2014年10月31日金曜日

THE NEXT GENERATION パトレイバー/第3章



人質になった隊員救出がメインの第四話。
南海で見つかった謎の生物にまつわる第五話。


四話の感想としては、ロシアから研修できている、という設定のカーシャが大活躍なんですが。
彼女、ミズタクこと松田龍平の奥様なのね。

さすがイケメン、奥様もお綺麗で。
白兵戦のシーンも、美しく舞ってました。


それ以外の感想は、やはり、今回も緩い。
バトルシーンは、力入れてやっているのが分かるけど、人質になった隊員たちが、拘束もされずに自由気ままにしているという、このリアリティのなさ。

後は、レイバーをおとりにして、背後から急襲というのは、初期OVAのまんま。

ここらへんも、わざなんだろうね~


五話。

「レイバーと怪獣」は、漫画、アニメ、ついには映画にまでなったわけでして、まぁパトレイバーシリーズのお約束。

特撮には思い入れがないので、いろいろとパロっているんだろうけど、正直、いまいち理解できず。

ストーリーも、やはりいい加減。

慰安旅行にきていた第二小隊が、なんとなく怪獣騒ぎに巻き込まれるという、やはりリアリティのない展開。


相変わらず、くだらなくて、とても良いです。


過去の感想
THE NEXT GENERATION パトレイバー/第1章
THE NEXT GENERATION パトレイバー/第2章

THE NEXT GENERATION パトレイバー/第3章 [Blu-ray]
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2014年10月30日木曜日

西川美和監督「夢売るふたり」を見て、どうしようもない不安が襲ってくる



西川美和監督の作品は、「ゆれる」にしても、「ディア・ドクター」にしても、見ている人の価値観が試されるような映画ですが、「夢売るふたり」は、前二作以上でした。

ネタバレですが、開始早々、夫婦で営んでいる酒屋が火事になってしまい、せっかく築いた夢の城を失くしてしまった旦那が、やさぐれて、ろくに働きもせずに昼酒。

しまいには、真面目にバイトに勤しむ妻を詰るといったダメ人間化。それが開始二十分くらい。

さすが、西川美和監督でして、妙に迫るものがあって、見てられない。
鑑賞諦めて、録画しておいた「タモリ倶楽部」に逃げちゃったよ。


つまんなくて見るに耐えないということは往々にありますが、この作品の場合は、痛々しくて見てられない。

小説にしろ、漫画にしろ、映画にしろ、まるで男性社会への復讐のように女性が女性自身を露悪趣味で描くことが往々にしてあります。

まぁ、この映画も、その路線なんだけれども、凡百の作品とは違い、松たか子さんの怪演もあって、メーターが振り切れている感じ。

僕が男性だからなのか、どうにもツライ内容でした。
女性が見ると、また違うのかな?


この映画の筋立てで秀逸なのは、結婚詐欺を題材にしているけど、「男が女を騙す」や「女が男を騙す」ではなく、「夫婦が女を騙す」というところ。

どんなに立派な仕事をしていようとも、結婚や出産を経験していない女性というものは、世間では、まだまだネガティブに捉えられてしまいがちです。

時には、世間が思う以上に、本人が、そう思ってしまったりもします。

で、自らの人生に、どこか欠けているものがあるのではないかと恐れて生きている女性に対して、埋め合わせをしてくれるのではないかと思わせるような男があらわれるわけでして。
もしかしたら、お金でもって解決ができるのではないかと思ってしまい、ついつい差し出してしまう。

この行為が、つまりは、騙す側、資金を得る側からすると、「夢を売る」です。


単純に男性が一方的に女性に売っているのではなく、夫婦で売ることで、物語に異様な緊張感を持たせています。

特に、途中から登場する、「一般的には女性的な魅力に乏しいと評価されてしまうような容姿を持った」(←言葉って便利です)ウエイトリフティング選手の女性に対して、松たか子は、「いくらなんでも、これは無理ね」と言ってしまうのですが、それに対して、旦那の阿部サダヲが、「そんな言い方ねーだろ」と怒るシーンなんかは、もう、なにがなんだか。

つまりは、松たか子からすると、こんな不細工な女は、「女としての」夢を見る権利もないと断罪したわけでして、一方で、旦那の阿部サダヲは彼女にだって「女としての」夢を見る権利はあると主張しているんだけど、じゃぁ何をするかというと、結婚詐欺なわけでして。

