2015年5月3日日曜日
何故か読み返した志賀直哉「城の崎にて・小僧の神様」
自分で言うのもなんだが、なぜか志賀直哉を読み返しました。
短編をいくつかと、「暗夜行路」を読んだことがあるはずなのだが、もう、ほとんど記憶になく。
それもあって、読み返したという感じですが・・・・。
面白かった。
志賀直哉って、小説上手ね。
「小説の神様」とまで言われた人に、何を言っているんだ? という感じですが、昔読んだのは、二十歳前後だと思います。
まぁ、大げさな主張があるわけでも、絢爛豪華な表現があるわけでもないからね。
当時は、「良さ」が、よく分かりませんでした。
代表作の「城の崎にて」も、ちょっとした事故に巻き込まれて怪我をし、その静養先のことを書きつつ、生き物たちの生死を活写しているうちに、自らの生について語る・・・・なんだけど、別に、こむずかしい思想があるわけでもなく。
でも、逆に言うと、この年になると、「そっちの方がリアルだよね」とも感じたりします。
大仰に「生き残った!」と感動するようりも、「まぁ、なんか死ななかったね」くらいに感じる方が、普通だよね。
他の「正義派」という短編にしても、そんな大げさな話ではなくて。
現代風に言うと、「事故現場を写真で撮って、ツイッターなんかにアップして、かつ、事故を起こした加害者へは容赦なく非難をする」ような人を描いた作品。
別に、それを非難するわけでも、擁護するわけでもなく、「まぁ、人生って、こんなもんだよね」という微妙なさじ加減。
40手前になると、こういう微妙な「機微」が、少しは面白く感じられるようになりました。
「濠端の住まい」なんかも、筋を解説してしまったら、大した話ではないのだけれども、丸い玉が坂道を綺麗に真っ直ぐ下って行くように、素直に無駄なく物語が進んでいくのは、すごいなーと思えます。
ただ、まぁ、読み終わった後に、「で?」と思う人もいるような小説であることも事実だが。
「青空文庫」に入ってないの? と思ったら、長命だったから、まだまだみたいね。
後に世に出てきたはずの太宰治の方が、先に著作権が切れているとは、まぁ、なんと言いますか、・・・・・不思議なもんですなー(←適当な感想)。
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