映画「桐島、部活やめるってよ」の監督・吉田大八。
原作は、小説「八日目の蝉」の角田光代。
「こりゃ、つまらないわけないだろう」と、期待して見たきたのですが・・・・・・、まったく注目していなかった宮沢えりさんの独壇場でした。
「たそがれ清兵衛」を見た時に、女優然としてきたなぁ~とは思ったのですが、「大根」ではないけど、「別にうまいってわけでもないね」という感想でした。
が、今回は、加齢による容色の衰えを、役柄上、化粧でごまかすこともできず、映画スクリーンにアップで何度も何度も映していました。
しかも、スレンダーなスタイルを維持しているせいで、顔の輪郭がシャープで、それが、ほうれい線を目立たせるんだよ。
サンタフェの、あの輝くような美貌を覚えている世代としては、「あぁ年取ったな」と思わされましたが、それは、宮沢えりさんも十分に承知しているはず。
でも、そんなことは意に介さず、潔く、薄幸(そう)な信用金庫の営業マンという役に、どっぷりはまっていました。
若いころから、アイドルとして華やかな道を歩んできた彼女からすると、「そういうタイプ」の人間とは無縁な生活だったと思いますが、雰囲気が出ていて、上手でした。
「女優になったな~」と妙に感心しました。
ストーリー自体は、そんなに複雑ではないです。
仕事人間の旦那と不和ではないが、彼に満足はしていない。
金が余っているわけではないが、貧乏というほどではない。
とりたてて不幸ではないものの、幸せを実感できていない。
そんな中、あらわれたハンサムな青年。
彼の為に、何か出来るのではないかと、徐々にのめり込んでいく。
そのうちに、お客の金に手をつけてしまい・・・・。
てな感じで、ありがちと言えば、ありがち。
子供時代のエピソードを交えることで、ちょっとだけ奥行きをつくっていますが、まぁ、そんなに深くはなってないです。
横領が始まってしまえば、大団円で終わるはずもなく、破滅が待っているのは、誰もが予想できること。
「幸せではない」というだけで、とりたてて不幸というわけではないので、若い男にのめり込んでいくことに同情も共感もできない。
ストーリー展開は、分かり切っている。
だけど、前述の通り、宮沢えりさんの演技に引き込まれて、終始、魅入ってしまいました。
おまけの感想としては、大島優子さんが、アイドル女優がやらされがちな、綺麗だけど頭の悪い若い子を演じていました。
上手でしたね。
こちらも、うまく女優業にシフトできるか?
紙の月 (ハルキ文庫) | ||||
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