(■オリジナル版「日本のいちばん長い日」の感想)
どうなんだろう?
見ようか、見まいか。
と悩んでいたら、テレビで昭和天皇を演じた本木さんのインタビューが流れていまして。
そこで、映画のシーンも放映されていました。
けっこう力が入っているな。
じゃぁ見てみるか・・・・・・。
結論から言うと、大変な力作でした。
ハリウッドと比べると、どうしても予算関係で見劣りしてしまうことがある邦画。
史劇にしても、ハリウッドの作品は、その時代を再現しつつも、絵的な美しさも保たれていて、「すげぇーなー」と圧倒されることが多いです。
邦画になりますと、どうしても金がかけられないので、まぁなんか芸術作品風な味付けにして、「ほれ、ハリウッドのような安っぽさはなくて、うちのは高尚でしょ?」という感じになって、うーん、時に貧乏臭いというか、退屈というか。(そりゃ、世界一の経済大国と比べる方が、どうかしているんですが)
しかし・・・・・、原田監督の「日本のいちばん長い日」は、場面場面で時代考証にこだわりつつも、敗戦直前の暑い夏が、美しく描かれています。
「邦画でも、ここまで贅沢に凝って、つくれるんだなぁ」と、素直に感動。
ストーリーは、まぁ、そりゃ、歴史的事実をねじ曲げるわけにはいかないので、オリジナルと基本線は同じ。
でも、2015年版は、昭和天皇をしっかりと登場させています。
そして、本木雅弘さんが、いい演技してました。
モノマネになってしまうと、「冒涜しているのか?」となってしまいかねないし、でも、あまりに実物から遊離してしまうと、「えぇ!? そりゃ、ないじゃん」となるわけで。
その匙加減が絶妙で、・・・・・・リアルな昭和天皇は、「現人神」という感じが死ぬまで抜けなかった、というイメージを個人的には持っています。
本木雅弘さんが演じた昭和天皇は、高貴な天上人だけど、下々への配慮を忘れない、という面が、うまーく増幅されていました。
まぁなんつーか、「これは、これでアリだね」という感じ。
そんな「慈悲深き君主」像がちゃんと出来上がっているからこそ、忠臣として天皇の意向に沿いたいものの、「栄光ある帝国陸軍」にトップでありながら幕引きをしなくてはいけないという阿南陸軍大臣の苦しい立場が、より浮き上がっていました。
「日本のいちばん長い日」というタイトル通り、旧作は8/14、8/15がメインでしたが、今作は、もうちょっと長い期間を描いています。
・・・・その弊害として、場面場面が、短い。
展開が早くて飽きないのは良いのですが、・・・・・歴史に詳しくない人は「?」だろうなぁ。
まぁ僕も、そんなに詳しくはないので、クーデター中の動きが、なにがどうなっているのか、よう分からんよ・・・・。(それでも、十分に緊迫感は伝わってきましたが)
で、宮城事件(クーデター)の首謀者を演じるは、松坂桃李さん。
「この人、どっかで見たぞ。誰だ、誰だ、誰だ? 空の彼方に・・・・・、そうだ、ガッチャマンだ」
そうでした、実写版「ガッチャマン」に出てた人だ。
登場当初は、現代の若者風になっていて、「軽いよ、軽すぎる」と感じたけど、中盤以降は、「純粋なだけに狂信的」という役を好演していました。
(イケメンなので、「彼らの行為は、天皇を思っての私心のない美しい義挙であった!」という側面が強化されてしまったように思えてしまうのは、ヒガミでしょうか?)
他にも、山崎努さんが演じた鈴木首相は、飄々としていながら、強硬派を抑えて、終戦に導いていく。
「あぁ、なるほど、こうやったんだな」(史実はどうか知りませんが)と納得できる仕上がり。
映画内の小道具や建物と同じく、登場人物たちも、「力入っているなぁ」と思わせる熱演でした。
冒頭で書いたように、邦画でも、これだけ骨太な作品がつくれるんだと、感動しました。
めでたく大ヒットして、毎年は無理にしても、二、三年に一回くらいは、こういう豪華な映画をつくってくれたら嬉しいですが、さて。
まぁ残念なところと言えば、海外でも通用するだけのクオリティの作品だと思いますが・・・・・、いかんせん、題材がね。
余程の好事家でもない限り、外国人は、見たいと思わないだろうな。
また、見ても理解もできないと思う。
日本人であれば、「軍部の独走で破滅的な戦争に向かっていき、昭和天皇自身が積極的に主導したわけではない」というのは、なんとなぁーくは知っているのだろうけど。
しかし、外国では「ヒットラー、ムッソリーニ、ヒロヒト」と並んでいることもあるからね~。
日本のいちばん長い日(決定版) 運命の八月十五日 | ||||
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