ネタバレありの簡単なストーリー解説。
・五話
主人公の憧れの佐伯とデートをすることに。そこで、キスすように命令する仲村。
仲村の命令を無視して、佐伯に告白。結果オーライで付き合うことに。
・六話
お付き合いの件は、直ぐにクラスにバレて、主人公の春日と佐伯はクラス公認に。
それに対して、応援するかのように振る舞う仲村であったが、一方で、春日に仲村とセックスをするように勧める。
そんな感じの第三巻。
第五話を見て、ようやく理解できたのは、春日を同志(または思想的な下僕)と思っている仲村は、佐伯に対して、純粋に肉体的な欲望を抱いて欲しかった。
つまりは、精神的なつながり皆無の、肉欲だけの関係。
それに対して、春日は、プラトニックな交際を求めることで対抗する。
で、その延長線として、六話では、春日がプラトニックな関係を望んでも、佐伯は肉体を求めているとそそのかす仲村。
こういう、せめぎ合いだったのねと、今さらながら思う。
こうして見ると、やっぱり謎なのは、仲村の性欲に対する嫌悪感。
春日の佐伯への性欲は肯定・推奨しても、自分自身へ向かうようには、しないんだよね。(春日が佐伯を求める姿を見て、仲村は性的な興奮を覚えているようにすら見える)
正直なところ、
「この物語って、春日がコンドームを買って、仲村とやりまくれば、解決したよな?」
と思うんだよね。(世に言う、「北方謙三メソッド」)
では、なんでそうならなかったのか?
「それをやったら、物語が続かんじゃん」という冷静なツッコミは置いておいて・・・・・・・、
この作品って、仲村が、変態的性欲を肯定しているのに、恋人間の性欲を否定しているので、なんか、こんがらがるんだよね。
漫画が終わっているから、そこから推測するに、母親が性的に奔放な人だったのではないか? だから、性的なことに対して嫌悪感を持ちつつ、肉体の発達とともに性に興味を持ってしまう乖離が、仲村の人格をつくっていった、てな感じなのかな?
以前、「文化系トークラジオ ライフ」で、なんの話だったか忘れてしまったけど(暇な人はポッドキャスト漁って下さい。どれ聞いても、面白いです)、外伝で、BL大好き女子が出てきて、なんで好きになったのか? という流れで、「性的な興味はある! けど、自分自身を性的な対象としては考えられない時期に出会ったのが、BL(ボーイズラブ、つまり男と男の性愛)」と言っているのを聞いて、チャクラが開くくらい、納得しました。
男(童貞)にとって、アダルトビデオなり、エロ本を読むのは、基本として、イメージトレーニングなんだよね。
つまり、いつかは、女性を相手に一戦交えることができるのではないか、いや交えるべきだ! という前提がある。
でも、それに比べると、女性は、未だに貞淑な女性が社会的には求められる。(昔よりは、ゆるいだろうけど)
女性から性的なパートナーを求めるなんて、とんでもない!
その社会的な無言な圧力の結果として、「女 V.S. 男」では受け入れ難く、「女 V.S. 女」では同じことで、だから「男 V.S. 男」になるんだ!
なるほど、ビカッー、第三の目が開いた! くらい、今まで疑問だったものが解明されました。
つまり、「春日 V.S. 佐伯」というのは、一見すると、「男 V.S. 女」の、世間に有り触れた形だけれども、仲村にとっては、「変態 V.S. 正常(秩序)」という、理想のカップルであり、つまりは、この組み合わせを作り出すことが、この世界への挑戦状だった、ということなのかね?
で、最終的には、春日と佐伯は肉体関係を結ぶけど、精神的な結びつきはなかった。
一方で、春日と仲村はセックスすることはないけど、精神的な結びつきは得る。
この不均衡が、物語に、異様な緊張感をつくりだすことになるんだねぇ。
■『惡の華』 第一巻 の感想。
■『惡の華』 第二巻 の感想。
『惡の華』Blu-ray 第三巻 | ||||
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