2017年3月18日土曜日

映画「アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男」


例によって「ホロコーストもの」なんですが、まぁ、毎度毎度、アウシュビッツを舞台にするわけにもいかないので、今作の時代設定は戦後。
戦争のどさくさに紛れて、南米に亡命していたアイヒマンを逮捕した男(逮捕に貢献という表現が、正確なのかな?)、検事総長フリッツ・バウアーについての物語です。

一応、サスペンスタッチですが、そもそも結末は分かっている(アイヒマンの逮捕)ので、「逃げられてしまうのか? それとも、捕まることができるのか?」と手に汗握るような展開もあると言えば、「ある」のだけれども、そんな派手な山谷はないです。

物語の主軸は、アイヒマン逮捕よりも、当時のドイツ内にあった親ナチス的な雰囲気との戦い。

フリッツ・バウアーとは何者だったのか
アイヒマンの供述は、ナチスの過去を持ちながら戦後西ドイツで指導的立場についている人々にとっても不利になる可能性があったため、連邦刑事庁も情報機関も、アイヒマンを裁きの場に引き出すことには関心がなかった。秘かに捜査を進めることを余儀なくされたバウアーは、身内からの激しい抵抗に直面する。当時司法に関わっていたほとんどの法律家は、ナチス政権に仕えていた過去を持っており、自らの名声に傷がつくことを恐れていたのだ。

「ドイツは、過去の歴史を直視して、徹底的に反省している」と言われて、「それに比べて、日本は・・・・・」という論調は、よく見受けられますが、まぁ、そんな単純ではなかった&ないのねー、という感じ。


面白かったのは、主人公&味方となる部下が、「ゲイ」という設定。

「史劇だから、これも事実なんだろうなぁ」と思っていましたが、先に上げたリンク先では、
実在したのではない同性愛の検事、カール・アンゲルマンを目にかけ、好意を寄せるバウアーの様子を通じて、作品はバウアーも同性愛者であったことを示唆している。
と書いており、どうやらオリジナルな設定(解釈)らしい。
リンク先の著者は、
作品は、こうした内的葛藤から情緒的な緊張感を引き出しているが、同時に歴史的な信憑性を犠牲にしてしまっている。
と手厳しい。

しかし、好意的に見れば、「同性愛」という現代でも迫害の対象になり得る身近な存在を作品内に置くことで、「ユダヤ人迫害」という枠に収まらない主張を映画に込めようとしていたのかな? と思わないでも。

まぁ、それが成功していたかどうかは、また別の話でしょうが。

とりあえず、勉強になりました。

映画チラシ アイヒマンを追え! ブルクハルト・クラウスナー
by カエレバ

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