2016年1月31日日曜日

M・ナイト・シャマラン監督「ヴィジット」


「ヴィジット」見てきました。

M・ナイト・シャマランだし、ホラーだろうなとは思ってたけど、やっぱりホラーだった。


姉ベッカと弟タイラーの姉弟は、母子家庭。

父親は、数年前に、若い女をつくって逃げ出してしまっている。

そのことで傷ついたままの二人。

母親は旦那に逃げられただけではなく、両親(姉弟からすると祖父母)の心配をよそに、駆け落ちしてしまったので、そのことも気に病んでいる。


そんな家庭に舞い込んだ、祖父母からの孫の招待。

姉弟は祖父母の田舎に遊びに行くことになる。
訪問当初は、当たり障りのない老人の生活に見えていたが、徐々に、異常な兆候が見え始める・・・・・。


で、ちょっと、変わっているのが、この映画全体が、姉ベッカのドキュメンタリー映画という体裁になっているところ。

だから、必ず、姉の撮影視点か、弟の撮影視点。(「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」みたい? 見たことないから、知らん。平たく言うと、ハメ撮り視点ですよ)

しかも、15才と13才という設定。

その年令で、ちゃんとした絵が撮れるわけもなく。
だから、ちょっと素人臭さを残しつつ、ちゃんと綺麗な絵になっている。

脚本にしても、視点が限定されると難しくなるのだろうが、うまく構成しているところは、まぁ、よく出来ているよ。


以下、ネタバレ。

第三者が祖父母と出会うシーンがないことから、「あぁ、そういうことね」と薄々分かりつつ、最終的には、偽者であることが明かされて「やっぱり」。

どんでん返しを最後までとっておくのが、シャマラン監督だからね。


それにしても、最近はPC、ポリティカル・コレクトネスに注意した映画が多いのですが・・・・・・・・、まぁ大作になればなるほど、大衆の総意が求められるのだから仕方ないとは分かりつつ、「あんまり配慮すると、当たり障りのない作品ばっかりになっちゃうよな~」という心配も。

でも、この「ヴィジット」、老人や知的障害者を恐怖の対象としているわけで、「いいのか?」と心配になってしまいますが・・・・・・。


で、まぁ、父親に逃げられたことがトラウマになっていた姉弟。

姉は、醜形恐怖症というのかな?
鏡の中の自分を見れなくなっている。

弟は、病的な潔癖症。
で、もう一つ、過去にスポーツの試合での失敗が、父親との別離につながったのではないかと考えている。


最終的には、姉は鏡に映る自らを直視することで、頭のおかしい老婆を退治。
弟は、かつての試合での失敗を乗り越えて、頭のおかしい老人を退治。

母親にしても、両親への罪悪感が解消されて、めでたしめでたし。


なんだけれども、母親は、なんで解放されたのか、よく分からなかったなぁ・・・・・。(だって、頭のおかしい老夫婦に、実の両親を殺されているんだぜ? 駆け落ちせずに、一緒に暮らしていたら、そんな悲劇は回避できたかもしれないわけで)


姉弟にしても、うーん。

偽の祖父は、不衛生ということで、潔癖症である弟の、ある意味、裏返し。
だから、打倒の対象となったのは、分からんでもないが。

偽の祖母というのは、姉のトラウマを象徴していたの?

偽の祖母が、なんか意味深な物語を語るシーンがあるんだよね。
それに、井戸にこだわったりしていることが関連しているんだろうけど、なんか、うまくつながらない。

こちらの読解力不足なのかね~。
うーむ。


・・・・・・ホラー映画は、めったに見ることはないので、それなりに楽しめました。


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2016年1月30日土曜日

「現代小説クロニクル(1985~1989)」


「現代小説クロニクル」の、1985から1989を読了。

村上春樹さんと、池澤夏樹さんの作品は既読。久しぶりに、読み直す。


村上春樹さんの短編「象の消滅」は、相変わらずの春樹節。

いつものように、バーなんだかパブなんだかで、女と酒を飲む。
世の男女は、そんなにも、バーやパブで、小粋な夜を過ごしているものなのだろうか?


