2016年6月12日日曜日

映画「マネー・モンスター」の感想



なんか映画見ようと思って映画館に行ったら、ちょうどいいのが「マネー・モンスター」しかなかったので、見てみました。

感想を一言であらわすと、普通。

地上波でやっていたら、ちょうどいいくらい。

ストーリー


ジョージ・クルーニー演じる「ゲイツ」は、経済や株価をおもしろおかしく解説する、言うなれば「資産運用バラエティ」の司会者。

番組には、今後、値が上がりそうな株を紹介するコーナーがあるのだが、これを信じて、視聴者・カイルは全財産を失ってしまう。

怒ったカイルは、ゲイツの番組放送中に、ピストルを持って乱入。司会者を人質にして、彼の不誠実を詰りつつ、この社会の矛盾を訴えていく・・・・・。

なんか、いまいち


ジョージ・クルーニーが視聴率至上主義、自らの言説が現実世界に及ぼす影響など、微塵も恐れていないイケイケタイプを、巧みに演じています。

彼の言葉によって人生を狂わされた人間(犯人)の登場で、徐々に「良い人」に変化していく。

その過程が、うーん、なんか、イマイチだったなぁ。


犯人の主張を聞いていくうちに、株価の急落に疑問を持ち、一緒になってというか、むしろ先導するように事実究明に走るんだけれども。

「ゲイツ」という人物は、日本で言えば、「宮根誠司」さんや「みのもんた」さんを、無責任に、かつコミカルにしたようなキャラ。

そんな、世の中の酸いも甘いも知っているような人間が、一企業の不正程度で本気になるかね~。(そして、短時間でもって真相にたどり着くなんて。莫大な資金を不正に運用するような企業のくせに、穴だらけ過ぎだよ)


また、犯人のカイルにしても、怒りのままに生放送をジャックしてしまうような人間なのに、妊娠中の恋人からの罵声に動揺してしまうような中途半端。

まぁ、この犯人というのは、「世界の富の半分を牛耳る一パーセントの富裕層」以外の人間を代表としているわけで、つまりは映画の観客でもあり、あんまり悪くは書けない。
結果として、なんか、パッとしなかったなぁ・・・・・。


で、物語は、「犯人」「テレビ局のクルー」「警察」「株価を操作した大企業」が、騙し騙され、どんでん返しの応酬・・・・・・ということはない。

「こんな感じで進むんだろうなぁ」と思っている通りに進む。


また、「アメリカ社会における金融問題」について深く切り込んでいるわけでもない。

「クオンツ」「金融工学」「高速取引」とか、単語は出てくるけど、深い解説があるわけでもなく。
ストーリーに絡んではいるけど、あくまでも撫でる程度。

「マネー・ショート」のように、本気でやると、難解な作品になってしまうのは分かるんだけど、・・・・・・「とりあえず、現代なら金融が悪者でしょ?」という安易な筋立てが見え見えで、娯楽作としては物足りず、でも社会派ドラマには成立していなかったなぁ・・・・・。


(■「マネー・ショート 華麗なる大逆転」を見てきたが、難しかった)


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2016年6月10日金曜日

菅野完「日本会議の研究」 -出版業界に訪れた日本会議ブーム-

日本会議ブーム到来


ブッシュ(息子)が大統領だった際には、「ネオコン」について、さんざん報道がされておりました。

二つの戦争にも、大きな影響を及ぼとしたとも言われております。

で、日本。


安倍政権を語る際には、「日本会議」について触れられることは多いのですが、どんな組織なのは、あんまり報道されていなかったのでは? と思っているのは、僕だけでしょうか?

