2015年3月7日土曜日

「KANO~1931海の向こうの甲子園~」は、ちょっとクドかった


台湾映画の「KANO」を見てきました。

戦前の日本統治時代、台湾代表として甲子園に出場し、準優勝した嘉義農林学校野球部の実話を元にした映画です。

「日本人監督が、日本人、台湾人、原住民(高砂族)を率いて、活躍する話」ということで、親日映画だと、ちょっと話題になりました。

実際の感想としては、確かに、支配者層である日本人に対して、悪感情を抱かせるようなエピソードは少なかったです。

まぁ、娯楽作に徹している、と見るべきなのかな?


で、ネタバレですが・・・・・。

三民族が一緒のチームにいれば、当然、軋轢があって然るべきで、それを乗り越える過程が描かれそうなものですが、全くなし。
最初から、みんな仲良し。

また、日本人が統治のてっぺんにいるわけですから、支配と被支配の微妙な関係がありそうですが、それも触れられず。
(台湾大会に優勝して、日本に渡ってからは、ちょっとだけ嫌な思いをしますが、本当にちょっとだけ。しかも、人種差別的な発言をしていた日本人も、最後は改心しているし。また、こういうお話だから、相手チームが、「ふっ、日本人でもないくせに」とか罵声を浴びせそうなもんですが、そういうこともなく)

wikiを見ると、日本人監督の近藤兵太郎さんというのは、なかなか立派な人で、日本人、台湾人、原住民を分け隔てなく接していたそうなので、その精神を尊重し、変に国威発揚や自民族中心主義にならないように、気をつけていたのかな?

うーん、それにしても、まぁ、ちょっと美し過ぎるような気がするけど。


特に、よく分からなかったのは、八田與一という人。

突然登場して、野球部員が「先生、先生」って、なついているんだよね。

「誰?」って、感じでしたが、wiki見ると、台湾の治水に貢献した人。
あちらの教科書に載るくらいの有名人だから、なんの説明もなく、登場するわけだ。

で、彼の設計した嘉南大圳が、嘉義農林学校野球部(KANO)が台湾大会で優勝し、町をパレードした日に、完成する。

つまりは、日本人監督によって弱小チームが甲子園出場を果たしたということと、やはり日本人技師の指導によって巨大なダムと治水が完成したことが、並べられているわけです。

台湾人監督が、台湾映画としてつくっているからいいけど、これ、日本人監督が日本映画として撮っていたら、大変なことになっていだろうな、と心配になるくらい確かに日本統治を称揚しているような・・・・・。

おそらくは、日本統治を美化したいというよりは、「三丁目の夕日」的な、ノスタルジーを喚起したいだけだとは思うけど・・・・・・。(だいたいにして、敢えて親日映画をつくるのは、市場原理からすると、無意味よね。日本市場を重視するよりは、中国市場を狙う方が、今の時代は正しい訳ですし)


で、映画の出来としては、三時間の長丁場。
前半は、日本統治時代の台湾風景が興味深いこともあって、弱小チームがいろいろな困難を経て絆を深めていく過程は、お約束と分かりつつ、楽しく見れました。(「三丁目の夕日」に、王道スポ根を足した感じです)

が、後半(日本に渡航後)からは、なんか間延び。

最後の試合なんかは、無理に泣かせようとする感じが、どうも、ねー。
(バッターボックスで、飛んできた蝶に見惚れるって、なんだよ、その演出。観客たちも、最後はKANO万歳って感じだし)

こういうのが好きな人が多いのは分かるけど。
個人的には、くどいと思ってしまったよ。

無理しないで、台湾大会優勝で終わらせていたほうが、映画としては、すっきりしたと思うけど。

まぁ、台湾のチームが台湾大会で優勝しただけでは、普通の話になっちゃうからね。
どうしても、台湾チームが、日本で準優勝したまでを描く必要があるわけだから、仕方ないんだろうけど、でも、後半は、なんか無理につくった感がある映画だったのが、ちょっと残念。


台湾映画の感想。
台湾映画「花蓮の夏」を見て
魅惑の90分映画「藍色夏恋」
映画「あの頃、君を追いかけた」に、身悶えする
台湾映画「九月に降る風」の感想

KANO 1931海の向こうの甲子園
by カエレバ

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