東村アキコさんの「主に泣いてます」の全10巻のうち、5巻まで読了。
容赦無いギャグ漫画だな・・・・・。
ストーリーは、超絶美人の泉さんを巡る物語。
あまりの美麗&ナイスバディで、既婚未婚、老若を問わず、あらゆる男が一瞬で惚れてしまうという特異(?)体質。
しかし、本人の性格は控え目で、そんな自分を嫌っている。
(そういう、不幸が全身からにじみ出ている女性というのは、また男にモテたりする)
妹の新郎までも惚れさせてしまうという事件に絶望して、投身自殺しようとしているところを美大の教師で、絵描きでもある青山先生に救われものの、彼は既婚者であった。
で、そんな状況に、主人公の赤松君(青山先生のお弟子)は振り回されて・・・・・という感じでストーリーは進んでいきます。
美大生が主人公で、ハイテンションなギャグ炸裂なので、ちょっとだけ「ハチミツとクローバー」を思い出させる面もあるけど、アッチは、ストーリーがメインでギャグはサブ。
こっちは、ギャグがメインでストーリーがサブ・・・・と表現すると、ちょっと違っているかな。
正確には、SFにおいては、空想的な設定を利用することで、逆に現実世界が浮き上がってくるように、ギャグ漫画を利用して、「薄幸な美人」の救済を描いている、という感じ。
ちょっと不思議なのは、なんで、泉さんは、青山先生には惚れちゃったのかね?
一応、彼の絵の中にいる自分を見て、自己肯定ができた、とはなっているけど。
青山先生は、女の敵というヤツで、綺麗な女性を見れば、手当たり次第にちょっかいを出すタイプ。
顔はいいけど、男としては、かなり難のあるタイプ。
まぁ現実においても、そういうタイプはモテたりしますが。
でも、泉さんは、他の男から逃げておきながら、なんで青山先生みたいな男に飛び込んじゃったかね・・・・・・。
強いて理由を探すと、青山先生は本気で泉さんに惚れることがないからか?
惚れないからこそ好きなのであって、惚れてしまうと、その時点で終わってしまう、というのは、リアルでもあるもんな。
マンガは、面白いことは面白い。
けど、冒頭で「容赦無いギャグ漫画」と書いたのは、作者が徹底的に冷めている。
泉さんと青山先生との不倫も、美しく描こうとすれば美しくなるけど、そうはしない。
泉さんが主人公なのだから、タイトル通りに、ただただ泣いている悲劇的な側面ばかりクローズアップして、悲しい物語にしようと思えばできるけど、それもない。
ドロドロ&グチョグチョ、人間の負の側面を強調してやるぜー、なんてこともない。
不倫と言えども、単なる「ネタ」にしている。
他にも、泉さんの親友の「つねちゃん」が主人公の赤松君を好きだけど、やはり、これも手心を加えることなく、作者によって、「ネタ」にされてしまう。
もちろんのこと、泉さんに惚れてしまう男たちは、ぜーんぶ、「ネタ」。
読んでいて、たまに引っかかるのは、その酷薄さ。
つまりは、愛についての作者の突き放し、というかルサンチマンが、この作品の底流にあるんだろうな。
そこが、「あんまりだよ・・・・」と思うこともあるけど、ギャグ漫画だから、そこまでやるからこそ、面白いんだけどね・・・・・・。
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