2016年6月26日日曜日

「デッドプール」を見た



おもしろかった


「デッドプール」見てきました。

ストーリーは、予告編通り。

悪の組織に騙されて、改造人間にされた主人公が、復讐 兼 顔を取り戻す為に戦うという、お話。

こう書くと、「藤岡弘、さんの仮面ライダー」みたいですが、こっちの主人公は、徹頭徹尾「いい加減」。

あくまでも、「復讐 兼 顔を取り戻す」が目的なので、人助けもしないし、善のあり方に悩みもしないし、巨大過ぎる力に恐れもしない。

とにかく、自分を傷つけ、顔を奪った悪人を退治することに邁進するだけ。

単純明快。


それだけだと、単なる復讐鬼のシリアスなお話になってしまうんだろうけど、顔を取り戻して、再び恋人の前に立ちたいという主人公の願いが、うまーく観客の同情を引くように作用していて、ここらへんが上手よね~。


ちょっと肩肘が張っていた「バットマンvsスーパーマン」や「シビルウォー」なんかの大作と違って、素直に楽しめました。

続編は・・・・


好評だったようなので、続編もつくられるのだろうけど・・・・・・・。

「キック・アス」と同じで、「1」のコンセプトが活かされない内容になるんじゃないかなぁ。
(■「キック・アス2」の感想)

難しいところだよね。


「お気楽な主人公が愛を取り戻す為に戦う」というノリを続けるとしたら、またしても恋人が人質にとられて、奪い返しに行くってことでしょ?

それだと「スーパーマリオ」におけるピーチ姫の如く、「またか!」だよね。

かと言って、主人公の成長を描こうなんてしてしまうと、決戦前に武器を忘れてしまうといった「お気楽」の要素が排除されてしまうわけで。

どうなるんでしょうねー。

by カエレバ

2016年6月12日日曜日

映画「マネー・モンスター」の感想



なんか映画見ようと思って映画館に行ったら、ちょうどいいのが「マネー・モンスター」しかなかったので、見てみました。

感想を一言であらわすと、普通。

地上波でやっていたら、ちょうどいいくらい。

ストーリー


ジョージ・クルーニー演じる「ゲイツ」は、経済や株価をおもしろおかしく解説する、言うなれば「資産運用バラエティ」の司会者。

番組には、今後、値が上がりそうな株を紹介するコーナーがあるのだが、これを信じて、視聴者・カイルは全財産を失ってしまう。

怒ったカイルは、ゲイツの番組放送中に、ピストルを持って乱入。司会者を人質にして、彼の不誠実を詰りつつ、この社会の矛盾を訴えていく・・・・・。

なんか、いまいち


ジョージ・クルーニーが視聴率至上主義、自らの言説が現実世界に及ぼす影響など、微塵も恐れていないイケイケタイプを、巧みに演じています。

彼の言葉によって人生を狂わされた人間(犯人)の登場で、徐々に「良い人」に変化していく。

その過程が、うーん、なんか、イマイチだったなぁ。


犯人の主張を聞いていくうちに、株価の急落に疑問を持ち、一緒になってというか、むしろ先導するように事実究明に走るんだけれども。

「ゲイツ」という人物は、日本で言えば、「宮根誠司」さんや「みのもんた」さんを、無責任に、かつコミカルにしたようなキャラ。

そんな、世の中の酸いも甘いも知っているような人間が、一企業の不正程度で本気になるかね~。(そして、短時間でもって真相にたどり着くなんて。莫大な資金を不正に運用するような企業のくせに、穴だらけ過ぎだよ)


また、犯人のカイルにしても、怒りのままに生放送をジャックしてしまうような人間なのに、妊娠中の恋人からの罵声に動揺してしまうような中途半端。

まぁ、この犯人というのは、「世界の富の半分を牛耳る一パーセントの富裕層」以外の人間を代表としているわけで、つまりは映画の観客でもあり、あんまり悪くは書けない。
結果として、なんか、パッとしなかったなぁ・・・・・。


で、物語は、「犯人」「テレビ局のクルー」「警察」「株価を操作した大企業」が、騙し騙され、どんでん返しの応酬・・・・・・ということはない。

「こんな感じで進むんだろうなぁ」と思っている通りに進む。


また、「アメリカ社会における金融問題」について深く切り込んでいるわけでもない。

「クオンツ」「金融工学」「高速取引」とか、単語は出てくるけど、深い解説があるわけでもなく。
ストーリーに絡んではいるけど、あくまでも撫でる程度。

「マネー・ショート」のように、本気でやると、難解な作品になってしまうのは分かるんだけど、・・・・・・「とりあえず、現代なら金融が悪者でしょ?」という安易な筋立てが見え見えで、娯楽作としては物足りず、でも社会派ドラマには成立していなかったなぁ・・・・・。


(■「マネー・ショート 華麗なる大逆転」を見てきたが、難しかった)


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by カエレバ
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2016年6月10日金曜日

菅野完「日本会議の研究」 -出版業界に訪れた日本会議ブーム-

日本会議ブーム到来


ブッシュ(息子)が大統領だった際には、「ネオコン」について、さんざん報道がされておりました。

二つの戦争にも、大きな影響を及ぼとしたとも言われております。

で、日本。


安倍政権を語る際には、「日本会議」について触れられることは多いのですが、どんな組織なのは、あんまり報道されていなかったのでは? と思っているのは、僕だけでしょうか?