この二重三重に倫理的にややこしい展開、そして男女の対立に、なんか、もうグッと疲れます。


で、この夢を売って(結婚詐欺)手に入れた資金で、なにをしたいのかと言うと、炎上してしまったお店の再建。

これも、また「夢」なんだよね。

でも、それは旦那の阿部サダヲの「夢」であって、妻の松たか子の「夢」かと言うと、ちょっと微妙。


それは自分でも自覚しているようだけど、「なんで、そこまで旦那に固執するの?」というのは、どうにも、映画の中には答えはないようです。

強いて言うと、この社会が、未だに暗黙裡に女性に強制していることなのかな?
妻は黙って、旦那に付き従うもの。


で、最終的には、お金も集まり、阿部サダヲが理想とする店が開業できそうになるけど、・・・・・・が、最後の結婚詐欺で、ヘマをしてしまう。

阿部サダヲは、母子家庭の家に入り込むため、得意の料理をするべく、店の再建を象徴する「包丁」を持ち出してしまう。

で、すっかり、そちらの家が居心地が良くなってしまった阿部サダヲは、松たか子のもとには帰ってこない。

彼にしてみれば、相手の家庭を信頼させる為だったのかもしれないけど、松たか子からすると、それは許せなかった様子。

独身の女に言い寄る分には我慢もできるけど、父が不在の家庭に、父親代わりになろうとするのは、彼女の中では一線を越えていると感じたようです。

結婚したら子供を持つべきというのは、それもまた、未だ日本社会が暗黙裡に女性に強制する観念でして、子供のいない松たか子からすると、阿部サダヲのやろうとしていること、度し難い背信行為だったのかね?


で、ラストですが、因果応報的に、阿部サダヲが逮捕されて、刑務所へ。

松たか子は、どうしたのかと言うと、僕の解釈では、刑務所の近くで働いているように思えます。

結局は、旦那と離れられないということを暗示しているのか?


一方で、最初に阿部サダヲにお金をくれた女性には、郵送で返金している。

最初のお金って、騙し取った(夢を売った)わけではなく、炎上してしまった店の常連さんが、お店の再建資金にと、くれたもの。

つまりは、この場合だけは、店の常連さんが、阿部サダヲの夢を買ったんだよね。

で、そのお金を返したのは、おそらくは逮捕された阿部サダヲではなくて、シャバにいる松たか子のはず。

すると、夢が実現したのではなく(お店の再建は失敗して、夢は実現していないからね)、もう必要ないから返金した、ということなのかな? こう考えると、二人は別れた、ということになるのだろうけど。

さて、うーむ、分からん。


とにかく全編にわたって、痛々しい映画でした。
まぁ、面白いんだけど、見るのがしんどかったです。



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2014年10月26日日曜日

松井優征「暗殺教室(11)」の感想



アニメ化&実写化が決定した「暗殺教室」。

こうなるのは時期が早いか遅いかの問題でして、クロリティが高く、人気がある作品ですから、当然の流れですなー。

でも、まぁ、実写化は、ちょっと意外というか、無謀というか。


早速、ビッチ先生が韓国人アイドルということで、ネットではもめているようで。

作品見ないで批判するのは良くないですが、確かにロシア人という設定にアジア人を当てるのは、・・・・・まぁねー。

いっそ、金髪という設定をぬいて、「謎のアジア人」にしてしまうなら、分かるんですけど。

公表されたキービジュアルでは、パツキンのズラかぶっているんだよね。うーん。

いろいろと、大人の事情があるんでしょうけど(注「また韓国がゴリ押しをしてきた! 日本のエンターテイメント業界は韓国に支配されている!!」という被害妄想ではないです)。

実写化って、難しいね。


それは、ともかく。


漫画の「暗殺教室」ですが、ある意味(←便利な言葉)現代漫画のトップと言える作品ではないでしょうか?

「破天荒な教師と、悩みを抱えた生徒たちとの群像劇」という伝統的な教師モノの型を舞台にして、ギャグ、人情、格闘、頭脳戦、友情、スポ根、微エロ、恋愛、パロディ、・・・・・・いろいろな要素がぎっちり入っています。

幕の内弁当とすれば、和洋中、魚肉野菜、米麺パン、和菓子洋菓子フルーツ、全部入っているという感じです。

これだけ詰め込むと、普通なら味が混ざって取り返しのつかない結果になるんだけど(邦画の大作にありがちですが)、「暗殺教室」は、ちゃんと筋が通っているのが、すごいというか、巧みというか。


ただ、11巻は、あんまりストーリーに進展はなく。長期連載を見据えて、引き伸ばしにかかっている感はあります。

別に、「つまらん」というわけではないのです。


最終的には、殺せんせーの正体が分かって、暗殺が成功し、生徒全員の問題が解決して、ハッピー! になると、多くの人が予想しているのでは?