池澤夏樹さんは、何冊を読んだ事があり。
どれも面白かった。

けど、この「スティル・ライフ」は、すっかり内容を忘れていた。

読み返して思ったのは、「薄い」。
リアリティはないけど、ファンタジーとしては中途半端。

これを「みずみずしい」と言うのかもしれないが。

だから、記憶に残らなかったんだろうなぁ。

でも、「安っぽい」とはなっていないわけで。
これが才能なんだろうなぁ・・・・・。


初見の中では、村田喜代子さんの「鍋の中」が、面白かった。

「是枝監督あたりが映画にしたら、いい感じになるんだろうなぁ」
などと思っていたら、もう黒澤監督で映画化されているのね。



ただ、原作とはかけ離れている模様。

そのうち、見てみよう。


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2016年1月25日月曜日

能條純一「麻雀飛翔伝 哭きの竜」を読んで


風邪を引いて、ボッーっとしている時に、「哭きの竜」を読みました。


漫画に限らず、作品が大ヒットすると、いろいろな所で、引用や言及がされるのは当然の流れ。
結果として、実際には触れたこと、見たことはないにもかかわらず、その作品について、無駄に半端な情報だけは知ってしまうもの。

「哭きの竜」も、「背中が煤けてるぜ」というセリフと、タバコを持った手が、顔の半分を隠している雀卓に座る男の絵は、読んでもいないのに、覚えてしまっています。

まぁ、連載当時に限らず、けっこう、ネタにされたもんなー。


で、改めて読んでみると、「巨人の星」がさんざんギャグ漫画で使われたことと同じように、独特の美学が、なるほどネタにされるわけだ、と納得。


ネタバレもなにも・・・・、という漫画ですが、以下ネタバレ。

強運の持ち主の「竜」という男が主人公。

1.裏世界でのし上がっていこうと企む野望多きヤクザが、竜の前に登場。
2.竜へ、おれの手下になれと、迫ってくる。
3.しかし、そのヤクザは、内部抗争やら、他団体からの襲撃によって、命を落とす。

ヤクザが死んだら、また新しいヤクザが現れて・・・・・・ということで、このパターンが、何度も繰り返します。


ここらへんは、なんつーか、ジャンプ漫画的とでも言いますか。
設計図がないまま、二階、三階と建て増しされていく感じが、突然に人気が出てしまった宿命なんでしょうけども。

冷静に考えると、任侠・極道漫画と、麻雀漫画を、強引に合わせた内容なんだよね。

凡百の作家であれば、「なんじゃ、こりゃ!?」という奇作になりそうですが、能條純一先生の描く、濃い顔をした中年・老人たちと、ケレン味たっぷりの見せ方で、「運の強い博徒と手に入れいると、ヤクザの世界でのし上がれるんだ!」という異様な設定が、なぜか納得出来しまう不思議、死んでいく不思議、花も風も街も、みんなおなじ。

全部で9巻という、程よい長さのおかげで、飽きずに一気に読めてしまいました。


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2016年1月23日土曜日

トム・ハンクス主演「ブリッジ・オブ・スパイ」


トム・ハンクス主演の「ブリッジ・オブ・スパイ」を見てきました。

二時間二十分という長さなのですが、さすがハリウッド映画なので、退屈することなく、見れました。


ストーリーは、アメリカで逮捕されたソ連のスパイを、トム・ハンクスが演じるドノバンが弁護するのが前半。

まぁ、これは、グアンタナモ収容所への当てこすりだよね。

オバマさんは閉鎖を公約にして大統領になったけど、結局、無理そうだものね。


で、後半は、その弁護したスパイと、ソ連で逮捕されたアメリカ人パイロット&東独で捕らえられた米国人留学生の交換について。

ちょうど、東西を分かつ壁が出来たばかりのベルリンで、ドノバンがソ連と東独を相手に交渉をします。


国家間のメンツやら、互いの力関係、当時の国際状況などなど、うまーく折り込んであってねー。

他にも、ドノバンとソ連スパイの友情にも似た信頼関係や、仕事が家庭に及ぼす影響なんかもしっかりと描いておりながら、現代社会への風刺・皮肉も込められているわけで、・・・・・いろいろ盛りだくなんだけど、それでも娯楽作として成立している当たりが、まぁ、ハリウッドの力だよね。

