタイルが物凄いです。)

台湾在住のモデルだけど、モデルの仕事はさせてもらえない。日本語、英語、中国語が堪能なので、雑用係として使われている。

その仕事の延長戦で、リゾートホテルで開かれる日本人のコンサートの裏方も任される。

前座として、地元の人間によるバンド演奏が決まるが、そのメンバーたちは個性的な人間ばかり。

彼らを統括することになるヒロインではあったが苦労の連続。
特に主人公のイケメンとは衝突を繰り返すわけでして、・・・・・・前述の通り、ここらへんは、お約束。


いろいろあって、ヒロインは、主人公の家にある「日本人の手紙」を見てしまう。

戦争によって引かされてしまった悲恋を知り、「必ず届けるように」と主人公にお願いする。

で、ヒロインも、日本に帰る時間が迫っている。
主人公のことが気になり始めているけど、いつかは別れなくてはいけない。

それを意識しての発言なわけでして・・・・・、さて、この二人も、かつてのように別れてしまうのか、それとも恋が成就するのか。


うーん。

時折挿入される、過去において引き裂かれた男女のエピソードと比べると、現代の男女が軽すぎるなー。

前者は、時代に翻弄され、個人の力では如何ともしがたい悲劇だけど、現代の後者は、所詮、台湾と日本という生まれの違いだけだし。

もうちょっと、うまーく、過去と現代が絡んでいると、違っていたんだろうけど。(過去のエピソードを参考にしたと思われる、ラストで披露される歌も、そんなでもないもんな・・・・)

まぁ、でも、これくらいの味付けの方が、一般受けはするんだろうなぁ。


で、ヒロインが統括することになる地元民によるバンドメンバーたちは、主人公やヒロインと同じように、自らの人生に傷を抱えて生きている。
でも、まぁ、バンドの練習をしているうちに、徐々に、その傷が癒えていき・・・・、ラストの演奏では、ほぼ解消! という流れ。(ピクサーの「カーズ」と同じです。)

嫌いなパターンではないんだけどねー。
ちょっと演出が、くさいんだな。

「KANO」もだったけど、台湾映画の味なのかね。
「KANO~1931海の向こうの甲子園~」は、ちょっとクドかった


で、やはり「KANO」もだけど、この映画も、日本統治時代に、そんなに悪印象がないから、こういう映画が成立して、台湾でヒットするんだろうなぁ。


台湾映画の感想。
台湾映画「花蓮の夏」を見て
魅惑の90分映画「藍色夏恋」
映画「あの頃、君を追いかけた」に、身悶えする
台湾映画「九月に降る風」の感想
「KANO~1931海の向こうの甲子園~」は、ちょっとクドかった

海角七号/君想う、国境の南[Blu-ray]
by カエレバ

2015年8月27日木曜日

浅野いにお「素晴らしい世界」


「ソラニン」「うみべの女の子」を読んで、すっかり「浅野いにお」さんのファンになってしまいました。

以前の感想。
浅野いにお「うみべの女の子」
浅野いにお「ソラニン」
山本直樹×浅野いにお「対談 マンガって、めんどくさい」


で、初期(と言っても、浅野さんは、まだまだ若いですが)の作品である「素晴らしい世界」を読んでみたのですが・・・・・、うーん、若いね、作品が。

まぁ、でも、あきらかに、この作品が土台になって、「ソラニン」が生まれたのが、よく分かります。
夢見るバンドマンの話しが何度も出てくるし。

そもそも、作品全体をつらぬく、「変化と、それを恐れる」というモチーフが、「ソラニン」だもんね。


で、「素晴らしい世界」ですが、短編集。

いろいろな年代の老若男女が主人公ですが、・・・・・基本、若い子が多いかな?

