日本SFアニメの金字塔、と言うか、SFアニメの金字塔である「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」。
もう二十数年前の公開になるんですね・・・・。
押井守監督作では、一番の傑作ではないかと個人的には思っています。
で、それが遂に、ハリウッドで実写化。
キービジュアル初公開の際には、「主人公、白人かよ」と、日米で炎上。
原作愛からの怒りを理解しつつも、ブロックバスター映画に耐えられるアジア人女優って・・・・・、正直、思いつかないよね。(男性なら、渡辺謙さん他、韓国、香港で探せないこともないような気がするけど・・・・・・)
「まぁ、しゃーねーじゃん。それよりも、いい映画になると、いいね」と期待しておりました。
公開が迫るに連れて、徐々に新しい映像・画像が公開され、「いいじゃん」と「大丈夫か?」の心中のメトロノームが、何度も両極端へ豪快にスイング。
そして迎えた4月7日。地元の映画館でも、取り扱ってくれて、ありがとう。
仕事を終えて、夜の回へ。
席は、けっこう埋まっている。と言っても、20から30名くらいかな? 田舎の映画館なので、十分、大入り。ほぼ、40前後のオッサン連中。僕も含めて、似たような人間ばかり。
「こんなに期待している人がいるんだ~」と思って、見ましたが・・・・・・・。
( ´゚Д゚)・;’.ゲフッ
「これは厳しいぞ」というのが、正直な感想。
先ずは、「攻殻」未体験の方には、いきなりの「ダイブ」とか、まったく説明無しで、理解できるの?
攻殻は、漫画、押井守版、神山健治版、黄瀬和哉版と見ている僕でも、「唐突過ぎる」と困惑してしまったのに。
(それに、芸者ロボにゴーストはないのでは? ゴーストがないのに、ダイブできるの?)
そして、その後、この「ダイブ」は、使われることなし・・・・・・。
その他にも、「元ネタに忠実であろう」、または、「ファンサービスしてやろう」という製作者側の配慮で、過去作の映像・設定が数多活用されているのだけれども、一見さんには、どれもこれも説明不足。
たとえば、「ダイブ」の他には、ラスト間際のヘリへの攻撃。サイトーという攻殻世界の登場人物を知っているなら、まぁ、どうにか「あぁ、なるほど」だけど、知らん人間からすると、あまりにご都合主義。(知っている人間からしても、強引さは否めないのだが・・・・・・)
少佐の逃走からの、海でのダイビングで、バトーとの再開の流れは、「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」からの流用なのだが、・・・・・・未見の方には、「はっ?」だろうし。(よく知っている人間からしても、「えぇー?」だけど)
オマージュ or リスペクトなんだろうけど
と、まぁ、元ネタに頼り切りな作品でして。
単体の作品として見た場合は、あまりに厳しい。
「でも、従来のファンなら、喜んでくれるんじゃない?」という声もあるでしょうが、・・・・・・うーん。
第一作(押井守監督「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」)と比較して、もっとも重要な違いは、僕としては、少佐の人種ではなく、組織内の立ち位置。
第一作における主人公・草薙素子は、外見こそ女性であるが、後に「メスゴリラ」などと称される人工の体に、性差は存在しない。
屈強な男性バトーと同じか、場合によっては凌駕するほどの力を発揮する。
しかし、肉体と魂の分離は、彼女に巨大な力を授けたが、一方で身体性の喪失はアイデンティティへの危機を生じさせる。
「自分というものは、いったいどこまでが自分なのか?」「外と内の境界とは?」「今見ているものを幻ではないと、誰が証明してくれるのか?」(初期の押井監督作品の、繰り返されたテーマですな)
ハードな現場で、暴力を厭わない戦いをしつつ、彼女の悩みは深く暗く沈殿していくのだが、外からは完全無欠だと思われている為に、彼女はより孤独に追い詰められていく。
で、今作、スカーレット・ヨハンソン主演「ゴースト・イン・ザ・シェル」。
ビートたけしさん演じる「アラマキ」が、最初の方から、主人公のミラを気遣っているんだよ。
その姿勢は終始変わることなく、・・・・・・・最終的には、ミラを改造人間にしてしまった黒幕を殺すのも、アラマキ。
つまりは、「圧倒的な父性のアラマキ」で、「その庇護下の娘のミラ」という構図が徹頭徹尾維持されてしまっている。
うーむ。
強力なサイボーグでありながら、「女」であり続けるせいなのか、ミラは、しょっちゅう危機に陥るんだよね。
(特にひどかったのは、バトーと海で出会った後に、拘束されてしまうシーン。なんか、自力での脱出方法を考えているのかと思ったら、お情けで助けてもらうって・・・・・)
そして、かつの恋人クゼとの再会からの、ちょっとしたラブシーンにつながるわけで、つまりは、「女」。
第一作においては、主人公の草薙素子は身体という軛から解き放たれて、ネット世界へ己のゴースト(魂)を解き放つという衝撃的なラストでした。(当然のことながら、そこにはもう、性別なるものは存在しない。・・・・・でありながら、現実世界に生きるバトーは、彼女のことを忘れられないから、「イノセンス(無垢)」なんだろうなぁ)
が、今作のラストは、産みの親と娘として再会というシーンが象徴しているように、むしろ、肉体(の記憶)を取り戻してしまうわけで、まぁ、真逆ですな。
もちろん、押井監督のラストでは大衆受けは望めないわけで、100億を超える金が投じられた映画としては、「普通」な終わりにするのが妥当なんでしょう。そこは文句を言っても詮無いこと。
■Ghost in the Shell : ハリウッド版「攻殻機動隊」の「ゴースト・イン・ザ・シェル」の失敗について、製作・配給のパラマウント映画が公式にコメントをした ! !
が、結局、大爆死というのでは、なんとも切ない。
映像美は、そりゃ、「ハリウッド」レベルなんだけど、「個性がある?」と聞かれると、なんか、「ブレードランナー」の強化版。
スカーレット・ヨハンソンさんは、恐ろしくキレイ。
上のリンクにある画像なんか見ると、あんな間抜けなスーツを着せられていても、「うわぁー」とため息がでる美しさ。
ではあるが、・・・・・・・アニメと同じ動きをさせると、けっこうアレなところも多くてね。
うーん・・・・・・・。
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