台湾映画「九月に降る風」を見ました。
「日本では映画界に行くような才能が、漫画に行っている」なんてことは、よく言われます(かつてかな、今は言われないか?)。
台湾映画を見ていると、逆に、「日本なら漫画界に行っていたような才能が、映画に集まっている」のかな? と、この作品を見ても、思ってしまいます。
日本でも、「桐島、部活やめるってよ」なんかもあるし、そうそう卑下することもないかと思いつつも、台湾映画は、うまーく青春映画つくるな。
ハリウッドの青春映画も悪くないけど、やっぱ、バタ臭くて。台湾あたりだと、やっぱり儒教圏なのか、共感しやすいです。
ストーリーは、中高生にありがちな、ホモソーシャルな仲間たちが、ちょっとしたすれ違いの重なりで、バラバラになっていくというお話。
面白いのは、台湾のプロ野球賭博事件の進展と、彼らの関係が破壊されていく姿が重なりあっていること。
子供の夢であるプロ野球の世界が、所詮は、汚い金と絡んでいるという現実。
つまりは、青春を謳歌している彼らだけども、薄皮一枚で、ドロドロとした現実(未来?)が待っているという暗喩になっているんだよね。
で、まぁ、ネタバレになるんだけれども、途中で、主人公が親友と事故るんだよね。
主人公は軽傷程度で済むけど、相方は頭を打って、植物人間になってしまう。
・・・・・・・まぁ、人、好き好きあるんだろうけど、「唐突な事故からの植物人間」って展開は、うーむ。
それ以外は、けっこう、ちゃんと「青春あるある」、または「あるかも」的なエピソードを積み重ねているのに、ここで、一気に悪い意味での「マンガチック」になっちゃうんだよね。
物語なんて、所詮は偶然の積み重ねだったりするんだけれども、交通事故って、やっぱり安易な悲劇に思えてね。(実際の交通事故は、当然、悲劇ですけど)
まぁ、「病気」「事故」「夭折」こそ、青春映画! という人もいるだろうから、これはこれでいいのかもしれんけど。個人的には、なんか・・・・ね。
さらに大事なネタバレだけど、最終的には、目覚めないで終わる。変にご都合主義でなかったので、良かったけど。
正確には、死んだのかな?
(難癖をつけると、これはこれで、ご都合主義で殺した気もするけどね。)
そんな感じで、親友は目覚めること無く、仲間とはバラバラ。後味悪いです。
でも、一応、希望がある所は、主人公と親友にとって英雄である「廖敏雄」に、最後に出会えたところ。
なんで出会えるのかと言うと、親友が植物人間になる前に、「廖敏雄」のサインボールを偽造していたんだよね。
高校生にもなって、そんな阿呆なことを、どうしてやったのかと言うと、単純に主人公を喜ばせたかったのかもしれないし、親友の幼稚さに主人公が呆れ始めていることを敏感に察知にして、彼をつなぎとめようとした風にも見える。
いずれにしろ、「偽」なんだよね。
でも、まぁ、「瓢箪から駒」とでも言いますか、この「偽」から、「真」に出会えてしまう。
どんなくだらない青春(偽)でも、意味(真)はあるんだ! というメッセージなのかな? と僕は思ったけど、さて、どうなんでしょう。
でも、スーパースターである「廖敏雄」も、野球賭博にかかわっっていたというところが、やっぱり皮肉がきいているけどね。
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