羽海野チカ先生って、「悪が描けない人だよな~」というのが僕のイメージでした。
山崎順慶なんか、病弱な二海堂を無情に倒して「嫌なキャラ扱い」だと思ったら、次の話では、「勝負に生きる者として、彼には彼の苦悩がある」という展開。
主人公のライバルであり、義姉をたぶらかす後藤も、実は姉が一方的に言い寄っているだけで手を出しておらず、しかも病気の妻を大事にする一面が。
そもそも、前作の「ハチミツとクローバー」でも、森田の復讐相手を、そんなに悪くは描いていないんだよね。
3月のライオンの「いじめ編」は、がんばっていたけど、それでも、子供時代の無邪気さという感じが抜けきれなかった。(だからこそ、純粋な「悪」だろ、とも言えるかもしれませんが)
無責任な教師にしても、最後は倒れちゃったし。
まぁ作者の人柄なんだろうな・・・・・。
が、10巻で、ついに登場の川本家を捨てた父。
顔つきは温厚だけど、目先の女に直ぐに飛びついて、家族を放り投げてしまうような無責任人間。
「3月のライオン」は、主人公・桐山零の再生と、川本家の幸せの二本柱がストーリーのメインなんだろうけど、その片方に、ちゃんとデカイ悪を用意しましたね。
で、まぁ、ネタバレ。
まったく責任感というものを持ち得ず、自分の都合だけを大上段から優先させるような人間に対処する為に登場するのが、主人公の桐山零。
あっちが超絶無責任人間だとすると、こっちは、責任感有り過ぎ人間。
「いじめ編」では、異様なのめり込みに、外野が心配したくらい。
それでも、「いじめ編」では精神的な支えとはなっても、実質的に川本家を手助けすることは出来ず。
今度は、ちゃんと自らの役割を発揮するんだけど、それが、「川本ひかりと結婚する宣言」でして。
つまりは、自分が彼女たちの家族となって、大黒柱として守っていくという、漫画らしい超絶展開で、ゲラゲラ笑わせてもらいました。
次巻では、対立の顛末が描かれるのか、それとも、まだまだダメな父親との戦いが続くのか。
「父親にも新しい家族がいる」ということで、やっぱり、羽海野チカ先生らしい、優しい和解になっていくのかな? という気がしますが。
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