2015年7月30日木曜日

「恋は雨上がりのように」1巻、2巻の感想


第一話を立ち読み(電子書籍なので、正確には立ち読みじゃないけど)して、「少女が大人の男性に恋愛をする」というタイプか、まぁありがちなお話しだろうなぁ・・・・・と思いつつも、雰囲気が良かったので、そのまま1巻、2巻と買って読んでみました。


で、簡単なネタバレ。

かつては陸上のホープであった「あきら」は足を怪我してしまい、引退することに。

「これからどうしよう・・・・」とばかりに、ファミリーレストランで悩んでいたときに、その店の店長から、心暖まる接客を受ける。

生まれたばかりの雛が、最初に見たものを親と勘違いするように、彼に恋してしまう。


その店長というのは、風采の上がらない45才。
バツイチで、子供の親権は元嫁にとられてしまっている模様。

仕事先ではバイト(パート)にも、なめられている。


で、「あきら」は、店長のいるファミレスでバイトを始める。
そして、彼が、頼りがいのある男ではないことが分かっても、彼女の恋心は冷めるどころか、ますます確かなものになっていく・・・・・。

で、ついには、「あきら」から店長に、自らの気持ちを告白するのだが、店長は、大人の男性として、彼女の受け入れることを断るのであった・・・・・・。

で、表紙(左)の子が、あきら。

元陸上選手ということもあって、スレンダー。
長髪、黒髪。
外向的な性格ではないにもかかわらず、物語の中では、同世代の二人の男性から言い寄られていることからすると、まぁ、顔立ちも平均以上という設定なんでしょう。

・・・・・・・・・そんな子に言い寄られても、きっぱりと拒否できるなんて、大人の男性としては、立派。

だ、け、ど。
ファンタジーだね~。

作者は女性なのかな?

なので、男の性欲を、あまく見ているような・・・・。(バイト先の店長に、バイトちゃんが食われちゃうのは、世の中の、お約束じゃないですか!?)


作品というものには、往々にして、作者や想定される読者の欲望が反映されているものです。

若い女と付き合いたい(エッチしたい)というのは一般的な男性の願望ですが、一方で、大人(年上の)男性によって保護されたいという願いが女性にはあるようで。

ハチミツとクローバー」然り、「うさぎドロップ」然り、自分を無制限に守ってくれる存在を志向してしまう、弱き者よ、汝の名は女なり、てなもんでして。


まだ登場していないだけなのかもしれませんが、これまでの物語の中で、「あきら」の母は登場しても、父は登場しない。

母子家庭なのかどうかは分からないけど、家庭において、「あきら」の父親は存在感がないのかな?
だからこそ、「あきら」は、45才という父親と同じような年齢の男性に惹かれるのだろうけど。

陸上という夢を無くした自分であっても、ありのままを受け入れてくれるであろう男性が欲しい。

彼ならば、きっと・・・・・・。


リアルでは、そうはいかんよね~。

肉体関係無しで、無条件で庇護してくれるなんて、それこそ、本物の父親しかできないよ、そんなこと。


内田春菊さんの「水物語」なんかでは、女性が作者でも、ちゃんと男性の浅ましさが描かれていた。

男性からしても、リアルだったけど、・・・・・・まぁ、もちろん、読んでいてい、気持ちの良い作品には成り得ないわけでして。


川上弘美さんの「センセイの鞄」なんかは、年齢差はあるカップルでも、そんな肉欲でグチョグチョということはなかった。
ただ、あの作品では、両者ともに、ある程度は年を取っていたからな・・・・・。(男性の方は、もう現役引退間近という感じだったし)


「恋は雨上がりのように」は、女性作家らしい見易い絵で、うだつは上がらないけど悪い人ではない中年男性と、愛想がなくて一見するとクールに見えるけどウブな女子高生の、不器用な交流が、見ていて微笑ましい。

が、まぁ、意地悪な見方をすると、「ファンタジーだな・・・・・」と思ってしまう。


下品な言い方をすると、エロ漫画やAVにおいて、最初は嫌がっている女性が、最終的には男のテクニックに屈して「アンアン」と声を上げてしまうという男性の下劣な欲望が、如実に反映されている黄金パターンの、「裏返し」というか、「女性パターン」なんだよね。

「それの、なにが悪いの?」と言われてしまうと、まぁ、別に何も悪くはないのですが・・・・。


で、2巻の最後で、どうやら店長は、「作家を志していた(まだ、志している?)」ということが判明。

「あきら」が陸上を諦めざる得なかったように、店長もまた、なにかを諦めた人間のようで。

さて、傷を舐め合うようにして、くっつんでしょうかねー?

しかし、同じバイト仲間で、「あきら」に横恋慕する大学生から、「君と店長は うまくいかない。絶対に」と言われてしまったように、あまり健全ではないよね。

特に17才の女の子にとっては。


*追記

続巻の感想できました。
(■眉月じゅん「恋は雨上がりのように(3)」の感想)


恋は雨上がりのように 1 (ビッグコミックス)
by カエレバ
恋は雨上がりのように(2) (ビッグコミックス)
by カエレバ

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