2015年11月26日木曜日

「ナイトクローラー」の感想



事件現場にいち早く到着して、ナマの映像を撮影するジャーナリストを主人公にした「ナイトクローラー」。

「ジャーナリスト」とは書いたけど、・・・・・、芸能レポーターを「ジャーナリスト」に含めることに抵抗を覚えるように、「市民の知る権利を代表している」とか、「一般人には知られていない問題を掘り下げる」なんて崇高な意識は皆無で、単に、報道機関に高く売れる映像を探し歩いてるだけの存在。

作家のことを、時に「売文業」などと揶揄するけど、まぁ「売動画業」とでも形容できるでしょうか。


そんな職業に就いている主人公なので、清々しいくらいに、嫌なヤツ。
まったく共感できない。

他の登場人物も、一癖二癖という感じで、これまた感情移入ができるようなヤツらではない。

でありながら、二時間の娯楽作として、ちゃんと成立させてしまうハリウッドのスゴイところ。


で、ちょっとしたネタバレ。

最初はこそ泥の主人公は、事件現場を目撃し、「ナイトクローラー」という職業の存在を知る。

で、持ち前のガッツ・・・・・・・、と言うよりは、無神経が功を奏して、他人に嫌がれれようが、触法だろうがお構いなしで、過激に事件現場に迫っていく。

で、ナイトクローラーとして、成功の道を歩み始めるであったが、・・・・・まぁ、この手の作品のラストは、「転落」か、後味の悪い「アメリカンドリーム」の、どちらかだろうなぁ・・・・と思ってました。

ライバルの車に細工をしたことが、ラストでバレるのか? とも予想しましたが、そんなことはなく。

「アメリカンドリーム」オチでした。


まぁ、ストーリーの概要から分かるように、現代社会における報道への批判がこめられています。

また、ニコ生での過激な配信が、ちょっとした話題になっている日本からすると、そういう面においても示唆的です。

ノエルとは (ノエルとは) - ニコニコ大百科

・・・・・・・今、ちょっと調べたら、彼、また配信やっているのね。


で、「報道」の問題でありながら、主人公の成り上がりの課程が、ベンチャー企業の成功譚にもなっている。

が、他人への共感能力を欠いたサイコパスが主人公ですから、当然、ブラック企業となるわけでして。

高級車を買う余裕はあっても、相棒(主人公からしたら、手下)の安月給を上げてやるつもりはない。
もちろん、仕事中は、説教か罵声。


「物語」ですから、ちょっと極端ではありますが、裸一貫からのし上がってきた方というのは、時に、「言っていることは、すごく正しい」、でも、「実際に、やっていることは、ちょっとアレじゃない?」とか、「綺麗事を言っている割には、裏ではアレだなぁ~」なんてことがありますが、まさしく、それを彷彿とさせるものがありました。


NIGHTCRAWLER
by カエレバ

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