是枝監督の作品だから、つまらんわけないだろうと思っていたけど、それにしても、面白かった「三度目の殺人」。
多分、自分だけではないと思うのですが、弁護士という仕事に対して、時に胡散臭さを覚えるのは、事実を捻じ曲げてでも、犯罪者の弁論しているのではないだろうか? という疑念。
たとえば、「置き引き」とか「万引き」といった軽量の犯罪で(軽量と言っても、自分が被害に遭ったら、腹立たしいだろうが)、検察側の立証に穴があり、弁護士として、そこを突いて無罪を勝ち取るくらいなら、「立証できねぇ検察が悪い」とか、「疑わしきは罰せずが日本の司法だからねー」などと、うそぶいていられるだろうけど、これが、「強盗殺人」とか「強姦殺人」なんてドッシリとした犯罪だと、どうなんだろうねぇ。
経歴にしても、当該の犯罪にしても、「こりゃ、救いようがねーなー」なんてタイプの人間であっても、まぁ、「穴」があれば、それをこじ開けて、どうにかこうにか無罪を勝ち取る・・・・・のは無理でも、情状酌量でも何でも使って減刑を勝ち取るのが、そりゃ、まぁ「それが仕事」と言ってしまえば、それまでなのだが、しかし、弁護士さんというのは、そういうジレンマって、どう考えているんだろうなぁ、などと、世間を騒がした事件の裁判が始まると、頭に浮かぶことが度々ですが、この「三度目の殺人」は、そのモヤモヤを見事に物語へ昇華していて、さすがだなぁ。
徐々に明らかになっていく謎の配置も絶妙でねー。
けっこう、最初の方で、犯人とキーパーソンの人物が親しかったという「意外な事実」が明かされていながらも、それを、福山雅治さんが演じる主人公が、なかなか問いたださない。
それは、ちょっと不自然ではあったけど、そのタメがあっての、「告白」の衝撃につながるわけで、ここらへんは、物語の方便ということで。
それにしても、モチーフの目のつけどころ、脚本の巧みさ、それを支える、演者たちの芸達者ぶり。
そして、意外だったのは、広瀬すずさん。
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