今さらながら、大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」を見て、あまりの圧倒的な内容に衝撃を受けまして。(■「戦場のメリークリスマス」の感想)
ちょうど最近出た本があるので、買ってしまいました。
帯で、坂本龍一さんが絶賛しているように、面白く&一気に読めてしまいます。
内容自体は、今まで公になっているものと重複しているのかもしれないけど(ファンなら当然知っている内容なのかもしれない)、つい先日、衝撃を受けたばかりの人間からすると、大変興味深いものばかり。
映画の原作者であるヴァン・デル・ポストは後に完成したフィルムでの坂本龍一が演じるヨノイを観て、小説のイメージそっくりすぎて本当に驚いたという。さらに、以前にアメリカで行われた文学セミナーで三週間を一緒に過ごした三島由紀夫を思いだしてならなかったと、当時の雑誌のインタビューで話している。伝説的な文藝編集者だった坂本龍一の父が三島由紀夫の担当であったのは不思議な偶然と言えるのかどうか。「ヨノイ大尉が、三島由紀夫っぽいなぁー。坂本龍一さんは意識していたのかな? それとも、メークさんが、そうさせたのかな?」なんて思っていたんですが、やっぱり他の人も、同じ感想だったのね。
しかし、坂本龍一さんの父君と三島由紀夫が、そんな関係だったとは(三島由紀夫と「そんな関係」と書くと、誤解が生まれそうだが)。
たんなる奇縁に過ぎないのだけど、こんな不思議なエピソードが満載。
不思議と言えば、映画の中で、もっとも重要なシーンである、セリアズがヨノイにキスをするシーン。
「スローモーションのようなもの」になっているのですが、これが、カメラの不調で生まれた、偶然なんだそうです。
ゲラゲラと笑わせてもらったのは、映画の資金が集まらなかったこと。(ここらへんを読むと、当時と今とでは変化はあるでしょうけど、どうやって映画がつくられるのか、勉強になります)
それでも、大島渚監督は、はたから見ると、まったく動じていなかったそうです。
修羅場をくぐってきた、というか、大物というか。
内心では、いろいろと思うところはあったのでしょうが、第三者から動揺を気取られないというのは、大したものです。
本は、存命中のスタッフの証言が中心なのですが、最後に、当時の、大島渚監督のロングインタビューが掲載されております。
これはこれで、当時の空気が分かり、読み応えがあります。
その中で、印象的だったのは、この作品が、BL(ボーイズ・ラブ)として受容されていたこと。
今も昔も変わらんですなー。
■今更ですが「戦場のメリークリスマス」を鑑賞して疑問が出てきたのです... - Yahoo!知恵袋
もちろん、同性愛の映画なんだけど、↑を読むと、納得しつつ、ちょっと性愛に寄り過ぎているのかな? とは、個人的に思ってしまいます。(上記の解釈が間違っている、と指摘したいわけではありません)
多層的な解釈が可能な映画ですが、この本を読むと、より深く作品を楽しめるのではないでしょうか?
おまけ。
■文春、産経の「反日」攻撃でアンジーの映画が公開見送りに! ネトウヨが作る検閲社会|LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見
同じく「太平洋戦争中、西洋人が日本人に虐待される」という映画ですが、日本では公開が見送り?
「戦場のメリークリスマス」も、もちろん、当時の日本兵の残虐性を描きつつも、その枠には収まらない人間ドラマが描かれているわけでして、見もしないで生まれた批判に尻込みしたとなると、残念ですね・・・・・・・。
「戦場のメリークリスマス」~30年目の真実 (TOKYO NEWS MOOK 466号) | ||||
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