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2016年1月18日月曜日

映画「ライアの祈り」の感想



「「SFの9割はガラクタだ」というか、まぁ「どんなものでも9割はガラクタだ」なんですけどね。
(■スタージョンの法則)


高い山というのは、巨大な裾野があって成立するわけでして、あらゆる種類の作品というものは、多くのガラクタがあって、その上に万に一つの傑作がつくられる。(新規の媒体や新しいジャンルの勃興期においては、一人の天才が土台もなしに一気に傑作をつくりあげることもありますが、まぁ、例外ですよね)

だから、多種多様な作品が作られるべきであり、そして、玉石混交は致し方無い。


さて、「ライアの祈り」。

原作未読。

なので、映画のみの評価です。


結論としては・・・・・・映画に限らず、普段、あんまり物語というものに接しないタイプの人には、ちょうどいいのかな。


以下、ネタバレ。

うーん。

キャラが、わざとらしい。
なので、演技も無理があるものに。
だから、会話が上っ面。


ストーリーにしても、唐突過ぎることばかり。

まぁ名作とされているもので、偶然が契機となって物語が展開することは多いし、また、リアルな人生自体が、多くの偶然で出来上がっているのだから、致し方無いのではあるものの・・・・・・。

それにしても、同僚がミサンガが好きで、そこから彼氏にミサンガをあげる、とか。

海外で出会った古老に、突然人生の真実を問いただし、そして、その内容を前後の脈絡もなく彼女に喋り出す、とか。

母親の痴呆が震災を契機にひどくなった、とか。

突然出てきた幼稚園児に懐かれる彼氏、とか。


なんか、無理に、泣き所を詰め込みました感が、・・・・・・なんとも、ねぇ。


他にも、河相我聞さん、必要?
話題性で詰め込んだ? それとも、危険視されて、編集で登場シーンが削られてしまった?

で、ライアを主人公にした本は出来上がったの?

そして、同僚のレズ設定。「とりあえず、現代的な物語には、ゲイが必要だな、うん」といった感じの、安っぽさ。(武田梨奈さんは、可愛いのだが・・・・・)

これでもかと、八戸の名産品や名所を出てくるので、恥ずかしいったら、ありゃしない。


いや、まぁ、こういう作品を好きな人もいるんだろうけど、ね。


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2016年1月15日金曜日

近由子「女なのでしょうがない」の3巻の感想


さて、女性作家による「女なのでしょうがない」という、極めて自虐的なタイトルをした漫画の三巻。

(以前の感想は、こちら。■近由子「女なのでしょうがない」の1巻、2巻の感想)

三人の女性がメインキャラで、それぞれの仕事と恋をめぐって、話は展開されていきます。

以下、ネタバレ。



メインである青木ですが、職場の人間関係に疲れて、「結婚もいいのか?」と、考えるようにも。

しかも、見合いの相手は、一橋大学卒で、現在、仕事も順調、自家用車を持つくらいの経済力があり。中肉中背、普通の顔立ち。
てきとうに社交的で、青木のことを、気に入っている模様。

アラサーで、別に好きな人はいないけど、結婚を意識し始めた女性からすると、好条件な物件。

トキメキはないかもしれないけど、まあ、今更、大恋愛が待っているとも思えず。

で、楽しい時間を見合い相手と過ごしたのは束の間、休日明けに職場に出ると、自らの大ポカが発覚。
それを、同僚にフォローしてもらうことに。


青木の部下である風間。
ただいま、他部署へ出向中。

外見的な女子力は強いが、恋愛に関しては冷めている。
男というのは、自分の寂しさを一時埋めてくれるだけの存在と割り切っている。(心の奥底では、割り切っていないのだろうけど)