で、おそら、僕以外の、く多くの読者が違和感を持っているだろうけど、殺せんせーって、完璧な教師なんだよね。

生徒からも絶大な信頼を寄せられている。

その完璧な先生を殺さなくてないけないというジレンマが、まったく描かれていない。


生徒たちは、毎度毎度、いろいろと手を変え品を変えて、殺せんせーを襲うけど、彼がいなくなってしまう恐怖や不安、殺してしまう罪悪感は持っていない。

逆に言うと、完璧な教師だから、きっと「殺せない」という安心感が出来上がっている、ということなのかね?

最終的には、それが、暗殺への最大の障害になっていくような気がしますが、さて、どうでしょう?


個人的な予想としては、「暗殺には失敗するけど、殺せんせーが、生徒たちの力によって怪物化する前の姿に戻って、ハッピーエンド」ではないかと思っております。


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2014年10月25日土曜日

新川直司「四月は君の嘘(10)」の感想



一度はピアニストを諦めた主人公の有馬だったが、バイオリニストの宮園の導きで、もう一度、プロになるべく立ち上がる。

その一方で、宮園自身は病魔に蝕まれており、バイオリニストを諦めようとする。

今度は、有馬が宮園を導こうとする・・・・・・というのが、以前までのお話。


10巻では、有馬の努力によって、宮園が、もう一度、生きる努力をし始める。

で、二人の関係は深まっていく。

徐々に、自分の気持ちに気が付き始める有馬。

二人の関係の進展に苛立つ、有馬の幼馴染の椿。


ド直球な、三角関係が、顔面紅潮するくらいに、清々しいです。


しかし、やっぱり宮園かをりは、死にそうだね。

タイトルからすると、「四月」が命日になるのかな・・・・・。


新川直司「四月は君の嘘」を、1巻から5巻までの感想
新川直司「四月は君の嘘」を、6巻から9巻までの感想


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2014年10月23日木曜日

映画「NO」を見てきました


チリのピノチェト独裁政権を退陣に追い込んだCM作成を追った映画「NO」を見てきました。

セミドキュメンタリー・・・・とまでは、いかないのかな?

でも、派手さはなく、淡々と進んでいくので、序盤は、ちょっと寝そうでした。

が、内部の不協和音や対立がありつつも、政権側からの嫌がらせを乗り越えて、徐々に退陣への機運が高まっていくのは、やっぱり緊張感が出てきて、目が覚めました。


作品としては、羽目を外さない大人向きの作品ですが、それでも、「CMは、こんなにも効果があったんだ!」という流れなものですから、逆に、「そんなに効果があったのかね?」などと斜に構えて鑑賞してました。

見終わった後に、wikiを見ると、国際的な圧力によって実施されたピノチェト大統領の信任投票は「反対が56%、賛成が44%」ということですから、けっこう僅差。

なるほど、こういう筋立ての映画ができるのも納得。
(■アウグスト・ピノチェト wiki)


で、実際に流されたCMが、映画の中でも登場するのですが、当然ながら、ちょっと古くさい。

80年代のバック・トゥ・ザ・フューチャーが流行っていたころのような、「未来は希望に満ちている!」という前向きなテイスト。

映画の中では、この無専任なくらいの明るさは、戦略であったと明かされているのですが、それにしても、民主主義の現実ではなく、理想・希望にあふれていて、今見ると、なんだか、こっちが恥ずかしくなってしまう。

現代日本に生きる僕にしてみると、まぁ、この眩しさは、ちょっとむず痒いですね・・・・・。

2014年10月21日火曜日

「我妻さんは俺のヨメ(13)(完)」の感想


最終巻でした。(ギャグが薄かったな~)


メインヒロインである我妻さんの憧れである関文先生が、実は、主人公の青島と同じ、タイムストリップの能力があることが発覚。

未来の我妻さんと青島の関係を教えてくれるのだけれども・・・・・・、関文先生に、そんな能力があるなんて、伏線あった? と思わないでも。

そもそも、なんで、主人公の青島が未来を知ることが出来るのか、理由がなかったからね。
基本、ギャグ漫画だから、そんなもんかもしれないけど、一応、理由が欲しかったような。


後、高校三年のクリスマスに、我妻さんとキスをするという未来も、どっかに行ってしまった・・・・。

まぁ未来が変わった、ということなのか?


