眉月じゅんさんの「恋は雨上がりのように」。
過去に感想(■「恋は雨上がりのように」1巻、2巻の感想)をアップしましたら、バンバンPVを稼いでくれました。
「人気は出ている!」けど、「まだ解説をしている人は少ない」という間隙をぬったらしく、あんな駄文でも読みたい人がいたようでございます・・・・・。
さて、第三巻発売ということで、早速、手にしてみました。
相変わらずの「かわいらしい漫画」です。
表情は乏しいものの、八頭身はあるんじゃいないの? というスレンダーな美少女(あきら)と、彼女に惚れられてしまった、円形脱毛症のしがない中年男性(ファミレスの店長)の交流が、セックス抜きで語られています。
三巻で象徴的だったのは、ちょっとした事故(少年誌であれば、ラッキースケベになっていただろう)で、「あきら」の服が汚れてしまったところかな?
アパートには、当然のことながら洗濯機があるんだけれども、中年男性の下着を洗っているようなもので、女子高生の服は洗えないと、店長は、わざわざ外のコインランドリーに向かう。
一方で、あきらは、貸してもらった店長のTシャツを着て、密かに喜んでいる。
あきらは、もともとアスリートだったけれども、怪我で引退。その空虚を埋め合わせるように、店長に惚れています。
一方の店長は、どうやら、文学関係のことで、挫折を味わった模様。(おそらくは、純文学系の作家を目指していたけど、かなわなかった。または、文学関係のお仲間を、なにかの事件によって亡くしてしまった or 取り返しの付かないくらい傷つけてしまった)
店長は、この挫折がもとで、むしろ、自己に自信が持てず、あきらの気持ちを知りつつも、彼女を受け入れることができない。
片方は夢をなくしたことで、異性を求めている。
片方は夢をなくしたことで、異性を受け入れることが出来ない。(「大人の男性として、高校生とは付き合えない」という倫理観も持ち合わせている。けど、「あきら」を完全に排除できるほどの、強い道徳心があるわけではないところが、ダメな感じですなぁ~)
この、すれ違いが、自宅の洗濯機で洗うことを躊躇する店長と、そんなことは気にしていない「あきら」として、あらわれていました。
さて、今後の展開の予想ですが・・・・・・・・、あきらは、アスリートを挫折した傷を癒せてはいない。
その為、友人関係も、うまくいっていない(喧嘩をするほどではないが、仲は希薄化してしまっている)。
アスリートに代わるものとしての店長なんだけれども・・・・・・、まぁ現実の社会においては、かつての夢や目標を諦めて、家庭なり異性に埋没していくというのは、よくある話でして、また、それはそれで幸せでしょう。
が、店長の文学の夢を叶えるために、糟糠の妻を志すというのは、・・・・・・うーむ、とても現代の物語とは思えない展開ですな。(連続テレビ小説「マッサン」は、そんな話だったけど、あれは、奥様が外国人というところがミソでして。新味を加えておきながらも、残りは、古臭い展開というのが、程よいバランスだったんですよね)
それにね、年齢差が・・・・。
40超えた男が、10代の少女に精神的にしろ、支えてもらうというのは(まして物質的に支えてもらうのは、ヒドすぎる)、ちょっと、ね。
パッとしないOLが、売れないバンドマンや芸人を支えるのとは、わけが違う。
「年齢差のカップルが、恋愛を通して、過去を精算していく」というのも、30代と50代の男女というなら、それもいいでしょう。
が、片方は、まだ未来ある10代の少女だからね。
やはり、今後は、一人の少女の自立が描かれていくのだろうなぁ。
たとえば、足を壊したのだから投擲にいくとか(これは無理があるな)、マネージャーをする、スポーツドクターを志すとか。
ありそうな展開としては、店長に憧れて文学に触れているうちに文章の仕事も悪くないと思うようになって、最終的にはスポーツライターになるってのは、どうでしょう?
とにかく、今作の中では、あきらは、授業中の居眠りで、店長に飼われているハムスターが、自分になるという夢を見ています。(しかも、夢の中では、ちゃんと走れている)
まぁ、綺麗に描かれているけど、これは、やっぱり健全ではないよね。
そして、未だ過去にとらわれている店長。
現実において、十代の美少女から言い寄られたら、もう愛欲の日々に爛れて・・・・・にはならずとも、なんかデレデレで、過去なんか、すっかり忘れてしまいそうですが、さて。
過去と決別するのか、乗り越えるのか。それとも、いつまでも抜け出せずに終わるのか。
まぁ、お約束の展開としては、一念発起で、文学賞に挑むけど、という流れか?
いずれにしろ、あきらの自立が今後の展開の肝になると思っております。
そして、「いろいろあったけど失敗でした」とは、ならんでしょうなぁ。(店長の方は、有り得ますが)
苦労はしたけど、どうにか新しい夢を手に入れることができました、となるんじゃないかな?
で、自らの空虚を埋め合わせる為の異性だったのだから、自立(自己の確立)に成功すると、店長は要らなくなってしまうわけでして、そこらへんがラストか?
そして、最後の数ページで、5年後とか10年後の二人が描かれていて、雨上がりの街角でバッタリ出会って、または、「うわ、このまま行くと、二人鉢合わせてしまうじゃん」みたいなシーンで終わるのではないかと勝手な想像をしていますが、さて、どうでしょう。
恋は雨上がりのように(3) (ビッグコミックス) | ||||
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