「セッション」見てきました。
面白かったです。
見終わってから、
「そう言えば、菊地成孔さんと町山智浩さんで、バトルになってたな。よく知らんけど」
と、ちょっと検索をかけると、ご丁寧にまとめられている。
■【詳細まとめ】映画「セッション」論争『菊地成孔vs町山智浩』 #tama954 #denpa954
多いな・・・・、おい。
全部読むのは大変だ、ということで、とりあえず、■<ビュロ菊だより>No.60『「セッション!」~<パンチドランク・ラヴ(レス)>に打ちのめされる、「危険ドラッグ」を貪る人々~』を読む。(これ自体が長文ですが)
なるほど。
まぁ、よくある話でして、「プロから見たら、こんなにも間違っている」というヤツ。
それが、「スウィングガールズ」のように、ほのぼの映画なら、「まぁ、いろいろ言いたいことはあるけど、一々文句を言うのも大人気ないし、スウィングガールズを見てたら、ジャズの演奏してみたくなった♪ なんて子も出てくるだろうから、こんなもんじゃない~」と軽く受け流せるのでしょう。
が、この作品、ハートマン軍曹級の理不尽な大学教授が、有無を言わせず、受け持ちの学生を痛めつけるというお話。
これを見て、「ジャズをやりたくなった」なんて子は出ないだろうなぁ。(まぁ、音楽オンチで素養がない僕にしてみると、「ジャズって、かっこいい音楽だな」とは思ったけど)
世間では知られてない素材(ジャズ)を利用することで、メチャクチャな設定をつくり、そういうものが許されている世界なのだという宣伝になってしまっていることが、その道に生きるプロとしては許せないんだろうな・・・・・。
まぁ確かに、「やり過ぎだな」とは門外漢の僕でも思いましたね。
だって、ここまで威圧的な絶対君主だと、各々メンバーの実力が発揮できるとは思えんしね。
そういうスパルタで伸びる学生もいるのだろうけど、・・・・まぁ、ここまでヒドイと、ほとんどつぶれちゃうだろうな。
ただ、J・K・シモンズさんの演技が圧倒的でね。
時に、ちょっとだけ甘い言葉をかけてやることもあり、「圧倒的な鞭」と「ほんのちょっぴりの飴」のさじ加減が絶妙。
だから、映画はやり過ぎではあるのだろうけど、「現実世界のスパルタ指導者って、こういう感じだよな・・・・」と思えるほどに、説得力のある演技でした。(人を支配するのは、無意味に怒ることが効率的って誰か言っていたな)
でも、まぁ、やなヤツなんだけどね。
そして、そのシゴキを受ける主人公も、やなヤツなんだよ。
友達いないし、せっかく出来た美人な彼女もジャズの邪魔だと言って切り捨てるし、そして切り捨てておきながら、ジャズに挫折したら仲直りしようとするし。
そして、ネタバレになるけど、最大のヤナやつな行為は、ラストだよね。
大学をクビになった教授から、仲直りを提案される主人公。
まんまと、その口車に乗って、彼が指揮するバンドに参加する。
が、これは教授の罠で、スカウトの前で恥をかかせることで、彼をジャズ界から抹殺しようとする。
その企みは成功し、楽譜を渡されていない主人公は、演奏に参加することができずに、おめおめと壇上から退席。
すると、袖で待っていたのは、父親。
またしても、教授に傷めつけられた息子を、優しく抱擁する。
が、結局、主人公は、父親を残して、舞台に戻っていくんだよね。
そして、教授の指示を無視して、勝手に演奏を始める。
・・・・・・・この「教授の罠 → 一度は退席 → でも復帰して演奏」、このどんでん返しが、綺麗でね。
うまくできてるよね~。
でも、冷静になって考えると、「一応物書きをやっているけど、そっちはパッとしない教師の父親」を捨てて、また教授に戻っていくという流れって、父の人生の否定を暗示しているんだよね。
シゴキの最中に、教授は、容赦なく「一流になれない人間」として主人公の父親を罵倒しているけど、結局、主人公も、その意見を認める形になっている。
うーん、ひどい。
このジャズ(らしきもの)を巡って、ダメ人間(才能はあるのだろうが)どもが争うというところが、・・・・・菊地成孔さん的には、いっそう許し難い冒涜行為と思えたんだろうなぁ。
でも、物語って、リアルだと思わせる必要があるのであって、リアルである必要はないんだよね。
プロからすると、「ねぇーよ」なんだろうけど、門外漢としては、十分楽しめる映画でした。
WHIPLASH | ||||
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