しかし、そのことは、誰もが思っていたことらしく、ここにきて一気に出版ラッシュです。


で、「どんなもんでしょう?」と一冊手にとったのが、菅野完「日本会議の研究」。

産経グループの扶桑社から出版というあたりが、まぁ、なんか面白いですね。


(本当は、別海から来た女をもメロメロにするイケメン・青木理さんの本が読みたがったが、まだ出版されてなくてね。)

日本と宗教


文章は、ちょっと大げさな所もあります。
もともとweb連載で、調査しつつ執筆をしていたせいなのか 作者自身の驚きが、そのまま文章にあらわれている感じ。

まぁ、そのおかげで、読み易いんですけれども。


内容ですが、日本会議の歴史を紐解きつつ、徐々に、「生長の家」との関係が語られていきます。(本書においては、日本会議の成り立ちや、現政権との距離感について言及されることが多く、彼らの思想については、あまり触れられていません。そこらへんを期待していると、ちょっと肩透かしかも)

集団的自衛権の合憲性の担保となる、政権にとっては重要な学者・百地章氏や、安倍首相の後継者の一人と目されている稲田朋美氏、首相のブレーンとも言われる伊藤哲夫氏などなど、各々個人で活動しているようで、実は「生長の家」というタグで、まとめることができるといのは、おもしろいもんですねー。

しかも、現在の「生長の家」は、創始者の谷口雅春とは思想的は大分隔たりがあり、また、政治的な活動からは距離を取っている。

なので、日本会議と、現在の「生長の家」は、まったく接点がない。
あくまでも、過去において、「生長の家」の教えを受けた人間が、熱意でもって活動しているに過ぎない。

そして現在の「生長の家」と無関係ということは、日本会議には、労働組合や創価学会といった巨大なバックボーンを有しているわけではない。
人的にも資金的にも、決して恵まれているわけではないのだが、それでも、なお、ある程度の組織力を維持し、現政権に大きな影響力を有している。


アメリカ政治を語る上ではキリスト教が欠かせないわけでして、フランスなら逆に政教分離が度々問題になり、イギリスだと最近はロンドン市長にイスラム教徒が選ばれて話題になりました。

どこの国も、政治と宗教は切っても切れない縁なのですが、日本ですと、あまり注目されず。

でも、選挙において自民党が公明党(創価学会)頼りだったり、安倍さんと統一教会の関係が噂されたり(お父さんの時代の話で、今は、そんなに接点があるとは思えませんが)、そして、谷口雅春という宗教家の教えが現政権の政策に影響を与えているというわけでして、幸福の科学も、毎度毎度選挙に出ては泡沫候補扱いですが、いつか、陽の目を見る日も来るんですかね~、なんてことを思ったり。


ただ、最後の最後に、安東巌というボスキャラを登場させるのだが、・・・・・・・これは、ちょっと無理があるような気がしましたが、さて。

日本会議の研究 (扶桑社新書)
by カエレバ
「日本会議」の正体
by カエレバ

2016年6月9日木曜日

「アストロ球団」の感想


怪作


いつかは読みたいと思っていた原作「遠崎史朗」、作画「中島徳博」による「アストロ球団」を、ようやく手にしてみました。

聞きしに勝る怪作でした。

勝てるのは、雁屋哲先生原作の■「野望の王国」くらいかね~。


未読の方に、その「怪」っぷりを語るのは、なかなか難しいのですが、百聞は一見にしかず。
実写化された影像でも、なんとなくは分かると思います。

または、googleの画像検索。(■アストロ球団 - Google 画像検索)

最早・・・・・


一応、ストーリーについて書いておきますと、第二次世界大戦前、来日した大リーガーたちを相手に好勝負をした天才投手「沢村栄治」。

彼は、戦場にて悲劇の死を迎えることになるのだが、その魂は星となり、九人の若者たちに宿ることに。

戦場にて沢村と親しくしていた現地人のシュウロは、日本に来日。

彼の無念を晴らすべく、九人の若者を探すのだったが・・・・・・。


最早、散々にネタにされてしまったので、21世になって、つっこむの野暮ですが・・・・・・。

それにしても、主人公の「宇野球児」が、作品開始早々に「宇野球一」に変名し、同時に「三荻野球一」が「球五」になるという、場当たり的な展開。

九人も登場人物いると、当時のメイン読者である子供には分かり難いという配慮なのだろうが。

しかし、九人集まるのが、最終巻なんだよね・・・・・・。
うーむ。


意味深な描写で、「もしかしたら、彼も沢村栄治の遺志を継ぐものか?」的な描写があった「知念」なんかも、まったく活躍しないで終わってたり、「野球のルールなんか関係ねー」と野球選手が口にしていたり、アメリカへの憎悪で野球をする氏家が大リーグ打倒を目指すアストロ球団にビーンボールを多投とか、監督のシュウロは途中で消えちゃうし・・・・・・やっぱり、ツッコミどころ満載でして。


毎度毎度、負傷者続出。
とてもではないが野球など続けられる状態ではないのだが、「男だろー!」で乗り越えてしまう、お約束展開。

バロン森なんか、最初は卑劣な作戦を駆使するオカマキャラだったのだが、「男だろー!」を繰り返しているうちに、すっかりアストロ球団らしいキャラになってたしなぁ・・・・。


が、これが週刊連載の醍醐味でもあるからね~。

【田中圭一のペンと箸-漫画家の好物-】第13話:『アストロ球団』中島徳博とゆずごまラーメン

物語全体を俯瞰することよりも、とにかく「その場その場の盛り上がり」を重視した結果として、「一話完全燃焼」になったんだろうなぁ。

そして、超絶スポーツものとして「キャプテン翼」や「テニスの王子様」、大仰な熱い語りとして「男塾」などに引き継がれていったんですかねー。

アストロ球団 (第1巻)
by カエレバ