しかし、そのことは、誰もが思っていたことらしく、ここにきて一気に出版ラッシュです。


で、「どんなもんでしょう?」と一冊手にとったのが、菅野完「日本会議の研究」。

産経グループの扶桑社から出版というあたりが、まぁ、なんか面白いですね。


(本当は、別海から来た女をもメロメロにするイケメン・青木理さんの本が読みたがったが、まだ出版されてなくてね。)

日本と宗教


文章は、ちょっと大げさな所もあります。
もともとweb連載で、調査しつつ執筆をしていたせいなのか 作者自身の驚きが、そのまま文章にあらわれている感じ。

まぁ、そのおかげで、読み易いんですけれども。


内容ですが、日本会議の歴史を紐解きつつ、徐々に、「生長の家」との関係が語られていきます。(本書においては、日本会議の成り立ちや、現政権との距離感について言及されることが多く、彼らの思想については、あまり触れられていません。そこらへんを期待していると、ちょっと肩透かしかも)

集団的自衛権の合憲性の担保となる、政権にとっては重要な学者・百地章氏や、安倍首相の後継者の一人と目されている稲田朋美氏、首相のブレーンとも言われる伊藤哲夫氏などなど、各々個人で活動しているようで、実は「生長の家」というタグで、まとめることができるといのは、おもしろいもんですねー。

しかも、現在の「生長の家」は、創始者の谷口雅春とは思想的は大分隔たりがあり、また、政治的な活動からは距離を取っている。

なので、日本会議と、現在の「生長の家」は、まったく接点がない。
あくまでも、過去において、「生長の家」の教えを受けた人間が、熱意でもって活動しているに過ぎない。

そして現在の「生長の家」と無関係ということは、日本会議には、労働組合や創価学会といった巨大なバックボーンを有しているわけではない。
人的にも資金的にも、決して恵まれているわけではないのだが、それでも、なお、ある程度の組織力を維持し、現政権に大きな影響力を有している。


アメリカ政治を語る上ではキリスト教が欠かせないわけでして、フランスなら逆に政教分離が度々問題になり、イギリスだと最近はロンドン市長にイスラム教徒が選ばれて話題になりました。

どこの国も、政治と宗教は切っても切れない縁なのですが、日本ですと、あまり注目されず。

でも、選挙において自民党が公明党(創価学会)頼りだったり、安倍さんと統一教会の関係が噂されたり(お父さんの時代の話で、今は、そんなに接点があるとは思えませんが)、そして、谷口雅春という宗教家の教えが現政権の政策に影響を与えているというわけでして、幸福の科学も、毎度毎度選挙に出ては泡沫候補扱いですが、いつか、陽の目を見る日も来るんですかね~、なんてことを思ったり。


ただ、最後の最後に、安東巌というボスキャラを登場させるのだが、・・・・・・・これは、ちょっと無理があるような気がしましたが、さて。

日本会議の研究 (扶桑社新書)
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「日本会議」の正体
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2016年6月9日木曜日

「アストロ球団」の感想


怪作


いつかは読みたいと思っていた原作「遠崎史朗」、作画「中島徳博」による「アストロ球団」を、ようやく手にしてみました。

聞きしに勝る怪作でした。

勝てるのは、雁屋哲先生原作の■「野望の王国」くらいかね~。


未読の方に、その「怪」っぷりを語るのは、なかなか難しいのですが、百聞は一見にしかず。
実写化された影像でも、なんとなくは分かると思います。

または、googleの画像検索。(■アストロ球団 - Google 画像検索)

最早・・・・・


一応、ストーリーについて書いておきますと、第二次世界大戦前、来日した大リーガーたちを相手に好勝負をした天才投手「沢村栄治」。

彼は、戦場にて悲劇の死を迎えることになるのだが、その魂は星となり、九人の若者たちに宿ることに。

戦場にて沢村と親しくしていた現地人のシュウロは、日本に来日。

彼の無念を晴らすべく、九人の若者を探すのだったが・・・・・・。


最早、散々にネタにされてしまったので、21世になって、つっこむの野暮ですが・・・・・・。

それにしても、主人公の「宇野球児」が、作品開始早々に「宇野球一」に変名し、同時に「三荻野球一」が「球五」になるという、場当たり的な展開。

九人も登場人物いると、当時のメイン読者である子供には分かり難いという配慮なのだろうが。

しかし、九人集まるのが、最終巻なんだよね・・・・・・。
うーむ。


意味深な描写で、「もしかしたら、彼も沢村栄治の遺志を継ぐものか?」的な描写があった「知念」なんかも、まったく活躍しないで終わってたり、「野球のルールなんか関係ねー」と野球選手が口にしていたり、アメリカへの憎悪で野球をする氏家が大リーグ打倒を目指すアストロ球団にビーンボールを多投とか、監督のシュウロは途中で消えちゃうし・・・・・・やっぱり、ツッコミどころ満載でして。