連作になっていて、登場人物たちの住んでいる町は共通している。
短編をまたがって登場する人物もいる。


それぞれのお話の主人公は、種々雑多の悩みを抱えている。
暴力的であったり、まったりだったり、絶望的であったりするけど、おしなべて閉塞感のある状況に置かれている。

で、いろいろあって、最終的には、その状況が完全に解決されるわけではないけど、ほのかに希望があるようなラストで終わる。


・・・・・・正直、ワンパターンではありますね。

僕も若ければ、この絶望と希望のコントラストに惑溺できたのだろうけど、年を取ると、ダメね~。


例えば第一話。

トガさんという大学を中退したばかりの女性が飼っているカメの視点から始まります。

カメは、眠っているトガさんに対して、
ホントに気持ち よさそうに寝るぜ、 アンタは。
どんな夢 見てんだが……

でも、いつまでも 寝てるわけには
いかねぇぜ。そうだろ?
トガさん。
なんてことを思います。


で、まぁいろいろあって、トガさんの住んでいるアパートは全焼。もちろん、ペットのカメは焼死。

でも、トガさんは、カメは甲羅を残して逃げたに違いないと妄想する。

その妄想内において、カメが述べる言葉。
人生には 前に進まなきゃ ならない時がある。

なりふり かまわず 進むんだ。

たとえ 間違ってたって 俺は後悔 しないぜ。

そうだろ トガさん。
この、言葉に促されるようにして、大学も辞めて、アパートも焼けたけど、バンドで頑張っていこうと志して、物語は終わります。

「変わらなきゃ!」
「でも、恐い」
「でも、やっぱり変わらないと!」

第一話での、この流れが、基本的に、全ての短編で繰り返されます。

・・・・・が、中には、

何気ない会話。
別に何も変わってない。

でも今は、
変わってないことが
少しうれしい。
となって、変化がなく終わる話もあるんですが・・・・・、これが、まぁ、結局伏線でして。

最終話では、上の感想をもらした女の子は、流行りの奇病にやられて、一切の感情をなくしたような、生きるだけの人形になってしまう。


この病気の設定が、あまりにも唐突、かつ荒唐無稽で、「うーん、まだまだ若いね」と、やはり思わざる得ないのですが、・・・・・それは、さておき。

作品の意図としては、変化を拒否した人間への罰なのかな、この病気は。

僕には、そう感じましたが、さて、他の人は、どう思うのかな?

素晴らしい世界(1) (サンデーGXコミックス)
by カエレバ
素晴らしい世界 (2) (サンデーGXコミックス)
by カエレバ

2015年8月18日火曜日

目新しはないけど見れてしまう「ジュラシック・ワールド」


1993年に公開された「ジェラシック・パーク」。

もう20年以上前の作品なんだね。

大ヒットして、「2」「3」と続編がつくられたけど、・・・・・うーむ、あんまり覚えていない。
見たんだか、見ていないだが。

なんとなく、「1」は良かったけど、以降はグダグダだったような。


それは、ともかく。

続編の「ジュラシック・ワールド」。
相変わらず、見事なCGで再現された恐竜たち。

それに加えて、「うわー、行ってみたい」と、おっさんでも思わず指をくわえてしまいそうなテーマパークが映画内で構築されています。(実際にUSJとかで、映画を元にして、同じような乗り物をつくっていくんだろうなぁ・・・・・)


ストーリーの基本線は、「ジョーズ」から続く、「凶悪な生物から逃げまくれー」。

離婚寸前の両親がいる兄弟。
仕事一筋、効率第一主義の女性経営者。
マッチョで武器も使いこなせるけど、心優しき恐竜の管理人。(軍出身で、恐竜に詳しいって、なんだか無理があるなぁ)

ぶっちゃけ、ありがちな登場人物ばかり。

で、女経営者は、恐竜の脱走を契機に、自らの効率第一主義が間違っていたと認め、家族の大事さを思い出しというお約束の流れとともに、どんどん服装が破れていき(格闘ゲームか!)、大変スリムな体型が顕になっていくというサービス、サービス。

愚かな行為をする人間は境地に陥る、悪い人間は恐竜に食い殺される等々、まぁテンプレートだね~。

毎度毎度、こういう映画ばかり見ていると、「マンネリ」だけど、たまに見ると「様式美」ですな。


が、例によって突っ込みどころが多いのも、ある意味「様式美」。

大混乱の「ジュラシック・ワールド」の司令塔が、平気で現場放棄してしまうとか。

恐竜を退治するなら、ヘリから機銃で撃ちまくればいいのだろうけど、何故か危険な地上戦で挑む。(まぁ一応、恐竜を使っての生物兵器としての可能性を探るという目的があるんだけど、それにしても)

凶悪な恐竜が逃げ出したはずなのに、直ぐに発信器を調べないって、どうして?

甥っ子と再会できたのはいいけど、危険な場所に一緒にいる必要はないだろうに。


そもそも、冒頭の処理からして、ちょっと不思議なんだけどね。

なんで、家族で出かけないの?

離婚寸前の両親と一緒に旅行。
ジュラシック・ワールドで、いろいろと危険な目に遭い、家族の絆を取り戻してハッピーエンド、という流れの方が分かり易いと思えるんだけど・・・・・。


今作「ジュラシック・ワールド」における「甥っ子」と「おばさん」、さらに元カレという四人グループって、明らかに疑似家族。

でも、別に「疑似」にする必要はない気がするんだが、・・・・・・今のアメリカからすると、疑似家族の方が、リアルで感情移入し易いのかな?


さて、最大の突っ込みどころは、最強の敵「 インドミナス・レックス」が、「遺伝子操作でつくられた生物」ということ。
元ネタのない、オリジナルな恐竜なんですな。

うーむ。

遺伝子操作で生まれたというだけあって、

「埋め込まれた発信機を自ら排除する」
「人間の裏をかいた行動をする」
「熱探知をされないように、体温を自在に操る」
「周囲の環境に合わせて、肌の色を変化させる」

といった、能力を有しているわけなんですが・・・・・・。

その能力のおかげで、観客の恐怖感は倍増されるのかもしれませんが、・・・・・一方で、「最早なんでもアリだな」と白けてもしまいます。

まぁ、これは製作者側も分かっているようで、登場人物の一人に「昔のジェラシック・パークの方が良かったよね~。別に、遺伝子操作した恐竜なんか登場させることはない」てなことを言わせている。

それに対して、女経営者は、「観客は、もっと新しいものを求めている!」と反対意見を言うわけで、・・・・・・・おそらくは、現実の映画製作者と映画会社上層部との意見の相違なんだろうねぇ。

