久しぶりに、松本大洋先生の「ピンポン」を読んだけど。
やっぱ、あついね~。
最近、アニメ化もされたけど、そっちも好評だったみたい。
実写もマズマズだったし、・・・・・・ここまで成功する例も、珍しいです。
10数年振りに読み直して、大体のストーリーは覚えているんだけど、それでも、ペコが強敵を倒していく場面は、胸躍る。
単純に強いヤツを倒すのではなくて、活人剣とでも言うべきなのか、ペコが勝つことで、彼らは救済されるんだよね。
最大のライバルであり、親友であるスマイル。
彼は、自らの人生をシニカル捉えている。望んだ人生ではないと、絶望している。
それは、自らの卓球の才能に対しても、同じスタンス。
望んだ才能ではない。
この才能を超える実力を持った人間を欲している。
(言うなれば、救世主の降臨を待っているんだよね)
全国二連覇を成し遂げているドラゴン。
いつも、いつか自分は負けてしまうのではないかと恐れを抱いている。
決して、卓球を愛している訳ではない。
中国からの留学生チャイナ。
一流の才能はあるが、(中国の)全国選抜に選ばれるほどではない。
日本に流れてきて、腐っている。
ペコを敵視するアクマ。
スマイルと一緒で、小さいころからペコと卓球をしてきた。
人一倍の努力家。
アクマは自らの才能がないことは分かり切っている。
だから、才能あふれるペコに憧れる。
でも、ペコは、大人になるに連れて、口先だけの自堕落な人間になっていく。
なので、アクマはペコへの憧れを心の底に持ちつつ、憎しみをも抱いてしまう。
現実のスポーツ選手を見てもそうだけど、ヒーローであり続けることは難しい。
(余計なお世話だけど、清○さん、これからどうするんだろう・・・・・)
ヒーローであるということは、人々の(勝手な)思いを背負って生きていくということ。
(キリスト教的に言えば、十字架を背負って生きていくようなもの)
一旦は、そこから逃げ出したペコだが、再起の為に肉体をいじめ抜くことを決意。
そして、一度は完敗したチャイナに、勝利をする。
この復活はアクマを喜ばせただけではなく、自らを踏み台にして成長する人間がいること自体に、日本に来た意義があったチャイナに思わせる。
また、卓球を恐れていたドラゴンに対しては、卓球を楽しみながら戦い、かつ彼を凌駕して見せることで、救いを提示する。
かつては、ペコに勝たないように遠慮していたスマイル。
だが、ペコは彼の理想通りの姿となって、復活。
膝を怪我しているにもかかわらず、それすらハンデとはならない程の圧倒的な強さで登場。
しかも、スマイルのお師匠さんである小泉(バタフライジョー)は、膝を怪我した親友との戦いにおいて温情をかけてしまい、選手生命を断ったという過去がある人。
ペコ対スマイルの決勝って、この再現であるのだけれども、しかし、弟子であるスマイルは、手加減をする必要なく、ペコに敗れる。
このことによって、バタフライジョーも救っているわけなんだよね。
そして、最終話において、人生を冷めた目で見ていたスマイルは、ご飯を師匠と一緒に食べるくらいの社交性を身につけている。
さらに卓球の選手生活には別れを告げ、師匠と同じように教職に就こうとしている。
彼自身が望んだ人生を歩み始めていることを示唆している。
でも、明るい話ばかりじゃなくてね。
この最終話では、ドラゴンも登場するけど、高校時代は化け物だった彼も、今は、今一歩な成績であることも明かされている。
ここらへんの苦さの残る大団円も、いいですね~
ピンポン(1) (ビッグコミックス) | ||||
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