さて、女性作家による「女なのでしょうがない」という、極めて自虐的なタイトルをした漫画の三巻。
(以前の感想は、こちら。■近由子「女なのでしょうがない」の1巻、2巻の感想)
三人の女性がメインキャラで、それぞれの仕事と恋をめぐって、話は展開されていきます。
以下、ネタバレ。
メインである青木ですが、職場の人間関係に疲れて、「結婚もいいのか?」と、考えるようにも。
しかも、見合いの相手は、一橋大学卒で、現在、仕事も順調、自家用車を持つくらいの経済力があり。中肉中背、普通の顔立ち。
てきとうに社交的で、青木のことを、気に入っている模様。
アラサーで、別に好きな人はいないけど、結婚を意識し始めた女性からすると、好条件な物件。
トキメキはないかもしれないけど、まあ、今更、大恋愛が待っているとも思えず。
で、楽しい時間を見合い相手と過ごしたのは束の間、休日明けに職場に出ると、自らの大ポカが発覚。
それを、同僚にフォローしてもらうことに。
青木の部下である風間。
ただいま、他部署へ出向中。
外見的な女子力は強いが、恋愛に関しては冷めている。
男というのは、自分の寂しさを一時埋めてくれるだけの存在と割り切っている。(心の奥底では、割り切っていないのだろうけど)
彼女も青木と同じように、ミスをしてしまう。
これまでは、仕事に熱を入れるようなことはなかったが、労働の達成感を覚えてるようになっており、青木とは対照的に、独力での失地挽回を志す。
仕事人間(仕事が好きなわけではない仕事人間だから、困ったものなのだが)の青木が仕事に倦んで、結婚(異性・恋愛)に逃げようとしている。
それに対して、男に逃げていた風間は、仕事へのスタンスに変化が見られる。
ここらへん錯綜しているわけでして・・・・・・。
で、三人目。
今回、表紙になっている君島。
外見的な女子力は弱いが、恋愛に関しては、ピュア。
風間的な異性との交流は認めれないし、青木のような逃げ場としての恋愛(結婚、異性)も考えられない。
アラサーで、そんなことでどうする? という感じだが、その彼女に相応しい相手として、アパートの隣に住む中学生男子から惚れられてしまう。
確かに、恋愛観は共有できるかもしれないが、・・・・・・まぁ、中学生男子とアラサー女子では、犯罪だよね。(逆パターン、中学生女子とアラサー男子を想像すると、分り易いですな)
結局、「いい思い出」として、付き合うことはなく、二人の両思い(?)は終焉してしまう。
健全。
この君島の健全性に対して、ここでも際立ってしまうのは、またしても青木の不健全性。
男に逃げるか? と思ったら、結婚する気にはならない。
どうやら、「母親から勧められた相手と結婚する」ということが、心のどこかで引っかかっている模様。
そう考えてみると、青木が仕事に打ち込むのは、母親への反発なのかな?
仕事からの逃避としての結婚も、母親の願望を叶える結果となってしまうのであれば、本気になれないわけでして。
というわけで、母親との対峙が、今後は、より鮮明になっていくのかな?
で、この「母親の願望」というのは、第一巻の、
だって、嫌なこと ばっかり言うんだ もん…お母さんという言葉が象徴しているように、古臭い(?)価値観に根ざしている。
女の仕事は 結婚出産だ …って
青木は、車の運転免許すら、取らせてくれなかったみたいだもの。
(女は、車の運転すら必要ないって、サウジアラビアみたいね・・・・・。■サウジアラビアにおける女性の人権 - Wikipedia)
まぁ、有り体に言えば、「男は外で働き、女は家を守る」という、男性中心の考えなわけで、それを女性から押し付けられるという皮肉。(でありながら、母親は自動車免許を持っているのだが)
もとより、青木の自己評価の低さってのは、この母親の敷いたレールから外れてしまっている、ということが遠因なのだろう。
彼女が母の影響から完全に脱するということは、男社会からの解放をも意味するわけで、・・・・・「解放」は大げさでも、現代社会(男社会)と、どうにか折り合いをつけなくてはいけないのだが・・・・・・、さて。
女なのでしょうがない(3) (講談社コミックス) | ||||
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