2018年7月8日日曜日

無味無臭「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」



昨年公開された、ナンバリングタイトル「最後のジェダイ」は、ストーリーに勢いはあるけれども、つっこみどころ満載で、非常に毀誉褒貶が激しかったです。

まぁ、それでも「大ヒット」ということで、ディズニーとしては御の字。

そして、今年は、スター・ウォーズシリーズ屈指の人気キャラ(正直、主人公のルーク・スカイウォーカーよりも人気があるのでは?)ハン・ソロを主役にしたスピンオフ、そのまんまのタイトル「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」が公開。

なんですが・・・・・・・、興行成績は世界的にパッとせず。

『ハン・ソロ』、『ローグ・ワン』比28%減のスタート 『スター・ウォーズ』の未来を覆う暗雲の深刻度
『フォースの覚醒』から2年半で正統サーガ&スピンオフを含めて計4本という「作りすぎ問題」。
今作の「失速」については、「つくり過ぎ」「早過ぎ」は、ちょくちょく指摘されているところですが、・・・・・・それなら、マーベルもだよなぁ。

「ブラックパンサー」の大ヒットの勢いに乗って、さらに上回る波を起こした「アベンジャーズ インフィニティーウォー」がある以上、それも、どうなんだろう?

まぁ、マーベル・シネマティック・ユニバースなら、作品毎に「色」が違うけど、「スター・ウォーズ」は、どうしても同じような「枠」にはめ込んでしまう必要があるわけで、そういう意味で、「飽きられた」というのは否めないのかなぁ・・・・・でも、
これまで『スター・ウォーズ』シリーズの中心的存在だった「ジェダイやフォースといった概念、まったく関係なくなっちゃった問題」。
逆に言えば、「独自色」を出せる可能性のある作品だったと思うんですよ。

が、出来上がった作品は、無味無臭・・・・・・。

すごく罵倒するような目の当てられないヒドい箇所はないけど、手放しで褒め称えるような目を見張るシーンもなくて、うーむ。


「フォースの覚醒」で、ハリソン・フォードが演じるハン・ソロが登場した瞬間に、「まさしく年老いたハン・ソロだ!」という感動があったけど、今作は、まぁ、演者が変わったこともあって、どうにもこうにも最後まで違和感が拭えなかった。

役者の演技力不足・・・・・というよりは、ストーリー自体に、THE「ハン・ソロ」を演出するような仕掛けが不足していたような。

ハン・ソロと言えば、「ペテン師でいい加減ながらも、悪人ではない」という人間味が持ち味で、そういうキャラを活かすなら、ご都合主義バリバリの、ゆるーいくらいのコメディギリギリの冒険活劇こそふさわしいように思えるのですが、今作は、けっこう真面目につくっていたなぁ。

真面目なら真面目で、それはいいと思うんですよ。
なら、物語中で、「成長」なり、「変貌」「堕落」があるべき。
たとえば、「若かりし頃のハン・ソロは、実は青臭い理想主義だった」とか、逆に、「昔は、もっと荒んだ生活をおくっていた」からの、「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」につながるストリー展開があってしかるべきなのだが、うーん、今作のハン・ソロは、とりたてて「味」がなくて、なんとなーく反抗的な態度をするから「ほれ、ハン・ソロでしょ?」程度で、どうも薄味。
そして、一貫性があると言えば聞こえが良いのだが、終始、そんな感じ・・・・・。(一応、騙され続けていたハン・ソロが最終的には騙し返すというどんでん返しがありますが)

以下、ネタバレ。

ネタバレ】『ハン・ソロ』ロン・ハワード監督はどこを変えた? 大幅な再撮影、内容変更の詳細が一部判明

ほとんど作り直すレベルで再撮影をしたようだけど、「これが!?」というのが、正直な感想。
この場面は「映画史に残るほど」の長期間、約1年間にわたって断続的に撮影が行われたそうだ。
「トバイアス・ベケット一味の列車強盗」シーンは、↑ということなのだが、・・・・・・まぁそりゃ、邦画に限らず、ハリウッド以外では、そうそうお目にかかれない完璧に再現された異世界における見応えのあるアクションシーンであることは否定しないが、さて、「これは!」という驚きに満ち満ちた独創性があるか? と問われると、「別にぃー」でして、むしろ、一年もかけて撮影されていたことに、「なんで、そこまで!?」と逆に驚いてしまう・・・・・・。

また、
撮影から編集に至るまで、本作では制作途中で大幅な作り直しが行われているわけだが、なかでもピエトロ氏が強調するのはハン・ソロとキーラが3年ぶりの再会を果たすシーンだ。トバイアス・ベケットに連れられて乗り込んだ、ドライデン・ヴォスの船上でハンはキーラと遭遇するのである。
こちらは、特に入れ込んで再構成したことがうかがえますが、・・・・・そもそも、このシーン自体が「なんだかなぁ」で、悲劇的な別離を強いられた二人のに、「こんなあっさり再会かよ」と興ざめしたのは僕だけ?

その後、キーラは、どうやら敵ボスの愛人に収まっている気配が濃厚なのに、それに対してハン・ソロが、別段苦悩するわけでもなく。

「そういう湿っぽいのは、いいから」という製作者側の配慮なのかもしれないが、ならば、ストーリー全体をコメディ寄りにする必要があったような気がするなぁ。


ルーク・スカイウォーカーが主人公らしく正義を体現するキャラだったとすると、ハン・ソロは、帝国軍に屈しない「自由」を象徴していたように思いますし、だから、先の大戦の英雄なのに、「スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒」では相変わらずのしがない運び屋家業だったんでしょう。

どうやら、この「自由」を、「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」では描きたかったような気配が、時折、見え隠れするのですが、・・・・・・途中で、監督が降板してしまったせいなのか、なんだか、ぼんやりしていた。

新ドロイド「L3-37」は女性型。
これまでの作品に登場したドロイドと比べると、自己主張が強く、ご主人であるランドの命令以外に、自分の意志(?)によって動くキャラ。
自立しているからこそ、彼女は、ご主人様に忠誠心ではなく、恋愛感情を抱いている。
だから、奴隷化されている仲間のドロイドを解放する為に戦うわけで、「自由」を主題にした本作らしいキャラではあるのだが、残念ながら、途中で戦死。

しかし、その頭脳は、ミレニアム・ファルコン号に移植される。
まぁ、これはこれで、ご主人様ランドの傍に永遠にいられることになるのだから、それはそれでめでたいののかもしれないが(「意識が永遠に生き続けたら拷問よ」という気もするが)、そのミレニアム・ファルコン号の持ち主は、最終的には、ランドからハン・ソロに移るわけで、「L3-37」の恋心(自由)の扱いがヒドイよ・・・・・。


世評では概ね好意的だった「ローグ・ワン」は、個人的には、「そんなに・・・・」なんだけれども、ただ、主要な登場人物たちが、一つの目標を達成する為に非業の最期に収束されていく一本の流れがキレイに出来ていたことは否定しないです。

それに比べて、今作は、なにがしたいのか、よく分からなかったなぁ。

とりあえず、ヒロイン役のエミリア・クラークさんのポニーテールが、かわいかったです。


ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー オリジナル・サウンドトラック/CD/AVCW-63279
by カエレバ

0 件のコメント:

コメントを投稿