で、ストーリーですが、性格は良いけど、努力は嫌いというダメ主人公が、努力の結果、ヒロインに振り向いてもらえるような成果を上げ、「もしかしたら、付き合えるのかな?」てな感じで終わり。

ありがちと言えば、ありがち。
王道なラストでした。

過去記事
「我妻さんは俺のヨメ(12)」の感想


我妻さんは俺のヨメ(13)<完> (講談社コミックス)
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2014年10月20日月曜日

渡辺謙さんの前に初代「ゴジラ」を見た



渡辺謙さん主演のゴジラを見る前に、初代というか、元祖というか、本家というか(真打ちではない)、無印の「ゴジラ」を見ました。

NHKで放映したものですが、デジタルリマスターなので、昔のように映像がボケボケだったり、音がくぐもっていることもなく、非常にクリアー。

場面によっては、白と黒のコントラストが、非常に美しいです。

デジタル技術の驚異って奴ですな。
(上のyoutube、HD画質ですが、リマスター前のもののようですね)


ストーリーは、もう説明する必要のないほど有名ですが、核兵器によって眠りから覚めたゴジラが、日本に上陸して暴れまわるという反核をモチーフにした映画。

そういうハードな一面がありつつも、日本の特撮文化の嚆矢でもあります。


話が逸れるのですが、「ガンダムUC」で、最初「NTD」と呼ばれていたものが、フル・フロンタルによって「ニュータイプ・デストロイヤー」が正式な呼称であると明かされました。

それを聞いた瞬間、「うーん、もうちょっと」と思ったのは、僕だけでしょうか?
(ガンダムマイスターとか、まぁ結局は子供向きなんだから、そういう名前になってしまうのは、仕方ないんだろうけど)


でも、今回、改めて「ゴジラ」を見たら、ゴジラに対抗する兵器の名前が「オキシジェン・デストロイヤー」。

「破壊と警鐘」のイコンに対抗するものは、「デストロイヤー」と名付けるのが、日本サブカル界においては伝統なんだと納得。


伝統と言えば、芹沢博士の風貌が、日本におけるマッドサイエンティストのひな形ですな。
これと、死神博士が合体して、現代に至るって感じですね。

THE NEXT GENERATION -パトレイバー-の芹沢博士(嶋田久作さん)


でも、芹沢博士(ゴジラのね)って、アイパッチして、自前の研究所で、誰にも理解されないような研究しているから、マッドサイエンティストみたいに見える。

で、名俳優「志村喬」さん演じる山根博士の方が常識人な感じがする。


でも、山根博士ったら、東京が火の海なのに研究対象としてゴジラは生かしておくべきだ、とか言い始めて、逆に芹沢博士の方が、ゴジラに対抗できる兵器は、結局はゴジラと同じ破壊をもたらすことになるというジレンマに悩まされていることが分かり、こっちの方が誠実に思えてくる。

周知のように、オキシジェン・デストロイヤーを発動させた芹沢博士は、その知識を封印するために、ゴジラと一緒に海底で死ぬことを選ぶわけでして、こうして福島原発事故後の世界に生きる日本人にしてみると、感慨深いものがあります。


・・・・・おまけの感想ですが、311以降で、黒澤明「生きものの記録」が、意外にクローズアップされないですよね?
あれこそ、新たなる核の問題を突きつけられた現代日本において、もっと言及されるべき作品だと思うんだけど、意外に誰も触れないよな~。

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2014年10月19日日曜日

映画「あの頃、君を追いかけた」に、身悶えする



「藍色夏恋」に久しぶりに触れて、他の台湾映画が見たくなり、手にしたのが「あの頃、君を追いかけた」。ニューズウィークで映画評が載っていて、悪くない評価だったのもあります。
(ちなみに、「藍色夏恋」の感想。■魅惑の90分映画「藍色夏恋」)


いやー、身悶えする青春映画でしたよ。

こんな青春送ってないけどさ、やっぱ、それなりに思い出すことはありますな。


内容としては、お馬鹿な主人公と、優等生美少女のラブストーリー。

主人公が、あまりにも勉強しないことに心配した少女が、女王様然としてお節介を焼くという、王道ツンデレですよ。


でも、正直、このヒロイン(陳妍希)が綺麗なんだけど、ちょっと高校生には見えない。
実際、撮影時は二十代後半くらいかな?

大学生のシーン以降は素直に見れるけど、高校生のシーンでは、ちょっと違和感が残る。

もっとも、「幼稚なままの男と、先に成熟してしまった女」が、この映画の重要な要素になっているから、敢えて大人の女性を配したのかもしれないけどね。


他の登場人物に関しても、ちょっと高校生にしては老けているけど、まぁ、高校生、大学生、社会人までを描いているので、ある程度は仕方なし。

若い子が老けたメークすると、もっとうそ臭くなるからね。

それに、けっこう、ぶっ飛んだ設定のキャラばかりなので、若い子に演じさせるのは、難しいだろうし。


キャラの話をすると、主人公とヒロイン以外に登場人物が多いんだんけど、物語ではあんまり活躍しない。

こんなに沢山必要? とくに大学宿舎でのルームメイト。

と、考えてしまいそうになるけど、人生を振り返ると、誰もが個性的な人間たちとの出会いが思い出されるわけでして、ワチャワチャと人間を登場させることで、そういう効果を狙っているのか?


