2015年11月14日土曜日

近由子「女なのでしょうがない」の1巻、2巻の感想

わずかにエッチな表紙に目がいき、冒頭数ページを立ち読み。

「女なのでしょうがない」ってタイトルからしても、「こじらせちまったアラサー女子の嘆き、ってヤツがメインの漫画か?」というのがファーストインプレッション。

で、しばらくして、2巻が出ると、こっちもちょっとエッチな表紙。

まんまと作者と編集者の思惑通りに、目がいってしまう。


多分エロくないな、とは思いつつも、出張時の電車内で読もうと(←エロいと困る)、電子書籍版を購入。
で、内容は、最初の感触通りでした。
(次巻の感想は、こちら。■近由子「女なのでしょうがない」の3巻の感想)


同じ職場で働く、三人の女性が主人公。

・青木美希31才(左)
顔とスタイルは、まぁまぁ。

会社では主任を任され、部下には男性もいる。仕事は出来る。でも、仕事が好きで好きでたまらない、という訳ではない。

化粧などは、ほどほど上手にやるけれども、女子力アピールというわけではない。
主任としての立場が、手抜きできないと思わせるのかな?

なので、弁当などつくって女子力アピールなどはしない。


・君島旭29才
顔は普通くらい? スタイルは悪くないが、ちょっと背が高い。貧乳。色気なしで、サバサバしているようで、けっこうネチネチと悩んでしまう。

仕事は、普通に出来る。

外見的な女子力は弱いが、料理は得意(好き?)で、恋愛観は夢見る乙女系。


・風間ちはる23才(左)
美人、巨乳。
本人が思うよりは、器用に仕事が出来るようではあるが、積極的にかかわるつもりはない。

多くのセフレを囲っておくことで、自らの承認欲求を満たしている。・・・ようで、実は、まったく満たされていない。それは分かっているが、止められない。


といった三人の女性が、時には対立し、時には理解を深めるというお話し。


ちょいっとアンニュイな表紙絵の女性(青木)の背中に「半額」シールが貼ってあることからも分かるように、そんなそんな読んで楽しい話ではない。

基本、痛々しい。

しかも、「男性社会における女性の生き辛さ」を描いているので、登場する男は、基本的に嫌なヤツ。

上司という立場を利用して責任転嫁したり、正論という嫌味ばかり吐いていたり、女を性処理の道具にしか思っていなかったり。


そんな不遇の彼女たちにも、優しく接する男性も、いるんですけどね。

社員食堂に勤めている林とか、君島の隣に住む中学生の川村とか。

だが、前者の嫌なヤツたちは会社内で権力を持っていたりするんだが、後者の優しい男たちは無力。


まぁ、作品のテーマを際立たさせる為に、仕方ないのだろうけど、男性読者としては、「なんだか極端だよね」と思わないでも。


一応、中間的な人物として、途中入社の森田というキャラもいる。

青木と同じ31才、イケメンで、仕事は出来る。

他の同僚たちとはうまくやっているけど、上司にあたる青木には、時々、くってかかる。

対等な付き合いを求めているだけなのか、「女性」の上司に反発しているのか、今のところ微妙。

少なくとも、単純な味方でないのは確かかな。


「極端」と言えば、三人とも過剰なくらいに自己評価が低い。

特に、青木なんかは、美人に入る程度の顔で、仕事もまぁまぁ出来ている。
結婚は諦めて、自分のことを「おばさん」と呼んでいるけど、・・・・・・31なんて、今時、結婚適齢期と言ってもいいんじゃないの?

子供産むのに、早いとは言えないけど、遅いとも言えない。

まだ、いろんなことを諦める時期でもないのに、すっかり捨て鉢になっている。
それでいて、「仕事と結婚する」という覚悟も、「仕事がさえあれば、いい!」という誇り(負け惜しみ)もない。

まぁ、ここらへんの微妙な感情は、どうやら「母親の期待に応えられなかった」、または「応えられていない」ということが関係しているようですが。

で、現状の青木の楽しみというのが、貯金通帳の残高が増えていくことだけ。


・・・・・うーむ。

現代女性には、「有能な勤め人」と「子を産む母」の二つを求められる。

時に二つとも、しっかり手に入れている人もいるけど、なかなか大変なことです。

いくら働きやすくなった、と言っても、過去と比較しただけのお話。


「女性の活用」とは、右寄りの首相でも口にせずにはいられない時代にはなりましたが、しかし、男性優位の社会であることは相変わらずでして。
だから、女性が努力しても男性ほど報われない。

で、そんな社会において、なにを尺度にするかと言えば、まぁ「金銭」となってしまう・・・・・。


もちろん、「愛」という手もあります。
仕事が面白くなくても、金があんまりなくても、まぁ、「愛」があれば!

が、これが面倒でな・・・・・・。

「愛」には、相手が必要だもんね。
そして、「金」は、文句も言わない。

--優しく してくれる なら
好きって 言って くれるなら
極論
だ 誰だって!!
上の言葉は、最初に風間が口にして、後に、君島も同意せざる得なくなったもの。

君島は、隣の中学生男子に言い寄られている。

が、年端もいかない子。そんなものを本気に相手してはいけないけど、「誰かに認めて欲しい」「誰かに必要と思われたい」という承認欲求は抑えきれないわけでして・・・・・・。


さて、これから、三人の女性は、なにか自分でも満足できる目標を見つけることができるのか? または、自分を認めてくれる(愛してくれる)男性を見つけることができるのか?

まぁ、青木に関しては、林とくっついちゃうのかね? と思ってしまうけど。
(途中入社の森田とも、微妙な関係だが、一回寝るくらいはあっても、うまくいかないような気がするが・・・・・)

この物語の冒頭では、青木は銀行通帳を見て満足している。
その次に、カップラーメンと半額シールの貼られたスーパーの惣菜を食べる。

この流れって、彼女の現状を象徴しているわけでして。

そして、他でも、彼女の夕食のシーンが何度か登場するけど、いつも、貧しい食事ばかり。


で、林という青年は、社食を担当している。
貧しい食事をする青木に、ちゃんとした食事を与える役割を担っている。

そこらへんからも、今後、彼女に介入していくんじゃないかな? という感じがしますが、さて。


食事に関して言及すると、君島は料理好き。
それもあって、隣の中学生(父子家庭)に弁当をつくってあげる。

彼女の場合は、「青木」と「林」の関係の逆バージョンとなっている。

しかし、三十間際の大人が、中学生に手を出すわけにもいきませんからね。
こっちは、どうなるんだ?

まだ登場していないけど、もしかしたら、父親とくっつくなんてパターンもあるかな~?


おまけの感想としては、三人の女性が、いろいろと男性の理不尽さに耐えられなくなると、ブチ切れて、自分の感情を暴露するんだよね。

まぁ普通に考えれば、会社において破滅的な行為なんだけど、なんだかんだで、うまくいっちゃうんだよね。

うーん、・・・・女性読者からすると、水戸黄門の印籠のようなもんで、溜飲が下がるシーンなのかもしれんが、毎回毎回、「そりゃ、ねーだろ」と感じてしまうよ。(まぁ物語のウソってヤツで、仕方ないんでしょうが)

女なのでしょうがない(1) (講談社コミックス)
by カエレバ
女なのでしょうがない(2) (講談社コミックス)
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