2016年1月25日月曜日

能條純一「麻雀飛翔伝 哭きの竜」を読んで


風邪を引いて、ボッーっとしている時に、「哭きの竜」を読みました。


漫画に限らず、作品が大ヒットすると、いろいろな所で、引用や言及がされるのは当然の流れ。
結果として、実際には触れたこと、見たことはないにもかかわらず、その作品について、無駄に半端な情報だけは知ってしまうもの。

「哭きの竜」も、「背中が煤けてるぜ」というセリフと、タバコを持った手が、顔の半分を隠している雀卓に座る男の絵は、読んでもいないのに、覚えてしまっています。

まぁ、連載当時に限らず、けっこう、ネタにされたもんなー。


で、改めて読んでみると、「巨人の星」がさんざんギャグ漫画で使われたことと同じように、独特の美学が、なるほどネタにされるわけだ、と納得。


ネタバレもなにも・・・・、という漫画ですが、以下ネタバレ。

強運の持ち主の「竜」という男が主人公。

1.裏世界でのし上がっていこうと企む野望多きヤクザが、竜の前に登場。
2.竜へ、おれの手下になれと、迫ってくる。
3.しかし、そのヤクザは、内部抗争やら、他団体からの襲撃によって、命を落とす。

ヤクザが死んだら、また新しいヤクザが現れて・・・・・・ということで、このパターンが、何度も繰り返します。


ここらへんは、なんつーか、ジャンプ漫画的とでも言いますか。
設計図がないまま、二階、三階と建て増しされていく感じが、突然に人気が出てしまった宿命なんでしょうけども。

冷静に考えると、任侠・極道漫画と、麻雀漫画を、強引に合わせた内容なんだよね。

凡百の作家であれば、「なんじゃ、こりゃ!?」という奇作になりそうですが、能條純一先生の描く、濃い顔をした中年・老人たちと、ケレン味たっぷりの見せ方で、「運の強い博徒と手に入れいると、ヤクザの世界でのし上がれるんだ!」という異様な設定が、なぜか納得出来しまう不思議、死んでいく不思議、花も風も街も、みんなおなじ。

全部で9巻という、程よい長さのおかげで、飽きずに一気に読めてしまいました。


哭きの竜 (1) (近代麻雀コミックス)
by カエレバ

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