2018年6月30日土曜日

なぜ安倍晋三氏は、こんなにも愛されるのか?

2018年4月、5月、6月と安倍内閣の不支持率が支持を上回っていましたが、7月を前にして、どうやら持ち直しているようです。

NHK世論調査 内閣支持率 _ NHK選挙WEB


内政


現在、国会の会期延長で、もっぱら注目されるのは、「高プロ」や「カジノ法案」。
どちらも自民党が推しているものの、国民には不人気な政策。

しかもゲリマンダー降臨! と、ばかりに、自党の都合優先の選挙制度改革まで飛び出してきて、本来なら、いっそう支持率が下がりそうな要因が散見されるのが現状。

「6増」野党対案で攻防 自民案に公明慎重


外交


長期政権のおかげで、近年では、もっとも継続性をもって取り掛かれた外交。
トランプ大統領の就任前から駆けつけ、いち早く友好関係を築くことに成功。
四方八方に敵だらけのトランプ大統領にとっては、貴重(?)、数少ない(?)親トランプな首脳です。
「なんと情けない!」「ケツ舐めだ!」という意見もありますが、EU諸国などとは違い、中国・北朝鮮・ロシアといった政治体制を異にする国々に囲まれ、他には、お互いに好感は持っているけど国未満な台湾、どうしても歴史的なしがらみが残っている韓国という環境下にあるわけで、まぁ、どんな大統領が出てこようと、アメリカと強固な関係を維持するのは最優先の現実的な方策とならざる得ないわけでして。

なんだけれども、いじらしい奉仕を、まったく意に介していないトランプ大統領。

「出し抜いて笑っている」トランプ節で安倍総理を…
トランプ氏「日本に移民送れば晋三は退陣」 G7で暴言

北朝鮮非核化の請求書は「日本と韓国に回せ」と広言。
メロリンQ氏から、「どうすんの、これ?」と問われて、トランプ氏の顔をつぶすわけにはいかないけど、「仕方ないでしょ」と唯々諾々と追認するわけにもいかず、「どこがどう負担するかを協議する段階ではない。互いの国といろんな指摘をし合うことは非生産的だ」と、とりあえず、当たり障りのないコメントでお茶を濁すしか手はないわけでして。
つらいですな~。

非核化、費用分担議論は非生産的=安倍首相

そんだけ気を使っているのに、やっぱりトランプ関税の対象から逃れることができない。
まぁ、異形の大統領だから、どうしようもないのは理解できますが・・・・・。

米朝の歴史的な政治ショーとなったトランプ・金正恩の会談が、韓国の文在寅大統領による根回しの成果であることは否定できないわけで、奇妙な玉突きで、これまで険悪だった中朝関係も改善、中国の習近平氏としては、まんまと米韓軍事演習中断という果実を手に入れているわけで、そんな中、「日本は?」。

一時期、会談の中止がトランプ大統領から発表されて、日本政府は、いち早く「会談中止を支持する!」と、大喜びで? で意見表明したら、単なるトランプ流のブラフに過ぎず、数日後には、あっさりと「会談するよー」となってしまい、日本政府の面目丸つぶれなんだが、それすら話題にならず。

それでも、「日本蚊帳の外」論は、間違っている! という論陣を貼っている方もいらっしゃいますが、

北朝鮮、「ありもしない拉致問題」と日本を非難

てな感じ。
蚊帳の外なのか内なのか、どちらにいるのかは分かりませんが、「実益」は得たとは言い難いのではないでしょうか?
(とりあえず、米朝の戦争が遠のいたは立派な実益ですが、日本政府の努力の結果と言い張るのは、なかなか難しいのでは・・・・・・)

また、サミットに関しても、

「G7で安倍首相が大活躍!」ということなので、海外主要メディアのG7報道で総理の名前を探してみた。「ABE」の名は?

まぁーねー、トランプ大統領の暴走を前に、どうしたってかすんじゃうよね。

いろいろな見方があるのは承知しておりますが、ここ最近の外交に関しては、誰もが納得できるような「得点をあげた!」と声高に主張するのは、ちょっと無理かな?

まぁ、甘めに見ても、「失点はない」てな感じでしょうね。


なんだかんだ言っても経済


さて、内政にしても外交にしても、とりたてて眼を見張るような成果が直近では見られないのですが、一方で、相変わらず、モリカケ問題では、ちょろちょろと新情報が出てきて、失血が止まらない。
でも、支持率は増加傾向。

この流れ、面白いもんだなぁと見てはおりますが、さて、どうしてなんでしょうね?