彼女も青木と同じように、ミスをしてしまう。
これまでは、仕事に熱を入れるようなことはなかったが、労働の達成感を覚えてるようになっており、青木とは対照的に、独力での失地挽回を志す。


仕事人間(仕事が好きなわけではない仕事人間だから、困ったものなのだが)の青木が仕事に倦んで、結婚(異性・恋愛)に逃げようとしている。

それに対して、男に逃げていた風間は、仕事へのスタンスに変化が見られる。

ここらへん錯綜しているわけでして・・・・・・。


で、三人目。
今回、表紙になっている君島。

外見的な女子力は弱いが、恋愛に関しては、ピュア。

風間的な異性との交流は認めれないし、青木のような逃げ場としての恋愛(結婚、異性)も考えられない。

アラサーで、そんなことでどうする? という感じだが、その彼女に相応しい相手として、アパートの隣に住む中学生男子から惚れられてしまう。

確かに、恋愛観は共有できるかもしれないが、・・・・・・まぁ、中学生男子とアラサー女子では、犯罪だよね。(逆パターン、中学生女子とアラサー男子を想像すると、分り易いですな)

結局、「いい思い出」として、付き合うことはなく、二人の両思い(?)は終焉してしまう。

健全。


この君島の健全性に対して、ここでも際立ってしまうのは、またしても青木の不健全性。

男に逃げるか? と思ったら、結婚する気にはならない。

どうやら、「母親から勧められた相手と結婚する」ということが、心のどこかで引っかかっている模様。

そう考えてみると、青木が仕事に打ち込むのは、母親への反発なのかな?

仕事からの逃避としての結婚も、母親の願望を叶える結果となってしまうのであれば、本気になれないわけでして。

というわけで、母親との対峙が、今後は、より鮮明になっていくのかな?


で、この「母親の願望」というのは、第一巻の、
だって、嫌なこと ばっかり言うんだ もん…お母さん
女の仕事は 結婚出産だ …って
という言葉が象徴しているように、古臭い(?)価値観に根ざしている。

青木は、車の運転免許すら、取らせてくれなかったみたいだもの。
(女は、車の運転すら必要ないって、サウジアラビアみたいね・・・・・。■サウジアラビアにおける女性の人権 - Wikipedia)

まぁ、有り体に言えば、「男は外で働き、女は家を守る」という、男性中心の考えなわけで、それを女性から押し付けられるという皮肉。(でありながら、母親は自動車免許を持っているのだが)


もとより、青木の自己評価の低さってのは、この母親の敷いたレールから外れてしまっている、ということが遠因なのだろう。

彼女が母の影響から完全に脱するということは、男社会からの解放をも意味するわけで、・・・・・「解放」は大げさでも、現代社会(男社会)と、どうにか折り合いをつけなくてはいけないのだが・・・・・・、さて。

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2016年1月6日水曜日

スターウォーズも新作が出たので「さよならジュピター」を見る



「スター・ウォーズ」の新作発表で、ちょっとだけ話題になった日本版「スター・ウォーズ」の、「宇宙からのメッセージ」。(「スター・ウォーズ」の感想、■今年最後の大作「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」)

【衝撃】1978年にスターウォーズに影響されて日本が作った和製スターウォーズがいろんな意味で凄い件(笑)

で、「宇宙からのメッセージ」ならば、こちらもと、言及されていた和製SF大作「さよならジュピター」。

どちらか借りて見てみようと思ったのですが、「宇宙からのメッセージ」はレンタルできるんですが、「さよならジュピター」は、どこのサイトもやってないんですよ。(買うまでは・・・・ね)

そうすると、俄然見たくなるのが人情でして。

いろいろ探したら、アマゾンでは配信されているんですね。

アマゾン、すげーな。

漫画「3月のライオン」なんか、アマゾンで先行配信されて、他の電子書籍サイトでの販売は一ヶ月くらい遅れてたりした。
「金、積んだんだなぁ」と思っていたけど、こういうマニアックな映画まで網羅して、もうなんか、勝てる感じがしないね・・・・・。


