予告編を見た段階で、「あぁ、時が見える」という感じで、ラストまでの道筋が予測出来てしまう映画もあります。・・・・・基本的には、気楽に見れるタイプですな。
その一方で、予告編だけでは、「なんじゃ、こりゃ?」という映画もあります。
往々にして、既存の作品・物語には当てはまらないタイプで、この手は、けっこう体力・精神力を奪ったりします。
さて、「スリー・ビルボード」。
ヒューマンドラマ? サスペンス? 予告編からは、どんな着地点が待っているのか、さっぱり予想できませんでしたが、観劇中も同じ。
で、まぁ、ネタバレです。
最終盤で、どうにか救済されるのか? と思ったら、そこにも、どんでん返しが用意されていて、それでも反目していた二人が同じ目的を持つという、主人公サイドからすると、孤独から理解者を得るという「救済」が待っているけど、・・・・・・この物語では、元旦那はDVだったのか、殺された娘は母から逃げたがっていたのか等など、観客に解釈を委ねているように、ラストも、はっきりと「こうだね!」とは言えない感じ。
「戦う女性」というのは、昨今のホットなモチーフなんだが、・・・・それにしても、娘をむごたらしく殺されたとは言え、この作品の主人公が嫌な奴でね。
嫌な主人公と言えば、「サーミの血」なんかも、身勝手だったけど、非常に残酷な現実の前では、「まぁそうなるか・・・・」と。
■「サーミの血」
昨年話題だった「エル ELLE」なんかも、「嫌な女性」・・・・というか、「一筋縄ではいかない女性」という点では共通しているが、それでも予想の出来ない動きはしていても、「理不尽」ではなかったような?
■女性主人公の行動が尽く真逆「エル ELLE」
「スリー・ビルボード」において、主人公の娘は、母親との諍いの結果、普段は車で移動していたのに、その日だけたまたま「歩き」になってしまい、それが最悪の事態に結びついてしまう。
もちろん、一義的には犯人に責任があるのだが、どうしたって、(母として)自分のミスであるという後悔を抱いて当然なわけで、でも、それでもって耐え忍ぶのではなく、攻撃性(怒り)に転嫁しているのが、まぁ、なんというか、「現代的」・・・・なのか?
それよりも、その「怒り」が、容易に「(直接的な)暴力」に結びついてしまうあたりが、「アメリカ」的なような気がするけど(ただし、監督・脚本はロンドン育ちだそうで)。
メインの二人のキャラには、自殺した署長からの「恩讐を超えろ!」的な遺言が届き、それが転機になって、前述したように反目から仲直りに反転するが、で、ラスト、二人で人殺しへの旅出(実際に、殺すかどうかは分からんのだが)、・・・・結局、暴力かいな? と思わんでもないなぁ・・・・・。
物語の中では、既存のキリスト教が、主人公によってさんざんに否定されているけど、署長の遺言って、やっぱ、どこか宗教的。
女性蔑視・差別主義な大統領が、博愛を唱えるキリスト教保守派によって支持されているようなお国柄らしいオチと言えば、オチなんだが。
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