17年度の国の税収、58兆円台後半 26年ぶり高水準

地方に住んでいる身としては、あまり実感ができないのですが、消費税を上げたわけでもなく税収が増えているのは、やっぱり景気が良いんですねー。
  • 民主党政権の後半から景気は回復傾向だった
  • 失業率の低下は、団塊の世代が退職したから
  • 富裕層だけが得した
  • トリクルダウンが、起こんねーよ
  • 可処分所得は減っている
  • 貧富の差が拡大
  • 子供の貧困が広がった
  • 円安誘導で大企業は潤ったが、日用品は高騰した
  • 財政規律、どうなってる?
まぁ、いろいろと文句はあるのでしょうが、「アベノミクス」という言葉につられて、中国「リコノミクス」、韓国「クネノミクス」、アメリカ「トランプノミクス」なんて言われたように、やっぱりある程度、成果があった証左なんですかね。

今後の影響も含めて、客観的に数字が検証されるのは、10年20年どころか、下手すれば50年後100年後かもしれないわけで、とりあえず政治に必要なのは、現在の「実感」。

正直、高度経済成長やらバブル期を知っているオッサン連中からすれば、「コレ・・・・!?」という失望感はあるのでしょうが、それでも小泉政権以降では、唯一、「政権が主導して景気回復に至った」というイメージづくりに成功したのでは?

海外に目を向ければ、トランプ氏にしても、あれだけシッチャカメッチャカでも、やっぱり好景気だから「まぁいいか」と40パーセン前後の支持率を維持できているわけで、しかも、本人は自分の手柄にしているけど、所詮、オバマ前大統領の八年間の成果の上に成り立っているに過ぎないのに比べて、やはりアベノミクス以前と以後とでは、明確な線引ができるわけで、そういう意味でも、「経済」は、安倍政権にとっては、大きな貯金ということなのでしょう。


野党がだらしない


民主党政権の失敗以降、どうしても、大きな絵が描けないでいるのが野党(民主党の残党)の現状。

「共産党は?」って、いまさら共産革命を実現されてもねぇ・・・・・。

「維新の会は?」って、地方政党としては十分に成功・差別化できたのかもしれないけど、国政では、どうにもこうにも特色が出ないね・・・・・(個人的には、いろいろな意味において、足立康史議員が、十年後二十年後、どうなっていくのか楽しみですが)。

と、まぁ、なかなか厳しいのではあるが、しかし、麻生政権の自民党が下野したのは民主党への風が吹いた結果ではあったけど、民主党が下野したのは、政権運営に対しての失望からで、決して自民党待望論が醸成されていたわけではなかったし(「棚ぼた」というのは、当時の自民党も自覚していましたよね)、ましてや、野党時代の自民党は谷垣さんが中心、政権復帰に際しても、総裁選において地方票は石破茂氏の方が多く、当時のイメージでは、自民党員及び党員外でも「えっ、安倍さん、また出るの?」だった気がします。

安倍氏には、一部にコアな支持層がいるのは当時も今も変わりはありませんが、自民党支持者ですら、決して深く支持していたわけではなかったのが民主党から自民党へ政権交代した当時の状況では?

第二次安倍内閣について、特に、ここ一年くらいは、「他に人がいない」という支持理由が挙げられることが多いですが、これは半分、嘘ですよね。

「野党がしょーもない」というのはさておき、与党内には、石破茂氏、小泉進次郎氏、岸田文雄氏、野田聖子氏、河野太郎氏と、まぁ適当に人材はいるわけで。
実際に首相になって、どこまで成果を出せるのは分かりませんが、それは安倍首相が返り咲いた時も同じ。むしろ、「また!?」とか、「あぁ一年で終わるな・・・・・」とすら感じた人も多かったはず。
さらには、海の物とも山の物ともつかぬ民主党に期待をした当時よりは、上述のポスト安倍人材なら、ギャンブル性は大分下がるかと。(年齢を云々するのは年寄り臭いですが、小泉進次郎氏は、まだ若い過ぎると思います)

「モリカケ、納得した?」と聞かれると、国民の大多数は、「いや納得していない」と答えるけど、支持率としては、40パーセント前後は確保できてしまう。

重箱の隅をつつけば、現在の生活に、そりゃ文句がないわけではない。
「モリカケはダメだけど」と思いつつも、また不支持の理由として、「人柄が信用できない」などと言われてしまうように、決して、小泉首相や小渕首相のようにキャラクターが愛されているとは言い難いが、第二次安倍内閣における五年の政権運営、及び、好調な(?)経済に、けっこうな割合の国民は、満足している or 評価しているということなんでしょうねー。


やっぱりお友達


まぁ、「なんだかんだで第二次安倍内閣の治世は評価されている」ではあるけれども、いつまで経っても解決しない「モリカケ問題」。
なので、新情報が出ると、「支持率急落!」にはなるのだが、どうにかこうにか 言い訳 説明していると、そのうちに支持率はジリジリと戻る・・・・・・、なんだけれども、官僚・検察内部に不満が渦巻いているので、内部情報がやっぱりリークされて、の繰り返し。