毎度毎度、負傷者続出。
とてもではないが野球など続けられる状態ではないのだが、「男だろー!」で乗り越えてしまう、お約束展開。

バロン森なんか、最初は卑劣な作戦を駆使するオカマキャラだったのだが、「男だろー!」を繰り返しているうちに、すっかりアストロ球団らしいキャラになってたしなぁ・・・・。


が、これが週刊連載の醍醐味でもあるからね~。

【田中圭一のペンと箸-漫画家の好物-】第13話:『アストロ球団』中島徳博とゆずごまラーメン

物語全体を俯瞰することよりも、とにかく「その場その場の盛り上がり」を重視した結果として、「一話完全燃焼」になったんだろうなぁ。

そして、超絶スポーツものとして「キャプテン翼」や「テニスの王子様」、大仰な熱い語りとして「男塾」などに引き継がれていったんですかねー。

アストロ球団 (第1巻)
by カエレバ

2016年5月24日火曜日

「とと姉ちゃん」の視聴率が良いということに混乱している視聴者たち


今週で、第8週目ですか。

「常子、職業婦人になる」だそうです。

とりあえず、そこまで見た感想です。


放送前まで


高畑充希さんは、渡辺謙さんの娘・杏さん主演「ごちそうさん」でも好演。

そして、現代モノに比べて、戦前から戦後という時代設定は、朝ドラのド定番で大得意。

さらに、実在の人物をモデルにした作品は、「ゲゲゲの女房」「カーネーション」「花子とアン」「マッサン」「あさが来た」と、おしなべて評価は悪く無い。

主題歌は、復帰したばかりの宇多田ヒカルさん。


しかも、主人公は三姉妹の長女。
「アナ雪」以来のヒットの方程式であるダブルヒロイン(「花子とアン」「朝が来た」)を超える、トリプルヒロインか?

おいおい、こりゃ、穴がないぞ。

・・・・・・・と放送前までは、思ってました。


実際に放送が始まって


「とと姉ちゃん」というタイトルは、お父さんを早くして亡くした家で、長女が父親代わりに奮闘するということで、つけられたアダ名。(とと = 父)

だから、父親は物語が始まって早々に病死。(早く死なないと、ストーリーが動かねーよ)

以降、高畑充希さん演じる「とと姉」が一家の支柱、物質的には無理でも、精神的な支柱になるのか・・・・・・、ならないね。
うん、別にならない。

一応は長女として頑張っていはいるけど、父親代わりというほどではないよなぁ。


まぁ、別に、タイトルに期待していた展開がされなくても、いいんだけどね。


優等生キャラか・・・・・


で、物語ですから、いろいろと問題・アクシデントが発生する。

主人公が、どのように乗り越えるか or  対処するのかが、朝ドラにおける見所。

前作「朝が来た」では、主人公の「あさ」が、女性らしい発想としなやかさで、いろいろな問題と取っ組み合い、「マッサン」は旦那が我武者羅に働きつつ、それを支える外国人妻の健気さがウリでした。

さて、「とと姉ちゃん」ですが、けっこう単純な「優等生キャラ」だね・・・・・。

「至誠天に通ず」とばかりに、「頑張れば、周りの人たちは理解してくれて、手助けしてくれる」という展開。

問題作「純と愛」において、さんざん否定されたヤツです。


第一週において、病に伏せた父親に花見をさせてやろうと、職場の人間も手伝ってくれるというエピソードを皮切りに、基本、このライン。

うーむ、好きな人は好きなんだろうけど。

タイトルに書いたように、王道な展開に安心する人が多いからこその安定した高視聴率。
一方で、「今時、これかい」と戸惑う人も多いようですなぁ。
(私の周りでは、三十代から六十代まで、まんべんなく「イマイチ」という感じ)