現場の製作者としては、オリジナルの恐竜なんか出したくはなかったけど、上層部の「もっと過激な恐竜を出せ!」という命令に逆らえずに、こんな形になってしまったよ・・・・・という、恨み節なんだろうなぁ。

でも、上層部の判断は正しかったようで、アメリカでは、本作は大ヒット。
もう禁忌を破ってしまいましたから、次回作からは、「火を吐く」とか、「首が三本ある」恐竜も出てきたりするのか?
そうでもしないと、「新しい恐怖」が出てこないよな~。

そして、それらの遺伝子操作から生まれた恐竜に対向する為に、メカT-REXがつくられて・・・・・なんて流れになったら、一気にB級感が出て、それはそれで笑えるのだが。

ジュラシック・ワールド (竹書房文庫)
by カエレバ

2015年8月17日月曜日

相変わらず不死身のイーサン・ハント「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」


「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」見てきました。

いつも通り、二時間で世界を救うトム・クルーズです。

今回は比較的地味な「悪」でしたが、それにしても、トム・クルーズは、通算で何回くらい世界を救っているんだろう・・・・・。


実写版「進撃の巨人 前編」は、やっぱりアレだった

それに比べて、実写版「進撃の巨人 前編」は、二時間かけて、爆薬を運ぶのを失敗して終わっていたよな・・・・・。

この流れからすると、後編では、壁に開いた穴を主人公のエレンが巨人化して終わりか?

多分、それを邪魔しに、エレンとは別の人間が巨人化したヤツが襲ってくるんだろうな。
そいつを撃退すると、ついでに「巨人化」の謎が解ける・・・・・てな、流れだろうなぁ。


まぁ、色々と話題になっている実写版「進撃の巨人」。

よく言われるのが、「これは、原作者と協議した結果として生まれた物語です」というお話。

監督の樋口真嗣さんは、現在の特撮界ではトップ。
脚本の町山智浩さんは、著名な映画評論家。(そして、もう一人の脚本家は、プロの渡辺雄介さん。実写版「ガッチャマン」も、この人の脚本なのね・・・・)
原作者の諫山創さんは、なんといっても大ヒット漫画の執筆者。

三者が互いに遠慮し合って、「船頭多くして船山に登る」ではなく、むしろ、誰も「悪い人」になれなかった結果としての、「この人が、こう言っているから、その要素は外せないよね」てな感じで、出来上がったら「あぁ、なんだかピリッとしないなぁ・・・・」というオチなのかな。


まぁ実写版「進撃の巨人」は、ここまでにしておいて。


「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」。



トム・クルーズが飛行機にしがみつくシーンですが、映画を見る前から、いろんな媒体で何度も拝見しましたね・・・。

「ミッション:インポッシブル」最新作で飛行機にしがみつくトム・クルーズはガチで本人だった - GIGAZINE

ネットだけでなく、テレビや雑誌でも、「これは、本人がやっているんですよ、スゴイでしょ!」と、至る所で宣伝。

そんなに見せていいんかい!? と思っていましたが、映画を見て、納得。


このシーン、冒頭なんだよね。

だから、最初にこれを見せることで、後のシーンも「トム・クルーズ本人がやってますよ」と思わせるわけだ。(実際、多くはやっているんでしょうが)


で、まぁ、迫力のシーン満載。
なのですが、「いつものトム・クルーズだし。どうせ死なないからな」と安心して見られてしまう皮肉。

実際、仮死状態に陥った次のシーンでは、激しいアクションを繰り広げているし。

相変わらずだな~。


それでも、退屈しないのは、不思議。

アクションを売りにした邦画と比べて、そりゃ、予算が潤沢なのは分かるけど。

ストーリーだって、特別「まさか!」なんて展開はない。

いきなり謎の組織によって拉致。
敵か味方か分からない謎の美人でナイスバディの女スパイ登場。
アメリカ本国から見放されただけではなく、追われることに。
徐々に明らかなになっていく敵の正体。

別に、目新しさはないんだけどね。でも、面白く見れてしまう。

・・・・さじ加減なのかね~。

情報の開示、アクション、ちょっとしたお色気、そこらへんを、観客が飽きないように、うまーく並べているからなんだろうなぁ。


で、ネタバレのボスなんですが、今回は、元ドイツ諜報員という設定。(ドイツだっと思うな、うろ覚え。ネット探しても、見つけられないよ)

アメリカ市場だけを考えたら、中国をラスボスにしたいのだろうけど、まぁ、今のハリウッドで、上客に対して喧嘩を売れるわけもなく。

中東だと、いろいろ面倒なことが起こるかも。映画が元で、テロでも起きたら、責任とれないよね。
北朝鮮をおちょくったら、ソニーが大変な目にあったのは、ご承知の通り。
アフリカを敵視する理由もないし、そもそも黒人がラスボスというのでは、それはそれでデンジャラス。