さて、「いつまでモリカケやっているんだ!」は、いつまで続くやら。

森友に「収賄的関与ない」=安倍首相、説明を修正-ごみ撤去費、1.5億円増
安倍晋三首相は28日の衆院予算委員会集中審議で、学校法人「森友学園」の問題への自身や妻の昭恵氏の関与の有無について「お金のやりとりがあって、頼まれて行政に働き掛けをした、という意味での関わり合いはしていない」と述べた。収賄に問われるような関わりはないとの趣旨で、従来の説明を修正した。
親・安倍首相な立場な方からは、「一連のスキャンダルは、刑事事件ではないのだから、問題ない」論は、ちょくちょく耳にするのですが(例「セクハラ罪はない」)、いろいろご準備が必要になったのか、安倍首相からも「金品の授受がないからOK」論が出てきたのが今年の五月。

反・安倍首相な立場な方からは、「ゴールポスト、勝手に動かしたよ」「最終防衛ラインを自分で変更した」などと揶揄されました。

どんな証言・書類が出てきても、おそらく、このラインを割ることは決してない自信(?)からの発言だと思いまし、もしかしたら、だから大多数の国民から許されているのかなぁ、などと思ったりもします。

普通、「政治家が行政の中立性を犯した」てな案件は、見返りが「金」です。

でも、「モリカケ」に限らず、山口敬之氏による疑惑にしても、少なくとも、安倍首相には、まったく、「金」の臭いがしてこない。

それどころか、森友学園の籠池前理事長にいたっては、「100万円、寄付をしてもらった」とまで言っているわけで(真実は分かりませんが)。

加計理事長との「ゴルフ」やら「会食」でもって、「贈収賄だ!」とするのは、素人から見ても無理筋でして、「モリ」にしても「カケ」にしても、権力側の「動機」が「金」に集約されてしまわない以上、不思議と「清廉」性が維持できてしまっているわけで、だからこそ、「コアな支持層」は、どんなスキャンダルが起きても、意気軒昂に、「問題ないのだ!」と、あの手この手の 屁理屈 論理でもって擁護の論陣を張るのかなぁ~などと思ったりします。

では、「金」ではないとすると、なにが、権力側の「動機」なんだろうとかというと、それこそ、右側の人々が好みがちな「内向きの関係性」が大きく影響しているわけで、とりあえず、森友学園問題。

「安倍昭恵夫人の行政への介入があったのではないだろうか?」という疑惑。
それまで、ゴタゴタがなかったわけではありませんが、あくまでも政策を巡る混乱であり、「安倍首相の統治能力への疑義」には発展しなかったのですが、この疑惑以降は、「統治能力」を超えて、「統治の正当性」すら疑われる事態に至っています。

で、森友学園。
一部の好事家からは、「幼稚園児に軍歌を歌わせているぞ!? いいんか、それ!?」と有名でした。

そんな、ゴリゴリに右な学園の名誉校長が首相夫人が就任なわけで、それ自体が、「アレ」なんですが、ここで面白いのは、かつては、左派陣営からは、安倍昭恵夫人は「家庭内野党」などと評価されているんですよね。
しかも、本人、そのような立ち位置に、満更でもなかったご様子。

安倍首相夫人が「アベ政治を許さない」ロゴと仰天コラボ! 「合成写真かと思った」「器、大きすぎ」とネット騒然

こんなふうに左派陣営に鼻薬を効かせる一方で、ゴリゴリに右な学園の名誉職に就いていたという、奇っ怪な股裂き。
これが深慮遠謀の末の行動だとすると、そら恐ろしいのだけれども・・・・・よくネットで使われる「右でも左でもない」は、片方の立場を代弁する際の枕詞ですが、夫人に関しては、まさしく、その枕詞通り、まるでSNSでネコやイヌの写真にポンポンと「いいね」を押してしまうような軽さでもって、一連の行為に至ってしまっているとしか思えず、それを「軽快」とするか、「軽薄」とするか。

加計学園疑惑にしても、そこには重たげな金銭授受は見受けられず、「腹心の友」という言葉だけが、この疑惑の発端にして結論になってしまうわけで、素朴な関係性だけが原動力になり100億という金が動いている、やはり「軽さ」。

権力を持っている側に、「実益」が還流されることがない。
「動機づけ」が、「承認欲求」や「極めて狭い友情」しか出てこないわけで、「金品」や「名誉」ではなく、人間と人間の関係性によって、一連の騒動や疑惑が引き起こされているところが、なんつーか「現代的」ではあるのですが、さて、いつつまで続くんですかねー、とりあえず、まぁみんな、がんばって生きましょう。

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