まぁ単純に、製作者が、原作に登場した人物を、端折るのが惜しくなった可能性も高いけど。


ストーリーに関しては、一応「自伝」らしいのですが、登場人物がそうであるように、どこか、ジャパニーズアニメやマンガ的。

作品中でも、はじめの一歩、北斗の拳、スラムダンク、ドラゴンボールが出てくることからも、まぁ作者自身も影響は認めるところかな?

しかし・・・・・・、邦画において漫画原作の青春モノが、今一歩な感が残ってしまうのに対して、こっちは上手くできております。まったく、羨ましいというか残念というか。
(ホットロードの感想 ■能年玲奈主演「ホットロード」を見たわけだが)


でも、一箇所、「そりゃ、ないだろ」と思ったのは、ネタバレなんですが、主人公とヒロインが、別れるシーン。

男らしいところを見せたいと思って、主人公が格闘大会を開くところ。

「えぇ? なに、それ? 台湾では一般的なの? 違うよね?」

マンガの影響?
恋愛映画の中に、ピリッとアクションを入れたかった?

うーむ。

原作は「自伝」ということなので、本当にあったことなの? それなら、それで、アレだが。


起承転結で言えば、「転」に当たる物凄い重要なシーンなのに、あんまりにも突拍子もなかったな・・・・。


幼稚な主人公に、ヒロインが怒るというシーンが欲しいにしても、たとえば、「二人で歩いていたら町の不良に冷やかされて、そこで喧嘩になって」みたいな、もうちょっと現実的な設定もできただろうに。

あぁ、でも、それじゃ、主人公の幼稚さが表現できない? 突拍子もなく、マンガチックだからこそ、主人公のアホさが強調されるわけか。

それにしても、まだ納得できんな・・・・・。


でも、全体としては、しっかりまとまっています。(笑えるけど泣けるというラストが、すごくイイよね~)

原作者が、そのまま監督をしており、さらに、これが映画デビューというのが信じられないよ。


「別れたとは言え、また連絡を取ったらヤラせてくれるんじゃないかな?」と思っている紳士や、「別れたけど、結局、あの人は、まだ私のことが気にかかるのね。でも、ヤラせてあげないけど」と思っている淑女の皆々様には、是非、見て欲しい映画です。


挿入歌



しかし、これ、重要な場面が全部出ちゃっているね・・・・・。

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2014年10月17日金曜日

東村アキコ「主に泣いてます 6-10(完)」読了


漫画「主に泣いてます」の最終巻の10巻まで読了。

(五巻までの感想は、■東村アキコ「主に泣いてます 1-5」読了)


出会った男性は、全て狂ってしまう超絶美人&ナイスバディの泉さんをめぐる物語は、過去に遡り、そして現在の妹にフォーカスが当たり、で、まぁ、一応、和解が成立。

薄幸の美人・泉さんにも薄明かりが見えたのも束の間、今度は、かつての愛人であった青山先生が意識不明の危篤。
どうやら、自殺を企図したよう。

ショックを受ける泉に、自分が支えるとばかりに、積極的に介入を図る主人公の赤松君であったが・・・・・。


美人である以上は、彼女は不幸の星から逃れられない。

では、どうしましょう? ということなんだけど。


途中読んでいて考えたのは、まさか、谷崎潤一郎「春琴抄」ルートか? ということ。
泉さんは、第三者なり、自らの手なりで顔をつぶし、彼女の心の美しさを愛している(と思っている)赤松君は、目をつぶす、とか?

まぁギャグ漫画だし、それはないか・・・・・・。

でも、そうでもしなきゃ、この物語って、延々とループの繰り返し。
ギャグ漫画だから、それはそれでアリだろうけど。


どう落着するのかな? と思っていましたが、「春琴抄」ルートとはいかないけど、「泉さんを太らせよう(醜女にしよう)」計画もあったりしたけど、うまくいかず。

最終的には、「美人だから」「か弱いから」「女性だから」「若いから」という理由で、みんなが泉さんをかばおうと必死になるから、より彼女は不幸になっていくという構図が露わになり、その結果として、彼女は自立を志す。

そして運良く自立が出来(ここらへんは、ラストが差し迫って、駆け足でした)、画家として成功した赤松君の前に堂々と顔を出して登場。


つまり、今まで、散々、泉さんがやってきたメークって、過保護の象徴だったのね。

彼女を守ってやりたいという善意の裏側には、「か弱い美人でいて欲しい」という身勝手な(社会の)願望が投影されており、結果して彼女の自立を妨げ、不幸にしてしまっていた。


で、強くなり、と言うよりは、自信をつけた泉さんの笑顔で大団円。


なんだけれども、まぁ、ちょっとモヤモヤが残るなぁ・・・・。


青山先生の記憶喪失はウヤムヤだし、どうやって本妻が愛を取り戻したのか、その過程は省かれちゃっているし。


重要なキャラの一人、中学のつねちゃん(女)は、結局、なんで登校拒否していたのかね?

