全十三話の、ちょうど半分の七話と、その後の八話が入った、「惡の華」第四巻。
ターニングポイントを、意識している七話でした。
これまでは、仲村に振り回されっぱなしの主人公の春日。
佐伯を騙している罪悪感に耐えられずに、仲村に、自分が体操着泥棒であることを、暴露して欲しいと訴える。
で、佐伯だけではなく、クラスのみんなに告白することを迫る仲村。
そんなことは出来ないと、一度は、拒む春日であったが、彼女の孤独に共感して、教室をメチャクチャに。
スローモーションを多用した圧巻のシーンになっておりました。
で、その後の、ついに、体操着を盗んだことがばれるのか? という八話。
ですが、どうやら、仲村の配慮だと思われますが(もしかしたら、偶然)、春日の暴露は表沙汰にはならず。
しかし、教室をメチャクチャにしたのが春日(&仲村)であることに気がつく。
それに対して、自分から別れを切り出す春日であった、てな感じで終わり。
「秩序と体制を象徴する佐伯」と、「混沌と反乱を象徴する仲村」。
春日のプレゼントした「惡の華」を理解しようとする佐伯だけど、おそらくは理解することはない。
一方で、仲村は、「惡の華」をもらっても、決して読むことはないだろうけど、少なくとも春日とは通底するものを持っている。
春日も仲村も、この世界の通俗、偽善、狭隘に辟易している。
所謂「中二病」というヤツですなー。
自分だけは特別であると思いたい、あいつらと違うんだっていう臆病な自負を抱く時期って、誰でもありますからね。
で、物語を楽しみつつ、なんか違和感を感じたわけでして、「なんだろう?」と考えてみると、ネットがないんだよね。
一応、現代が舞台なはずなのに(出てくるテレビは薄型だし)、二人ともネットを使うことはない。
使ってはいるのかもしれないけど、活用はしていない。
なんで、そんなことに違和感を覚えるのかと言うと、今なら、こういう孤独を抱えている子なら、きっとネットにハマるんだろうな、と考えてしまうから。
まぁ、自分の時代にはネットもなくて、今も子供がいないので、あくまでも想像ですけど。
ネットで、孤独が癒やされてしまったら、仲村と春日がくっつくことはないだろうから、敢えて踏み込まないのは、物語上、仕方ないと言えば、仕方ない。まぁ物語の嘘というヤツでして。
(作者の青春時代に、ネットがなかったから、そういうストーリー展開が想像出来ないということもあるのだろうけど)
で、仲村と春日は急激に親密さを増すんだけれども、そこで疑問なのは、春日の性欲。
佐伯に対しては、この物語の発端からして分かるように、彼女を性の対象として見ている。
でも、春日の仲村に対しては、なんか有耶無耶な感じがすんだよね。
何度か書いたような気がするけど、ここらへんは、やっぱり、疑問が残るところだな・・・・・・。
過去の感想。
■『惡の華』 第一巻 の感想。
■『惡の華』 第二巻 の感想。
■『惡の華』 第三巻 の感想。
『惡の華』Blu-ray 第四巻 | ||||
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