で、簡単なネタバレ。
かつては陸上のホープであった「あきら」は足を怪我してしまい、引退することに。
「これからどうしよう・・・・」とばかりに、ファミリーレストランで悩んでいたときに、その店の店長から、心暖まる接客を受ける。
生まれたばかりの雛が、最初に見たものを親と勘違いするように、彼に恋してしまう。
その店長というのは、風采の上がらない45才。
バツイチで、子供の親権は元嫁にとられてしまっている模様。
仕事先ではバイト(パート)にも、なめられている。
で、「あきら」は、店長のいるファミレスでバイトを始める。
そして、彼が、頼りがいのある男ではないことが分かっても、彼女の恋心は冷めるどころか、ますます確かなものになっていく・・・・・。
で、ついには、「あきら」から店長に、自らの気持ちを告白するのだが、店長は、大人の男性として、彼女の受け入れることを断るのであった・・・・・・。
で、表紙(左)の子が、あきら。
元陸上選手ということもあって、スレンダー。
長髪、黒髪。
外向的な性格ではないにもかかわらず、物語の中では、同世代の二人の男性から言い寄られていることからすると、まぁ、顔立ちも平均以上という設定なんでしょう。
・・・・・・・・・そんな子に言い寄られても、きっぱりと拒否できるなんて、大人の男性としては、立派。
だ、け、ど。
ファンタジーだね~。
作者は女性なのかな?
なので、男の性欲を、あまく見ているような・・・・。(バイト先の店長に、バイトちゃんが食われちゃうのは、世の中の、お約束じゃないですか!?)
作品というものには、往々にして、作者や想定される読者の欲望が反映されているものです。
若い女と付き合いたい(エッチしたい)というのは一般的な男性の願望ですが、一方で、大人(年上の)男性によって保護されたいという願いが女性にはあるようで。
「ハチミツとクローバー」然り、「うさぎドロップ」然り、自分を無制限に守ってくれる存在を志向してしまう、弱き者よ、汝の名は女なり、てなもんでして。
まだ登場していないだけなのかもしれませんが、これまでの物語の中で、「あきら」の母は登場しても、父は登場しない。
母子家庭なのかどうかは分からないけど、家庭において、「あきら」の父親は存在感がないのかな?
だからこそ、「あきら」は、45才という父親と同じような年齢の男性に惹かれるのだろうけど。
陸上という夢を無くした自分であっても、ありのままを受け入れてくれるであろう男性が欲しい。
彼ならば、きっと・・・・・・。
リアルでは、そうはいかんよね~。
肉体関係無しで、無条件で庇護してくれるなんて、それこそ、本物の父親しかできないよ、そんなこと。
内田春菊さんの「水物語」なんかでは、女性が作者でも、ちゃんと男性の浅ましさが描かれていた。
男性からしても、リアルだったけど、・・・・・・まぁ、もちろん、読んでいてい、気持ちの良い作品には成り得ないわけでして。
川上弘美さんの「センセイの鞄」なんかは、年齢差はあるカップルでも、そんな肉欲でグチョグチョということはなかった。
ただ、あの作品では、両者ともに、ある程度は年を取っていたからな・・・・・。(男性の方は、もう現役引退間近という感じだったし)
「恋は雨上がりのように」は、女性作家らしい見易い絵で、うだつは上がらないけど悪い人ではない中年男性と、愛想がなくて一見するとクールに見えるけどウブな女子高生の、不器用な交流が、見ていて微笑ましい。
が、まぁ、意地悪な見方をすると、「ファンタジーだな・・・・・」と思ってしまう。
下品な言い方をすると、エロ漫画やAVにおいて、最初は嫌がっている女性が、最終的には男のテクニックに屈して「アンアン」と声を上げてしまうという男性の下劣な欲望が、如実に反映されている黄金パターンの、「裏返し」というか、「女性パターン」なんだよね。
「それの、なにが悪いの?」と言われてしまうと、まぁ、別に何も悪くはないのですが・・・・。
で、2巻の最後で、どうやら店長は、「作家を志していた(まだ、志している?)」ということが判明。
「あきら」が陸上を諦めざる得なかったように、店長もまた、なにかを諦めた人間のようで。
さて、傷を舐め合うようにして、くっつんでしょうかねー?
しかし、同じバイト仲間で、「あきら」に横恋慕する大学生から、「君と店長は うまくいかない。絶対に」と言われてしまったように、あまり健全ではないよね。
特に17才の女の子にとっては。
*追記
続巻の感想できました。
(■眉月じゅん「恋は雨上がりのように(3)」の感想)
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