「彼女の性格だから、仕方ないでしょ?」と言われたら、その通りだけど、それにしても、これからは、ちゃんと学校行くのかな?


で、もっとも重要なのは、つねちゃんは、泉さんの保護者であり、かつ赤松君に惚れているという微妙な立場。
この三角関係が、物語に、ゆるーい緊張感を生んでいたんだけど、・・・・・・結局は、なんかグダグダで、終了。


泉さんはつねちゃんの思いを気がついており、赤松君が自分を思っていることも知っている。

で、赤松君は泉さんへの思いは、ほとんどカミングアウトしているけど、つねちゃんの思いには気がついていない。

つねちゃんは、赤松君の泉さんへの思いは知っているけど、別に泉さんを嫉妬するわけでもなく。


最終的には、赤松君は泉さんを追って、一緒に生活をしているようです。

でも、モデルと画家以上の関係にはなっていない。

もともと、赤松君の目標は画家として食えるようになって、泉さんを守っていくこと。

でも、泉さんが自立してしまった以上は、新しい関係を築かなくてはいけないわけでして。

そこまでは描き切れなかったということで、結局、三角関係は維持されたまま終わりです。


うーむ、ちょっと、モヤモヤ。


「ハチミツとクローバー」では、天才だけど孤独で、どこか浮世離れたところのある「はぐちゃん」の自立が問題になっているんけど、結局、不慮の事故もあって、なんと保護者とくっ付くというエンドで、多くの世の男性に「ファザコン恐るべし!」と心底思わせた作品です。(かなり極端な解説をしております)

それに比べると、勝手に社会から求められる「女とは、所詮、見てくれ」という価値を、やんわりと否定し、自立に向かっていっているので、「主に泣いてます」の方が健全なラストではあるんだけど。


たまに毒が濃くて(風刺が効き過ぎて)、読んでいて辛い時もありましたが、基本的には、ぶっ飛んだギャグ漫画で楽しかったです。


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2014年10月14日火曜日

魅惑の90分映画「藍色夏恋」



「90分 映画 おすすめ」とかで検索すると、けっこういろいろと出てくるんだけど、「藍色夏恋」は載っていないので、ご紹介。

上映時間は、83分。
台湾映画。
制作は、2002年。もう十年以上前なのね・・・・。


邦題は「藍色夏恋」という、こっ恥ずかしいものになっていますが、原題「藍色大門」、英題「Blue Gate Crossing」。

超訳すると、「青春の門」てな感じか? こっちも、恥ずかしと言えば、恥ずかしいタイトルです。


ストーリーは、少女の一夏の恋を描いた、淡い作品です。

と、書いてしまうと、まぁ、ありきたりなんですが。


徐々にネタバレなんですが、同性愛の映画です。

ですが、この映画の秀逸なところは、同性愛を描きつつ、決して物珍しいものにはしていない。大仰にはしていない。

だからといって、オシャレ映画にして誤魔化してはいない。
その苦悩から逃げてはいない。


女子高生が、同級生を好きになる。

現代だって、異性を好きになるよりも、同性愛は、ハードルが高い。
まして十年以上前。

当然、それは、身近な人にも秘密にしなくてはいけない。


・・・・・・でも、思春期の恋愛なんて、異性愛者でも、そんなもんですよね。

だから、僕のような同性に性的な興味を持たないタイプでも、単なる野次馬的な「ゲヘゲヘ、同性愛の世界は、こうなっているんだ」という下世話な視点ではなく、共感をもって、この映画を見ることができます。


まぁ、おっさんなんでね。

表情のかたい線の細い少女が(ある意味、エヴァの綾波タイプか?)、孤独と戦いながらも、ひたむきに恋情を守っている姿は、グッときます。
(主役の女の子は、グイ・ルンメイ(桂綸鎂)。これがデビューとは思えないレベルの、いい演技をします。中国語が分からなくても、吹き替えよりも、字幕版をオススメします)


ラストも、程良いんだよね。

主人公は、意を決して、意中の子に告白をするんだけど、残酷にばっさりと断れてしまう。(まぁ、相手は異性愛者なんだから、そりゃ当然なんだけど)
ご都合主義を発揮すること無く、また変に温情をかけることなく、これがリアルな反応。