せいぜいロシアなら、大丈夫(?)かもしれないけど、ソ連時代と比べて、大物感がないよね・・・・。


てな事情なんだと思いますが、最近の「敵」は、基本「白人」。

それも、「昔の味方が裏切った」というのがお約束。

あまりヒットしなかった「特攻野郎Aチーム」も、この前の「007」も、そういう流れだったよなぁ。

今回も、いろいろ配慮した結果なんでしょうーねー、西側諸国の諜報員出身ということに。


でも、無理にマッチョじゃなくて、いい味でした。

ただ、冒頭でトム・クルーズに顔をさらけ出す必要性がないような。
またラストも、本人がしゃしゃり出てくるのは、なんで? と思わんでもないが、まぁ、リアリティ云々を言い出すとキリがないですから、「どうやったら、死ぬんだよ、まったく。相変わらずトム・クルーズだね」というのを楽しむべきでしょうね。


映画 ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション ポスター 42x30cm トム・クルーズ Mission: Impossible Rogue Nation [並行輸入品]
by カエレバ

2015年8月15日土曜日

原田眞人監督「日本のいちばん長い日」

1967年につくられた「日本のいちばん長い日」が、敗戦から70周年でリメーク。
(■オリジナル版「日本のいちばん長い日」の感想)

どうなんだろう?
見ようか、見まいか。

と悩んでいたら、テレビで昭和天皇を演じた本木さんのインタビューが流れていまして。
そこで、映画のシーンも放映されていました。

けっこう力が入っているな。
じゃぁ見てみるか・・・・・・。


結論から言うと、大変な力作でした。


ハリウッドと比べると、どうしても予算関係で見劣りしてしまうことがある邦画。

史劇にしても、ハリウッドの作品は、その時代を再現しつつも、絵的な美しさも保たれていて、「すげぇーなー」と圧倒されることが多いです。

邦画になりますと、どうしても金がかけられないので、まぁなんか芸術作品風な味付けにして、「ほれ、ハリウッドのような安っぽさはなくて、うちのは高尚でしょ?」という感じになって、うーん、時に貧乏臭いというか、退屈というか。(そりゃ、世界一の経済大国と比べる方が、どうかしているんですが)


しかし・・・・・、原田監督の「日本のいちばん長い日」は、場面場面で時代考証にこだわりつつも、敗戦直前の暑い夏が、美しく描かれています。

「邦画でも、ここまで贅沢に凝って、つくれるんだなぁ」と、素直に感動。


ストーリーは、まぁ、そりゃ、歴史的事実をねじ曲げるわけにはいかないので、オリジナルと基本線は同じ。

でも、2015年版は、昭和天皇をしっかりと登場させています。

そして、本木雅弘さんが、いい演技してました。
モノマネになってしまうと、「冒涜しているのか?」となってしまいかねないし、でも、あまりに実物から遊離してしまうと、「えぇ!? そりゃ、ないじゃん」となるわけで。

その匙加減が絶妙で、・・・・・・リアルな昭和天皇は、「現人神」という感じが死ぬまで抜けなかった、というイメージを個人的には持っています。

本木雅弘さんが演じた昭和天皇は、高貴な天上人だけど、下々への配慮を忘れない、という面が、うまーく増幅されていました。

まぁなんつーか、「これは、これでアリだね」という感じ。


そんな「慈悲深き君主」像がちゃんと出来上がっているからこそ、忠臣として天皇の意向に沿いたいものの、「栄光ある帝国陸軍」にトップでありながら幕引きをしなくてはいけないという阿南陸軍大臣の苦しい立場が、より浮き上がっていました。


「日本のいちばん長い日」というタイトル通り、旧作は8/14、8/15がメインでしたが、今作は、もうちょっと長い期間を描いています。

・・・・その弊害として、場面場面が、短い。
展開が早くて飽きないのは良いのですが、・・・・・歴史に詳しくない人は「?」だろうなぁ。

まぁ僕も、そんなに詳しくはないので、クーデター中の動きが、なにがどうなっているのか、よう分からんよ・・・・。(それでも、十分に緊迫感は伝わってきましたが)


で、宮城事件(クーデター)の首謀者を演じるは、松坂桃李さん。

「この人、どっかで見たぞ。誰だ、誰だ、誰だ? 空の彼方に・・・・・、そうだ、ガッチャマンだ」

そうでした、実写版「ガッチャマン」に出てた人だ。

登場当初は、現代の若者風になっていて、「軽いよ、軽すぎる」と感じたけど、中盤以降は、「純粋なだけに狂信的」という役を好演していました。
(イケメンなので、「彼らの行為は、天皇を思っての私心のない美しい義挙であった!」という側面が強化されてしまったように思えてしまうのは、ヒガミでしょうか?)


