メタルギアソリッドの小島監督が、「シドニアの騎士」絶賛、なんて記事を読んで、「そうか」と、ちょっと読んでみました。
なるほど、小島監督が好きそうな、骨太な作品。
変に読者に媚びてなくて、作者の「SFですけど、なにか?」というスタンスが、がっつり伝わってきます。
・萌えがない
女の子も可愛らしいけど、無駄にオッパイが大きかったり(大きい子も出てくるけど)、パンツがしょっちゅう見えたり、妙に薄着だったり、身体のラインがあらわになるような制服を着ていたり、・・・・・なんてことはない。
・メカフェチがない
二足歩行ロボットに乗って戦うんだけど、これが、直ぐに壊れる。突然、目が光って、隠された能力が解放されたりして「なにー!」となることもなく、バッテリーがないのに唐突に暴走したりなんてこともない。地味に戦い、地味にやられていく。
・共感タイプの主人ではない
「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ」とか、「親父にもぶたれたことないのに」とか、そんな青少年の叫びがあるわけでもなく、淡々とした主人公。(と言っても、冷血漢ではないので適当に悩むのだが)
・世界の問題を抱え込まない
虐殺器官なんかは、911後のアメリカへの危機感が背景にあるSFだけど、そういう大上段な主張はない。(作者が意図しないでも、時代の雰囲気が作品に影響することはありますので、話が進むと、また変わってくるのかもしれませんが)
・バンバン人が死ぬ
容赦ななく、あっさりと人が死ぬ。
・説明が少ない
おそらくは、作者の中では、ガッツリと設定があるのだろうけど、作品では、なかなか開示してくれない。
ここらへんが、不親切と思うこともあるけど、「どういう秘密が隠されているんだろう?」という物語の世界に引っ張り込む作用も生んでいます。
こんな感じで、よく編集者が許したな、と感心。
(新人の作家、「こういう風に、かっこよくやりたい!」と訴えたら、「寝言は寝て言え」と編集者に返されるに違いない。)
ストーリーの骨格は、エヴァとマクロスの合体、という感じ。
謎の生命体に攻撃される人類というのは、エヴァの使徒っぽいし(また、そいつらが人類とコンタクトを取りたがっている、という感じも)、人間が暮らす巨大な宇宙船というのはマクロスっぽい。
SFとかアニメに詳しい人からすると、まぁ、もっと、いろいろな影響を見つけることは出来るんだろうけど。
でも、既存の名作の影響下にありつつも、「パクった?」とは思わせるようなことはなく、「シドニアの騎士」ならではの、独特の世界観を、過剰に説明することなく、うまーく構築しております。
アニメの出来もよろしいようなので、この物語が動いてるシーンも見たくなります。
シドニアの騎士(1) | ||||
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