転校後の同級生にしても、住み込みで一緒に暮らすことになる「森田屋」の人にしても、「登場時は嫌な人」だけど、主人公の誠意が通じて、理解者へ。
それだけではなく、あちらから勝手に手助けしてくれるようになるという、初対面の最悪な印象からは、とても考えられないような人物に豹変。

その流れが、もう少し、じっくりと描かれるなら納得もできるのだろうけど。

ストーリー展開が早く、視聴者を飽きさせないのはいいんだけれども、結局、一つ一つのエピソードが「ありがち」で、その処理も「安易」な感じがしてしまうよなぁ・・・・・・。


たとえば、祖母と母との和解という重要な回で、末妹が川に落ちるって。

川べりで遊んでいるあたりから、「落ちるなよ、落ちるなよ」と、思わず風呂の前に立つ上島さんを見ている時のように願ってしまったのは、幼女がおぼれる悲劇的なシーンが見たくなかったというよりは、テンプレート的な筋が予想出来てしまい、ダチョウ倶楽部さんであれば、その後の展開もゲラゲラなのだが、しかし、まぁ、末妹は、やっぱり落ちてしまい、さっくり助かり、それが契機になって和解成立という予定調和。

NHK朝ドラの主人公は作品の序盤で必ず水に落ちるそうですが

「川に落ちる」ということ自体は朝ドラのお約束なのだが(「おしん」の堕胎のシーンが、脚本家の脳裏に刷り込まれてしまったのだろうか?)、ただ、それをどう組み込むかは、ある意味「見せ場」。

なんだけれども、「とと姉ちゃん」では、「ありがち」な、偶発アクシデントにしてしまっているのは、このドラマを象徴しているような気がするね~


で、反優等生ドラマ「純と愛」において、川(水)落ちエピソードは、どんなだったかというと、若年性アルツハイマーの妻を助けようとして、父親は溺死という流れでした。

「結局、助かるんだろ?」という視聴者を裏切る、さすがのストーリーです。

が、「純と愛」の場合は、他にもいろいろと衝撃的だったので、これくらいは平凡に思えてしまえるから、どうしたもんじゃろのぅ。

まぁ、「とと姉ちゃん」のテンプレートな物語にご不満な方は、「純と愛」を見るなり、思い出すなりすると、いろいろなことが「まぁいいか」と優しい気持ちになれるのではないかと。


とりあえず、宇多田ヒカルさんの新曲は、いいですね!


花束を君に
by カエレバ

2016年5月23日月曜日

映画「ボーダーライン」の感想



世界中でゾンビブームですが、アメリカでは、同時進行でメキシコの麻薬戦争(ドラッグカルテル)ブームなようで。

取り締まりやら、内ゲバで、年に一万人死んでいるとか。
一日、30名?

・・・・・・日本人からは、なかなか想像し難い現実ですな。

「ボーダーライン」は、こんな話し


で、見てきた「ボーダーライン」。

FBI捜査官ケイト・メイサーが、誘拐事件の強制捜査をするシーンから始まります。

そこで、ドラッグカルテルという存在に直面。


これをきっかけに、主人公は、CIAの麻薬捜査に協力することに。

が、「捜査」とは言うものの、彼らのやり方は違法行為ばかり。

ドラッグカルテルの犯罪は目を覆いたくなる非道さであったが、一方、CIAの行為も無法であった。

主人公のケイト・メイサーは、その二つに苦しめられることになるのであった・・・・・・。

なんだか中途半端だったね


筋立てから分かるように、主人公は優等生。
だから、二つの悪に苦しめられる。

が、優等生過ぎて、見ていて、ちょっとイラッとしてしまう。
しかも、ドラッグカルテルについて、何も知らない。

まぁ、主人公が物を知らないのは、映画の観客と同じ目線である為だというのは分かるよ。
そのこともあって、主人公は凄腕捜査官という設定だけど、線の細い女性。

マッチョだと、親近感はわかないだろうからね~。(中にはわく人もいるだろうけど、多数ではないよね)


でもさ、麻薬戦争の真っ只中に、大した説明もなく、そんな素人をいきなり投入するって、どういうこと?