他にも、山崎努さんが演じた鈴木首相は、飄々としていながら、強硬派を抑えて、終戦に導いていく。
「あぁ、なるほど、こうやったんだな」(史実はどうか知りませんが)と納得できる仕上がり。


映画内の小道具や建物と同じく、登場人物たちも、「力入っているなぁ」と思わせる熱演でした。


冒頭で書いたように、邦画でも、これだけ骨太な作品がつくれるんだと、感動しました。
めでたく大ヒットして、毎年は無理にしても、二、三年に一回くらいは、こういう豪華な映画をつくってくれたら嬉しいですが、さて。


まぁ残念なところと言えば、海外でも通用するだけのクオリティの作品だと思いますが・・・・・、いかんせん、題材がね。
余程の好事家でもない限り、外国人は、見たいと思わないだろうな。

また、見ても理解もできないと思う。

日本人であれば、「軍部の独走で破滅的な戦争に向かっていき、昭和天皇自身が積極的に主導したわけではない」というのは、なんとなぁーくは知っているのだろうけど。

しかし、外国では「ヒットラー、ムッソリーニ、ヒロヒト」と並んでいることもあるからね~。

日本のいちばん長い日(決定版) 運命の八月十五日
by カエレバ

2015年8月13日木曜日

オリジナル版「日本のいちばん長い日」の感想

今さらながら、1967年に公開された「日本のいちばん長い日」を見てみました。

白黒で、特別派手なシーンがあるわけではないので、今の目から見ると、まるでドキュメンタリー。

昭和天皇によって終戦の聖断が下され、玉音放送の録音、そして放送という過程で起こった事件が描かれております。

宮城事件 wiki
佐々木武雄 wiki
厚木航空隊事件 wiki

いろんな事件と言っても、敗戦という事実を認めることのできない軍部の反発が中心。

群像劇ではあるけど、主人公(中心)は三船敏郎演じるところの「阿南陸軍大臣」になるのかな?
阿南惟幾 wiki

白黒の画面に、三船敏郎の大きな目が映えるね。


内閣では「降伏勧告受諾やむ無し」という雰囲気がつくられつつあるが、陸軍では継戦するべしという強硬論が多数。

敗戦を受け入れるとなれば、ドイツでナチスが追放されたように、戦争を主導した軍部、中でも陸軍が冷や飯どころか、臭い飯を食わされることは確実なわけで。

クーデターを起こして権力を奪取したり、辞職することで内閣を崩壊に持ち込むことは可能。

が、天皇陛下の聖断は既に下されたわけで、しかも、陸軍や海軍に自ら出向いて説得にあたる覚悟まで持っている。
仮に現内閣を倒すとなれば、そのお心に背く結果になるわけで・・・・・。


陸軍トップとしての阿南陸軍大臣が苦悩が随所に描かれるのと同時に、一部の将校は、一発逆転の為に不穏な策動をする。

この宮城事件を起こす面々が、「至誠尽忠」にも見える。
「国体護持」を持ち出して、天皇陛下の為にクーデターが必要だ! と主張しているのだけれども、・・・・・、まぁしかし、単に保身、組織防衛に走っているだけにも見える。

日中戦争、太平洋戦争は陸軍が中心になって始め、また主導してきた。
「敗戦」となれば、連合国からの処罰とは別に、能力としての「責任」も、当然問われる訳で。
そういう現実を受け入れられない、独善的なエリートの弱さにも見える。


内閣では、原爆が二つも落ちて、沖縄も民衆を巻き込んで占領、ソ連も参戦と、継戦が不可能と分析している。

が、陸軍では、本土決戦に持ち込んで、相手側も被害甚大となれば、有利な講和条件が引き出せるのではないかと考えている・・・・・のだけど、そんなの幻想よね。

映画「ヒットラー 最後の12日間」でも描かれていたけど、最終局面において指導部は、現実を直視することは出来ず、幻想に逃げてしまっている。

「戦線から遠退くと楽観主義が現実に取って代る。そして最高意志決定の場では、現実なるものはしばしば存在しない。戦争に負けている時は特にそうだ」
機動警察パトレイバー2 the Movie/全台詞


その幻想が狂気にまで昇華されていたのが、宮城事件に呼応した佐々木武雄。

演技が秀逸でね。
死神博士の天本英世さんが演じているのですが、理屈云々などはなく、完全に狂っている。

ラストの宮城事件を起こした二人が、映画のラストにおいて決起を促すビラを撒いてシーンも、その狂気に通じるところ。


それに比べて、最終的には割腹自殺する阿南大臣は、冷静であり、理性的なまま従容として死んでいく(史実はどうなのか分かりませんが)。

これが製作者の意図なんだろうなぁ。
軍部のロマンチシズムを描きつつも、過剰に美しくはしなかったさじ加減が、絶妙でした。


さて、オリジナル版では、天皇陛下が、はっきり映らないようにしている。
「畏れ多い」のと、「天上人」という演出なんだろうなぁ。

リメイク版では、本木雅弘さんが昭和天皇を演じており、前面に押し出される模様。

数百年前ならともかく、近現代の天皇となると、どう描いても、批判にさらされる危険がつきまとう負け戦に引きずり込まれる可能性が高いですが、さて、どんな風に描かれているのかな~?

日本のいちばん長い日 [東宝DVD名作セレクション]
by カエレバ

2015年8月9日日曜日

劇場版「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」



実写版が控えている「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」ですが・・・・・、映画じゃないのね。

スペシャルドラマか。
二時間で、どう収めるのかな・・・・。

実写版が発表されてると、「世界観が壊れる!」とファンから強烈な否定をくらうのが、毎度のパターン。
が、「あの花」に関しては、とりあえず見た目がまぁまぁ悪くなかったので、珍しく、ネット上では拒否反応が少なかったように見えますが、・・・・・さて、うまく、まとめられるのかな?