それは、ともかく。

「ヒドイ、ヒドイ」と、どこでも言われていたので、覚悟して見たんですが、・・・・・・まぁこんなもんじゃないですかね? というのが、正直な感想。

日本のSFに詳しいわけではありませんが、それでも「宇宙戦艦ヤマト」、「ガッチャマン」、「進撃の巨人」の実写版などは、チェックしております。

そこから逆算するに、過去作だけが、ベラボーに良く出来ているわけもなく。


日本産で、大人の鑑賞に耐えるSF影像作品って、うーん、「初代ゴジラ」くらい?

アニメなら、宮崎駿監督「風の谷のナウシカ」なり、押井守監督「GHOST IN THE SHELL」なり、海外でも評価されるようなSFが、いくらでもあるのだが。


で、「さよならジュピター」ですが、まぁ、他での指摘通り、特撮が、ちゃち。
それは仕方ないにしても、やっぱり物語を詰め込み過ぎ。
演出が野暮。

有名な無重力セックスは、星が瞬く宇宙空間を背景にして、半透明の三浦友和さんがフワフワ浮いているんだもんなぁー。



アニメなんかなら、まぁ許容されるだろうけど(それでも、最近は、使わない演出か?)、現実にやると、間抜けね。




技術力の問題だけではないんだと思うんだよね。

これだって、透明なガラスの上で、服を脱いでいるだけなんだろうけど。
今見ても、なかなか官能的ですな。


正直なことを言うと、三次元のSF映画に関してはハリウッドに、「資金」「人材」「ノウハウ」がしっかりあるから、日本に限らず、どの国も勝てるわけないよね。


それなら、せめてストーリーは、どうにかして欲しかったが・・・・・。

結局、宇宙人の残したメッセージってなんだったの?
ジュピターゴーストって?
「ジュピター」と呼ばれていたイルカの意味するものは?

うーむ。

投げっぱなしジャーマンが、うまーく作用する映画もあるけどさ。
それって、「2001年宇宙の旅」級だからな・・・・・・。

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2016年1月2日土曜日

「機動戦士ガンダム サンダーボルト 第1話」


最近の「カトキハジメ」調のスマートなガンダムではなく、元祖・大河原邦男の無骨なデザインを継承するかのような(またはプラモ狂四郎的な)モビルスーツが飛び交う、「機動戦士ガンダム サンダーボルト」。

「アニメ化される」と聞いて、オリジンがあるのに、同時に一年戦争モノをやるんだと、ちょっと不思議でした。

さらに、訝しいのは、長さ。
18分。

次回以降も、同程度の長さのようです。全四話で、合計一時間くらいになるのかな?

サンダーボルト宙域での戦いを描いた1巻から4巻なら、ちょうど二時間くらいの映画になりそうな話に思えるのだが・・・・・・。


ネット配信を主眼においた実験的な売り方を試す結果として、値段ワンコイン(税込み540円だが)と、それに応じた尺、ということなのか? と想像しますが、さて。

または、タブレットやスマホ視聴を想定しているから、18分ということもあるのかな?

いずれにしろ、オッサンからすると、ちょっとお値段が高くなってもいいから、三十分×四本にして欲しかったですが。
好評なら、全部まとめて、さらに新規の描き下ろしで、映画館公開も考えているのか?


