「愛蔵版」の11巻が出たのが、2012年9月。
「もう出ないのか?」までは思わなかったけど、こりゃ、2015年のオリジンのアニメまで引っ張るつもりか? と覚悟していたら、2014年の8月末に、ようやく発売されました。
二年だよ・・・・・。
まぁ普通の単行本では出てるし、そもそも、基本的なストーリーはアニメと同じだからね・・・・・・。
とは、言うものの、安彦良和先生らしい脚色が楽しいがオリジンでして。
最後のアムロとシャアの決闘シーンはページが多く割かれています。
もしかしたら、ガンダムとジオングのラストよりも量が多いのでは?
で、そこで語られているのは、シャアの苦悩なんだけど、ララァへの愛、母への愛、妹への愛を惜しげも無く披露します。
さすが、「マザコン」「シスコン」「ロリコン」の三冠王と呼ばれる男。(もっとも、シャアは20才で、ララァは17才という設定らしいので、今にたとえるなら、大学生と高校生くらい。ロリコンというのはヒドイけど)
ちなみに付け加えると、父の遺志を継ごうとする姿からは、ファザコンもあるよね。
それは冗談にしても、アムロとの決闘シーンで浮かび上がるのは、シャアの血へのこだわり。または、「重力に魂を縛られた」ならぬ、「血に魂を縛られた」人なのね。
それに比べて、ライバルのアムロは、家族に対しては淡白だよね。
(冷淡とも言えるかもしれない)
地球では母を残してホワイトベースに乗るし、再会した父は、酸素欠乏症で正常ではないにもかかわらず、こちらも見捨ててしまう。
だから、ララァには、
なぜ?と、戦いの最中に詰られてしまうわけでして。
あなたは
こんなに
戦えるじゃない!
なぜなの?!
あなたには守るべき人も
守るべきものないというのに!
わたしには見える!
あなたには故郷もなければ家族もいないわ
人を愛してもいない!!
ここらへんの好対照は、「オリジン」で再構成された結果として、より明確になっているように思えます。
ちょっと話が飛ぶんですが、最終巻での「オリジン」のオリジナル要素として外せないのは、セイラがア・バオア・クーにて、ジオン・ダイクンの遺児として反乱を煽動するところ。
これはこれで面白い展開だったけど、「えらいエピソードをぶっ込んできたな」とも思ってしまった。
敵のパイロットの格好をした女を担ぎ上げて、反乱の象徴にするなんて、そりゃ、いくらなんでも、無理があるような?
ソーラ・レイによって連邦の戦力が激減しておきながら、ア・バオア・クーでジオンが敗れる為に、内部抗争が激化という設定自体は分かる。
けど、それは、ギレン派とキシリア派の戦いを描けばいいのであって、そこにセイラ(アルテイシア)を持ってくる必要性はない(はず)。
そう考えると、このエピソードの主眼は、
・「オリジン」のオリジナル性を高めるため
・物語をより盛り上げるため
も、あうだろうけど、ジオン内部における「ダイクン」という名前の巨大さを表現しようとしたのかな? と思う。
ザビ家の独裁が続いているけど、または続いているからこそ、大衆の「ダイクン」への郷愁、期待、渇望は強く、だから、なんだかよく分からない連邦(敵)の女性パイロットを、ああも簡単に信じてしまった。
で、このエピソードが差し込まれることによって、シャアを復讐に駆り立てるものの正体が理解しやすくなっている。(また、後に続く、「Z」や「逆襲のシャア」への、伏線にもなる)
ガンダムUCでは、フル・フロンタル(シャアっぽいけど、本人ではないと思われる。シャアの遺志を継ぐ者)は、自らを「器」と規定しているけど、言い得て妙。
シャア本人にしても、衆望がつくりあげてしまった「ダイクン」という名前(父)に、「魂を縛られ」てしまっている。
そして、ラストシーンでは、シャアは、一人で復讐を完遂する。
血や衆望に縛られていながら、仲間はいない。肉親の妹からも理解されているとは言い難く、唯一の理解者であったララァは、ライバルのアムロに魅了された上に死んでしまっている。
孤独。
一方で、アムロは、本当の家族は捨てたような形になっているけど、ホワイトベースの仲間の元に戻って行く。
ホワイトベース自体が、ブライトを父、ミライを母にして、擬似家族のようなもの。
彼らとアムロが本当に分かり合えたとは言えないけど、少なくとも、そこには信頼や絆というものはある。
だから、
ボクにはまだ帰れるところがあるんだというラストのセリフになるんだねー
こんな嬉しいことはない・・・・・・
こうして「オリジン」読み終わって、映画を見直してみたくなったよ。
UC人気もあってか、最近になってブルーレイ版が出たのは知っているけど、一番安くて一万弱か。ちょっと悩む値段です・・・・・・。
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