まぁ、それはともかく。

放送されたアニメが好評でつくられた劇場版。

今更ながら見てみました。


うん、まぁ、ファンディスクね。

テレビで放映された本編を見ていないと、分からん内容だろうなぁ~。

テレビ版で、すっかり完成しているから、「総集編プラスα」という形式でつくるしかなかったから、仕方ないでしょうね。


で、まぁ、本放送でも気になったのですが、やっぱり劇場版でも気になる点がありまして・・・・。


何度なく「うーん」と思わされたのは、「なんで、めんまは成仏する必要があるの?」ということ。

だって、主人公の「じんたん」からすると、「めんま」とは意思疎通も、触ることも可能。

まぁ下世話だけど、性交も出来るってことでして。

実際、幽霊のめんまからの(意図せぬ)攻撃で、「じんたん」が昇天してしまったシーンが描かれている。

「めんま」が死んだ時のままで、小学生の姿というのであれば、いくら触れることができても、性交は、ちょっと・・・・・となるけど、彼女の姿は、ちゃんと「じんたん」と同じく成長している。

こんな便利なオナペット(ラブドール)を手放す必要が、どこにあるんだ? という、ひどい考え方も十分に成立するわけです。


が、製作者も、そこらへんは理解していたようで、「輪廻転生」という概念を取り入れることで、「みんなと、ちゃんと意思疎通をする為には、成仏しなくてはいけない」という流れに持っていきます。

この、「輪廻転生」を、「めんま」が口にしたのでは、「いや、その担保(証拠、ソース)は?」となるのですが、うまーく、はぐらかしているのは、「じんたん」のお母さんが話しているわけでして。

じゃぁ、「じんたん」の母親は、なにを証拠に「輪廻転生は、ありです!」と主張しているかと言うと、・・・・別にないよね?


まぁーねー。
触れることの出来る幽霊として「めんま」が存在している以上は、彼女が、「輪廻転生は、あるんです」と言ったら(信じたら)、あるんだよね。


でも、本編でも映画でも、母親が輪廻転生した証拠を探すわけでもなく。

そして、「私、生まれ変わる!」と言って成仏した「めんま」を、超平和バスターズの面々は、探すことはしないのね・・・・・・。


「輪廻転生」を「優しい嘘」として、登場人物たちが取り扱っているなら、「まぁ仕方ないかぁ」とも思うけど、一応、信じているっポイ。


まあまあ・・・・・、「スタンド・バイ・ミー」を、日本のアニメの味付きでつくりました! という点が、この物語の売りですから。

あんまり、そこらへんを気にしても無粋ではありますが。

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 Blu-ray BOX(完全生産限定版)
by カエレバ

2015年8月5日水曜日

実写版「進撃の巨人 前編」は、やっぱりアレだった



さて、この夏一番の話題作と言って過言ではない実写版「進撃の巨人 前編」。

ある批評家の酷評に対して、SNS上にて樋口監督が内々で公開していたものが、外部に漏れて、さぁ大変! ということになったりしました。

でも、
炎上案件!? 実写版『進撃の巨人』を観にいってみた|ほぼ週刊吉田豪
という記事を読んだりすると、・・・・・・漏洩すること分かって、やってない!? なんて勘繰りたくなりますが。


まぁ、そんなことは、どうでもいいんですよ。
要するに、面白いか! or 面白くないか! が大事。

dead or alive.


で、実際に映画を見ました。

わざわざ、仕事の出張先で。


そして、スクリーンに入ったところ、人がいない。
十分前くらいに入ったんですけどね。

タッチスクリーンで椅子を指定した際には、数人の席が埋まっていたはずなのに・・・・。

こ、こ、これは!?

かつて、大川隆法氏のアニメ映画を招待券で見た時以来の、無観客試合か!?(注:少なくとも俺が見てますので、無観客試合は語弊あり) と思っていたら、開始五分前くらいには、てきとうに人が入ってきました。

一安心。


さて、内容ですが・・・・・・。(以下ネタバレあり)

冒頭では、漫画(アニメ)とは、ちょっと違うけど、実写映画版における壁の中の生活が描かれています。

「おっ、結構、丁寧につくってるじゃん。これは期待できそう」
というのが最初の印象。

「これなら、ネットの酷評は、やり過ぎじゃん?」
と思っていたら、漫画(アニメ)では、感情のないマシーンだけど、主人公のエレンにはベタ惚れという屈折したキャラ設定のミカサが、フェミニスト大激怒(?)の「女」全開のキャラになっていることが判明。

映画の中ほどでは、原作を引き継いだ性格になりますが、・・・・・・・・すっかりエレンへの愛情は冷めたようで。

シキシマというオリジナルキャラに、寝取られているという、ある種の性癖の方には、嬉しい展開。

・・・・・なんか、幼馴染の女性を、野球部の先輩にとられちゃった! く、く、くやし~、みたいな設定だな~

ぐーむ・・・・・。


そして、主人公のエレン。

原作の諫山創先生監修のもとに、変更された性格ということだけど・・・・・・・・・・・・・、いきなり、「俺たちはカゴの中の鳥だ! 自由になりたい!!」てな感じの、尾崎豊調の演説。

ドラマになったデスノートと同じで、「今時の若者に受容しやすいキャラにしよう♪」という狙いがあるのだろうけど。(あと、ビートルズのマッシュルームカットは、流行りなの?)