さて、動画の出来ですが、最近のガンダムらしく、隙のないつくり。
音楽は、著名なジャズ奏者の菊地成孔さんだし。

しかし、18分なのでね。
中だるみがない、と言えば聞こえが良いのだが、戦闘シーンがメインで、物語に「ため」「凪」「谷間」といったものはない。

他の3話も同じようなつくりなんだろうなぁ。
なんか、短い戦闘が繰り返されるって、まるでソシャゲみたいね。

それが良いのか、悪いのか。

やっぱり、タブレット&スマホ視聴意識した結果としての、クライマックスてんこ盛りの作品になった(なる)のかね~。


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2016年1月1日金曜日

ソフィア・コッポラ「lost in translation」



ソフィア・コッポラと言えば、「ゴッド・ファーザー」のフランシス・コッポラ監督の娘。

「ゴッド・ファーザー3」に出演していたことは知っていましたが、「スター・ウォーズ」にも出ているのね。

wikiを見ると、どちらの演技も、酷評されているようですが・・・・・。


「lost in translation」ですが、公開当時は、まぁまぁ話題になっておりました。

フランシス・コッポラ監督の娘の作品・・・・・ということ以外に、日本を舞台にしているというのは、まぁ分かり易いウリですな。

公開は2007年。
ぼちぼち10年近く前の作品になろうとしていますが、未だに内外問わず言及されることがあり、「そんなら」と見てみました。


勝手なイメージとしては、「これが、おしゃれでござい」といった感じの、いけ好かない(?)映画と思っていましたが、・・・・・・まぁ、見た感想としては、「いけ好かない」ほどではなかったです。


以下、ネタバレ。

主人公は、かつて人気俳優だった中年(初老?)男性。
CM撮影の為に来日中。
ぶっちゃけ、お金目当ての仕事。
日本側にしても、彼の過去の名声が欲しいのであって、演技力などを期待しているわけではない。

もう一人の主人公は、若い女性。
大学を出て、結婚したばかり。旦那の仕事に便乗して、日本に来ている。
結婚生活には慣れてしまい、日々を持て余している。
かと言って、自分のやりたいことも見当たらない・・・・・・。


派手さはなく、物語は、淡々と流れていきます。

リアルなのは、二人の孤独。

俳優の男性は、長い結婚生活に倦んでいる。でも破滅的ということはない。
どうやら、奥さんの方は、さほど気にしていないご様子。(パートナーのいる国が早朝であることを調べもせず、FAXを送ってしまう)
だから、旦那が我慢すれば、済む話。

若い女性にしても、旦那が働かないとか、暴力を振るうとか、他に女がいるとか、・・・・そんなことはない。
旦那は、ちゃんと働いており、奥様のことも「それなりに」大事にしている。
だが、仕事が面白くて、妻の孤独に気付く余裕はない。


二人とも、「まぁそんなもんよね」という、日常的な孤独を抱えているわけだが、それが、異国の地にいることで際立ってしまっている。

この「異国の地」として、当時の「日本」は、かっこうだったんだろうなぁ。

ちょっと前どころか、今でも、欧米人が描く日本となると、「寿司」「芸者」「相撲」「富士山」「侍」なんだが、この作品では、先進国だが、欧米とは違った文化を築いている街として、描かれている。

また、言葉が通じても、深い意味をやり取りするほどではないところが、二人の「孤独」を、よりいっそう意識させる効果を生んでいる。


同じ「異国の地」でも、後進国を舞台にしてしまうと、現代的な孤独を抱えた人間が、当地の素朴な人たちと触れ合うことで、現代社会が失ってしまった大事なものを気付かされる・・・・・てな展開になるのだろうけど。


で、「ちょっと前の日本って、こんな感じだったよなー」や、「外国人から見ると、こういう風に、映っているのね」、「今、同じような作品を撮ろうとしたら、上海が舞台になるか?」なんてことをも思いながら、まぁボチボチ、面白くみれました。


それにしても、女性の主人公が、スカーレット・ヨハンソン。

大学の哲学科卒というだけあって、化粧っけのない、地味目の女の子として作品では描かれているわけだが、・・・・・・・・・・・隠れきれない、その美貌。

しかも、超絶ナイスバディ。(女性監督が撮っているので、別段、いやらしくはないのだが)

こんな美女が異国の地で寂しくしていて、その埋め合わせで勝手に近づいてくるのに、間違いがないなんて・・・・・。
そんなわけ、ねーだろ!

と思ってしまうが、ここらへんが女性監督なんだろうなぁ。

そして、最終的には、二人の孤独が解決されたわけではない。

そういうリアルがありつつも、二人でキスをして別れるという、ある種のファンタジーが「程よい」んだろうね。

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