でも、もう一人の重要な人物である、主人公に恋してしまう少年とは、理解し合える。


で、ずっと不機嫌そうにしていた主人公の少女は、理解し合えたことで、鮮やかな笑顔になるんだよ。

そこから、思春期特有の一過性同性愛から異性愛になっていくようにも見えるし、同性愛者のまま異性の友人(理解者)を得たようにも見える。

同性愛者にすると、このラストは「逃げだね」「ねぇーよ」「こんなのファンタジー」となるかもしれないけど、まぁ異性愛者の僕からすると、九十分で、過不足無く、ちゃんとまとめたな~と感心。


ストーリーも巧みだけど、派手さのない音楽も良くてね。

また、台湾の夏の風景が、日本人には、新鮮。
十年以上前だけど、舞台は台湾の都市部だから、そこそこ発展しており、日本人からすると、そんなに違和感はない。

でも、やっぱり微妙に違う。
自転車やバイクが走り回る町中や、高校の校舎、アパートの屋上とか、やっぱり、異国。

そこらへんも、見ていて面白いです。


で、ベタ褒めしておきながら、なんですが、この映画を数人の知り合いにみせたところ、あまり、いい評価はいただけませんでした。

曰く「単調」だそうで・・・・・・。


うーむ。

なぜだ、なぜ、この映画の良さを理解できない。こんなに素晴らしい映画なのに。単調? そんなことないだろう。九十分という長さで、青春の孤独と愛を十二分に描いているじゃないですか? どうして理解できないんだ!? くそっー、おれは孤独だ!!

という、まぁ、ねじくれまくった中高生のような気分も、ちょっとだけ味わいました。


派手さはないので、普段、起伏のはっきりとした映画を見ているタイプには、受け入れ難いかな~?

アマゾンでの評価は高いんですけどね・・・・・・。


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2014年10月11日土曜日

東村アキコ「主に泣いてます 1-5」読了


東村アキコさんの「主に泣いてます」の全10巻のうち、5巻まで読了。


容赦無いギャグ漫画だな・・・・・。


ストーリーは、超絶美人の泉さんを巡る物語。

あまりの美麗&ナイスバディで、既婚未婚、老若を問わず、あらゆる男が一瞬で惚れてしまうという特異(?)体質。

しかし、本人の性格は控え目で、そんな自分を嫌っている。
(そういう、不幸が全身からにじみ出ている女性というのは、また男にモテたりする)


妹の新郎までも惚れさせてしまうという事件に絶望して、投身自殺しようとしているところを美大の教師で、絵描きでもある青山先生に救われものの、彼は既婚者であった。

で、そんな状況に、主人公の赤松君(青山先生のお弟子)は振り回されて・・・・・という感じでストーリーは進んでいきます。


美大生が主人公で、ハイテンションなギャグ炸裂なので、ちょっとだけ「ハチミツとクローバー」を思い出させる面もあるけど、アッチは、ストーリーがメインでギャグはサブ。

こっちは、ギャグがメインでストーリーがサブ・・・・と表現すると、ちょっと違っているかな。

正確には、SFにおいては、空想的な設定を利用することで、逆に現実世界が浮き上がってくるように、ギャグ漫画を利用して、「薄幸な美人」の救済を描いている、という感じ。


ちょっと不思議なのは、なんで、泉さんは、青山先生には惚れちゃったのかね?

一応、彼の絵の中にいる自分を見て、自己肯定ができた、とはなっているけど。

青山先生は、女の敵というヤツで、綺麗な女性を見れば、手当たり次第にちょっかいを出すタイプ。
顔はいいけど、男としては、かなり難のあるタイプ。

まぁ現実においても、そういうタイプはモテたりしますが。

でも、泉さんは、他の男から逃げておきながら、なんで青山先生みたいな男に飛び込んじゃったかね・・・・・・。


強いて理由を探すと、青山先生は本気で泉さんに惚れることがないからか?