逆効果なような・・・・・。

まぁ「今時の若者」ではないので、正確なことは言えないのですが。


他の主要キャラであるアルミンですが、実写映画にしろ漫画にしろ冒頭から登場している重要なキャラだけど、・・・・・最後まで、存在意義が分からん立場に追いやられていたな。

特に活躍する場面はなく。(後編では、ある程度、活躍の場があるのかもしれませんが)


他の登場人物にしても、「そんなに、名前のあるキャラは必要ないんじゃないかな~!?」と思わないでも。


特に「アレだな」と思ったのは、オリジナルのシキシマ。
原作のリヴァイ兵長の位置にはいるけど、それとは、ちょっと違う役割と性格。

オリジナルキャラが悪いとは言わないけど、・・・・・・なんだか、アレなキャラになっちまったなぁ。


評論家の町山智浩さんが脚本を担当。

町山さんに詳しいわけではないけど、たまーに、お話を聞く度に、「よーけー、物を知ってるねー。プロはスゴイなー」と思ってまして、こんな人がどんな脚本を書くんだろう!? と、ちょっと期待していたのですが。

評論家・批評家は飽くまでも評論や批評のプロなのであって、実作のプロではないのね・・・・という当たり前のことを再確認させられた結果となってしまいました。
(批評家から出発して、実作でも成功したという例で、とりあえず思いつくのは川端康成くらいか?)


前編の最後の盛り上がり、エレンの巨人化。

原作を読んでいる人間からすると、「あぁ、ここで来たか」と思うけど、原作を知らない人からすると、「えっ、なんで?」って思っただろうなぁ・・・・。伏線とか、まったくなかったし。(気が付かなかっただけ? あったっけ?)

まぁ、原作未読者も、既読者も満足させる作品をつくるのが大変なのは分かるけどね・・・・・。

それにしても、原作の印象的なセリフを、とってつけたように入れてくるのは、「はっ!」となるより、「あぁ・・・・」ってなってしまったよ・・・・・。


原作アリの映画で、失敗してしまう要因としては、
  • フックをたくさん用意する
  • 原作にはなかった恋愛要素が盛り込まれる
  • 話題性づくりのキャステング
  • 豪華出演陣
  • ハリウッドに負けないCG & 特殊撮影 が売り
    が、ありますかね~

    最初の「フックをたくさん用意する」に集約されるのでしょうが、

    「大作だ!」
    「金がかかる!」
    「失敗できない!」
    「いろんな人の琴線に引っ掛かる仕掛けを用意しておこう!」
    「作品中に、フックをばら撒け!!」

    という結果として、女性受けも狙って恋愛要素を強化、まったく原作の雰囲気にあっていない俳優や女優がキャステングされたり、または俳優や女優に合わせる為に物語が改変、いろんな人を出しておけばファンが見てくれるに違いないと大物や話題の人が端役で登場したりカメオ出演・・・・・・。

    結果、物語は、なんだなボヤボヤに。

    物語の展開にしても、「退屈な時間」を恐れるあまり、重要な「タメ」や「凪」を排除、ポンポンとアクシデントやイベントが発生して、「二時間いっぱい、飽きないでしょ?」という製作者の意図とは逆に、全体としては散漫で、盛り上がりに欠けることになるという皮肉。

    「ゼロ・グラビティ」くらい思い切ったことが、そうそう出来ないのは分かるし、中学高校生くらいから面白く感じる映画にしよう! とすると、・・・・・まぁねぇ、こういう脚本になっちゃうのかな。


    でも、うまく転がせば、世界に通用するコンテンツになっただろうに、もったいないなぁ~。


    巨人の不気味さは、よく出来ていたけど。

    ただ、個人的にはターミネーターの最新作もいまいちだったように、脚本がアレだと、いくらCGがすごくても、・・・・・・うーん、難しいよね。


    それ以外で良かった点としては、。。。。。。水原希子さんと石原さとみさん、どちらも唇が厚くて、なんかエロかったのが良かったです。

    進撃の巨人(17) (講談社コミックス)
    by カエレバ

    2015年8月2日日曜日

    文化系トークラジオ Life「いまヤバい!人文社会系」外伝の感想

    「いまヤバい!人文社会系」外伝の 感想になります 感想になってません。

    文化系トークラジオ Life「いまヤバい!人文社会系」本編の感想


    いきなり、東浩紀さん登場。
    司会の鈴木さんと、サシでおしゃべり。

    「他の人も、どうですか?」と、鈴木さんから促されても、なんだか、皆さん入りづらそうでした。

    とにかく、二人とも、話していて、大変楽しそう。

    で、ポンポンと会話が弾む。
    けど、二人は分かっているけど、こっちにしてみると、なんか流れが、よく分からないぞ、という感じもなきにしもあらず。
    (まぁ、単純に、私の理解力、知識力の問題でもありますが)


    そんな中で、印象的だったのは、東浩紀さんからの「思想は金にならん」というお話。

    まーねー、金にならないから、大学というシステムで教えるしかないわけでして。

    金になるなら、企業が参入してくるよね~。


    しかし、昨今の流れからすると、最終的には、公立では、旧帝大くらいにしか人文社会系の学部は残らないのかな?

