2016年3月5日土曜日

田亀源五郎「弟の夫」1巻2巻の感想

無駄巨乳


「物語」というか、「作品」には、製作者や想定される受容者の願望が詰まっているものです。

で、男性がつくる「作品」、特にサブカルというか、オタク界隈の産出ですと、無駄に巨乳が多い。

格闘ゲームなんかで、男性キャラは筋骨隆々なのに、女性キャラは「やわらかそうなボディ」で、「えらく胸を強調したコスチューム」だったりするのは、よく見かける光景でして。

むくつけき男と対等に戦える女性となれば、ビジュアル的には、「もう、ビキニの必要があるんだか、ないんだが」くらいになっている女性ボディビルダー級の容姿が対等だと思うのですが・・・・・・・。
(参考 ■女性ボディビルダー画像と動画のまとめ - NAVER まとめ)、



まぁーねー、ゲームのメインターゲットは男性。
まして、格闘ゲームとなれば、なおさら。

とすれば、男性キャラは「より男らしく」、女性キャラは「より女らしく」が求められてしまうのは、仕方ないのでしょうが。

(が、あまりに欲望に素直過ぎると、こうなってしまうが・・・・・・。■【UPDATE】『DEAD OR ALIVE Xtreme 3』欧米では発売されず、女性の性的描写が原因か。100万ドルで販売権を買い取ろうとするファンも)

ざっくりとした梗概


で、田亀源五郎先生による「弟の夫」。

残念ながら(?)、今まで、田亀源五郎作品に触れる機会はなく。

西原理恵子先生の漫画内で、触れられていて、「かなりハードなゲイ漫画を描いている方なのね」という知識があるくらい。

なので、ちゃんと読んだのは、こちらが始めて。


ざっくりとした粗筋ですが、双子の兄が主人公。

弟はカナダに渡航し、そこで、カナダ人の男性と結婚。
しかし、不慮の事故で亡くなる。

弟の旦那は、失った相方の思い出を探しに、日本にやって来る。

主人公は、小学生の娘と二人暮らし。
訪日した「弟の夫」に戸惑いながらも、徐々に人を愛することに同性も異性も関係ないのだということを知っていく・・・・・・。


という感じ。

小学生の一人娘は、子供だけに純真無垢、偏見とういものがなく、同性愛や同性結婚について、別段、奇異に思わない。
その一方で、すっかり頭がかたくなってしまっている大人の主人公は違和感を拭えない・・・・・という対比なんかは、まぁ、テンプレ的な分かり易さ。

現代日本における同性愛について概説であり、啓蒙的な筋立てではありますが、登場人物たちの心情も描かれておりまして、説教臭さは、適当に抑えられております。

男性視点からの男性の性的魅力


さて、個人的には、キャラの容姿が、すごく気になりました。

冒頭で書いたように、作品には、発信者と受容者の願望が含まれるもの。

左の表紙の絵から分かるように、主たる登場人物である「双子の兄」と「弟の夫」の、ガタイがよろしいこと。
さらに、主人公なんか、自らの肉体を誇示するが如くの、ピッチピッチの服を着ているし。

では、この筋肉には、なにか理由があるのか? というと、別に。

ガテン系の仕事をしているわけではない。

体を鍛えているのが好きか? というと、一応、スポーツジムに通っているシーンがあるけど、頻繁ではない。

つまりは、特にストーリーに絡まないんですよ。

少年漫画やアニメにおいて、女性キャラが無駄に巨乳であるように、この漫画においては、無駄に筋肉があるよなぁ~。


藤子・F・不二雄先生の「ドラえもん」からして、しずかちゃんのお風呂シーンという読者サービスがあったように、少年漫画ではヒロインの着替えやお風呂、シャワーのシーンはお約束。

で、この漫画においては、ガチムチ男性の脱衣や入浴が丁寧に描かれている。
女性の入浴がワンカットなのに・・・・・・。


少女漫画における男性の描き方って、男性視点からすると、「こいつ、チ○コついているのか!?」と思うこともあります。

が、まぁ、それが、女性が男性に抱く理想像なわけでして。


もちろん、女性からすると、少年漫画における「女性像」というのは、無駄巨乳であることが往々にしてあり、「あぁ、ハイハイ・・・・」なんでしょうが・・・・。
(ゲームですが、女性視点からすると、こういう感想になるよね。■批評家「なぜみんな女性キャラのお尻を包み隠さず描くの?性的に描写されればそれだけキャラに共感しづらくなるのに」 _ ユルクヤル、外国人から見た世界)


で、本作「弟の夫」。

ここかしこに作者の「好み」があらわれているわけでして。

「異性愛者の男性が描く男性」や「女性作家が描く男性」とも違った男性となっている点が、なんとも新鮮でした。

弟の夫 : 1 (アクションコミックス)
by カエレバ
弟の夫 : 2 (アクションコミックス)
by カエレバ

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