惚れないからこそ好きなのであって、惚れてしまうと、その時点で終わってしまう、というのは、リアルでもあるもんな。


マンガは、面白いことは面白い。

けど、冒頭で「容赦無いギャグ漫画」と書いたのは、作者が徹底的に冷めている。

泉さんと青山先生との不倫も、美しく描こうとすれば美しくなるけど、そうはしない。

泉さんが主人公なのだから、タイトル通りに、ただただ泣いている悲劇的な側面ばかりクローズアップして、悲しい物語にしようと思えばできるけど、それもない。

ドロドロ&グチョグチョ、人間の負の側面を強調してやるぜー、なんてこともない。

不倫と言えども、単なる「ネタ」にしている。


他にも、泉さんの親友の「つねちゃん」が主人公の赤松君を好きだけど、やはり、これも手心を加えることなく、作者によって、「ネタ」にされてしまう。

もちろんのこと、泉さんに惚れてしまう男たちは、ぜーんぶ、「ネタ」。


読んでいて、たまに引っかかるのは、その酷薄さ。

つまりは、愛についての作者の突き放し、というかルサンチマンが、この作品の底流にあるんだろうな。

そこが、「あんまりだよ・・・・」と思うこともあるけど、ギャグ漫画だから、そこまでやるからこそ、面白いんだけどね・・・・・・。


主に泣いてます コミック 全10巻完結セット (モーニング KC)
by カエレバ

2014年10月9日木曜日

映画「砂の器」のブルーレイが、お手頃価格で販売



「ネット通販で買い易い価格というのは、3000円以内」
と、聞いたのは、もう5、6年くらい前の話なので、今はちょっと違うかもしれません。

が、自分的には、「まぁそうだな」と今でも思ってしまいます。

なんとなく、音楽アルバム一枚くらい(CD)なら、失敗しても「まっ、いいか」と思える金額です。(今時CDなんて買わない人が増えてきているのだろうから、オッサンくさい基準だよ)

で、映画「砂の器」が好きなので、ブレーレイ欲しいなと思いつつ、5000円すると、ちょっと戸惑ってしまう。

と、待っていたら、廉価版が発売されました。
3000円切ってます。
買いやすいです。


で、買って、さっそく見て、泣きました。


HDリマスターですから、画質は向上していたと思います。

画質は良ければ良いほど、いいに決まっているんですが、まぁSD画質(DVD)でも、この作品であれば、十分に感動できます。

それよりも、音に厚みが増したことは、この映画では、大変重要かと。

ラストの「宿命」演奏シーンは、音楽あってですから。(もしかしたら、プラシーボで、音は全然変わっていないのかもしれませんけど)


さて、中身ですが、廉価版ということもあってか、ブルーレイ以外には、ポストカードが一枚。


桜の花。
映画を見たことがない人ですと、なんてことない写真です。

が、映画を見たことある人なら、「よりによって、このシーンか・・・・」と思ってしまう。


まぁ、他にも美しいシーンはあるのですが、でも、美しいシーンほど、悲しかったりするからな、この映画。

仕方ないか。

いや、そもそも、「ない」よりも「ある」方がいいにしても、こんな意味の分からない特典をつける必要があるのかどうか。(これを送られても、困るだろう・・・・・・)

個人的には、一笑いさせてもらいましたが。


あの頃映画 the BEST 松竹ブルーレイ・コレクション 砂の器 [Blu-ray]
by カエレバ

2014年10月7日火曜日

花沢健吾「アイアムアヒーロー15」


花沢健吾「アイアムアヒーロー15」読了。

相変わらず、のんびりと(丁寧に)進む「アイアムアヒーロー」。

ネタバレすると前の14巻では、主人公の英雄がDQN(ゾンビ)の一人に飲み込まれてしまうけど、15巻では、そこから生還。


で、二人のヒロインは、ちょっと情けないけど、危機を救ってくれた英雄に、徐々に惹かれていく。

・比呂美 学生、理想主義、ZQNと理解できるのではないかと思っている

・小田 看護婦、現実主義、ZQNは敵

この二人、仲は良くやっているけど、底流では一人の男を取り合っているわけでして。

ZQNへの考え方、接し方において、対立もしており、そこらへんの緊張関係が、この後の物語に重要な意味をもってくるのかな?


と思って、何気なくwiki見たら、続きが書いてあったよ。

小田さん、死ぬのね・・・・・・。


アイアムアヒーロー 15 (ビッグコミックス)
by カエレバ

2014年10月5日日曜日

安野モヨコ「監督不行届」読了


マンガ「監督不行届」読了。

うむ、「のろけ」。

この一言に尽きるマンガでした。


まぁ、旦那、ないし妻をネタにしたエッセイ漫画なんて、そんな感じですけどね。


それはさておき。


庵野秀明監督というのは、人の創作意欲を刺激する人物なんですなー。

奥様の安野モヨコさんは「監督不行届」で嫁目線で旦那の生態を描き、お師匠筋の宮﨑駿監督は最後の作品(の予定)「風立ちぬ」では主人公の声を任せ、大学の同級生であった島本和彦氏は「アオイホノオ」で、ある意味ライバルとして登場させています。


ちなみに、庵野氏が、大学時代につくったアニメ。(大学に、課題として提出したものかな?)



学生で、このレベル。

見ていて、動きが気持ちいいねー。


こんなもの作れちゃう人(天才)は、やっぱ個性が強いものなのかな・・・・・・。


監督不行届 (Feelコミックス)
by カエレバ