    正直、それが良いのか悪いのか、よく分かりません・・・・・・。

    四年もかけて文学なんか習うよりは、資格の一つでも取得している方が、役に立つもんなー、実際のところ。


    さて、まぁ、本編の冒頭で「百田尚樹」さんの名前が、人文社会系のヤバい人として挙げられ、「もしかしたら、語るかも」と言って、結局は触れずじまい。
    外伝も、「百田尚樹」さんの名前は、再び持ち出されるものの、ほとんど素通りでした。


    ・・・・・百田さんって、ユニークだもんね。(小説は未読、映画も見てないです)

    どこまで安倍首相や自民党内からの推薦なり圧力があったのかは不明ですが、NHKの経営委員になれたのは、やっぱり、政権側(自勢力側)に近い考えを持っているからでしょう。

    NHKの経営委員として、局内の偏向(と、ある種の人が感じている傾向)を正せなくても、これ以上は、曲げないで欲しい、その役割を、この人ならやってくれるに違いない! という期待があっての要請だったと思われます。

    が、NHKの経営委員という微妙なお立場であり、籾井会長が就任会見の船出から沈没寸前にまで追い込まれたのを見ていながらも、都知事選では非自民党の立候補者を応援するという、二重三重に自由な振る舞い。

    百田尚樹氏、NHK経営委員退任へ

    そりゃ、自民党内からも異論も出るわな。


    これで自民党とは縁が切れたのかな? と思っていたら、「文化芸術懇話会」に、呼ばれまして。

    wiki 文化芸術懇話会

    自民党内の安倍首相に近い議員の勉強会と言われております。

    そこで、
    • 「沖縄の2つの新聞は潰さないといけない」
    • 「あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば、目を覚ますはずだ」
    • 「米兵が犯したレイプ犯罪よりも、沖縄県全体で沖縄人自身が起こしたレイプ犯罪の方が、はるかに率が高い」
    • 「もともと普天間基地は田んぼの中にあった。そこを選んで住んだのは誰やねん」
    • 「沖縄は本当に被害者やったのか。そうじゃない」
    • 「くそ貧乏長屋。とるものも何もない」
    • 「アイスランドは年中、氷。資源もない。そんな国、誰がとるか」
    てなもんでして、最終的には、「自民党が陳謝した」という流れに。(■wiki 百田尚樹 自民党勉強会での発言)

    国民に不人気の「安保関連法案」審議中というナーバスな時期に、敢えて爆弾をぶっ込むという離れ業。


    この時期、他の自民党グループにて、小林よしのり氏を招いての勉強会も計画されていたものの、微妙な時期だから中止に追い込まれたと言われております。

    小林よしのり氏が安倍首相を嫌っているのは、よく知られた事実。

    と言っても、氏が、所謂「保守系の論客」であることには変わらないわけでして、それでも、「なにかあっては、かなわん」とばかりに、勉強を許さなかったのにね。

    でも、結局、味方側から撃たれるという、皮肉。


    安保法案の衆議院通過で、第二次安倍内閣発足以降、初めて支持率よりも不支持率が上回るという難しい局面になりました。(と言っても、まだまだ、経済が、どうにかなている&他に待望論がまったくないから、乗り切れると思いますけど)

    その「難しい局面」が生まれた原因の一端を、応援団であるはずの百田さんが担っているのだから、「ヤバい!」です。


    一連の騒動を受けて、百田さんは作家業を引退と宣言。

    こんな記事もあったな~。
    百田尚樹利権に群がる週刊誌が『殉愛』擁護キャンペーン開始!ネットと全面戦争か!
    百田尚樹守るの当然!『殉愛』問題で「WiLL」花田編集長が林真理子批判

    どこまで事実か分からんけど、「売れっ子作家」という立場を、自ら封印すると、いろいろとご不便もあるような気がするけど、・・・・・まぁ、ある特定の層には、まだまだ人気があるようなので、多少叩かれたくらいでは食うに困るなんてことは、まずはないだろうけど。


    それよりも、
    橋下氏、真夏のジョーク!? 「次期市長はたむけんさん、知事は東野さん」 「誰がなろうとも世界に誇る大阪を」
    大阪は、選挙が近いですね。

    大阪維新の会と自民党で保守分裂、その間隙をぬって、百田尚樹知事が誕生という、横山ノック知事以来のピカっと光るタイプの大阪のリーダー誕生、そして西田敏行さんが局長就任という夢の様な政治状況が誕生したら、すげー楽しいんだけどなぁ~。

    ・・・・・・まぁ、さすがに、ないでしょうけど。
    でも、国政進出は十分にあるだろうね。


    さて、文化系トークラジオ Lifeとは、まったく関係のない文章になってしまったよ・・・・。