危険過ぎるだろ。

その疑問は、最終的には合理的な理屈がつけられるんだけど・・・・・・、それにしも強引だったな・・・・・。


そして、ラスト。

登場から、ずっとミステリアスだったキャラのネタばらし。

「ここで終わりか、なんかモヤモヤね」と思ったら、以降、そいつが大活躍。いきなりの主人公交代。
で、彼の銃弾が当たる当たる。百発百中。

物凄い危険な場所に乗り込んでいるはずなのに、あっさりと一人で制圧。

うーん。


同じ麻薬を扱った映画の「トラフィック」では、見終わった後、アメリカ社会における麻薬問題の根深さを理解することができたけど、「ボーダーライン」は、そこまで深く描かれてはいない。

また、「ゼロ・ダーク・サーティ」のようなリアリティはない。

リアリティがないならないで、娯楽作品に徹して、トム・クルーズ映画のようにしてしまうという方法もあるのだろうが、それもなし。

なんか中途半端だったな。



Sicario
by カエレバ

2016年5月15日日曜日

映画「スポットライト」の感想


「スポットライト」を見てきました。

第88回アカデミー賞にて、作品賞&脚本賞を受賞しているので、つまらんわけないだろうなぁとは思っていたけど、安定の面白さ。
ハリウッド映画の層の厚さは、まぁ、すごいね。

概要


強引にジャンル分けすると、「大統領の陰謀」と同じタイプです。

報道記者たちが、どのようにしてスクープをものにしたかを、なぞるお話。

で、そのスクープ対象なのだが、カトリック教会による児童の性的虐待事件。
カトリック教会の性的虐待事件 - Wikipedia

世界的(この場合の世界は「欧米」だが)な大スクープとして報道されたのですが、日本では知る人ぞ知る程度ですかね?

その報道の端緒となった日刊紙「ボストン・グローブ」の取材開始から、スクープ記事が掲載された初日までの過程が描かれています。

冒頭からの流れ


「上手だな」と思ったのは、物語の始まり。

「アオイオノオ」をハリウッドで実写化するとしたら、「庵野秀明さんは、この人に演じさせるしかない」という編集長が就任したところから。(庵野さんのように朴訥なしゃべり方ではないです)

この新編集長というのが、地元ボストンの出身ではない。
言うなれば落下傘候補でして、上の都合で配属された人。
しかも、ユダヤ人でユダヤ教徒。

しがらみのない人間なんだよね。


そんな彼が、一神父による児童の性的虐待事件に興味を持つ。
周囲は、あまり乗り気ではない中、根深い問題があるのではないかと、特捜班である「スポットライト」チームに、取材を依頼する。


ネタバレ。

最終的には、多くの問題神父が存在していたのに、教会は、その都度、事件をもみ消してしまっていたことが露呈するのだが・・・・・。


この作品、「児童の性的虐待」という、欧米では非常にナーバスな問題。
(■2歳の息子と風呂に入った父親が大炎上、児童虐待だと厳しい批判も _ ユルクヤル、外国人から見た世界)

センセーショナルな組み立ても出来たのだろうけど、虐待されているシーンを描写するようなことはしない。
被害者も、成人した人間のみ登場。

また加害者にして、極端なモンスターには描いていない。(なんだか不気味な神父が一人だけ登場するけど)

基本的には、取材班と取材対象者との描写(演技)で、問題の重大性をあぶり出していく。(そういう脚本と演技力が、まぁ、さすがハリウッドなんだが)

そして、性的虐待事件を扱いつつも、もう一つの問題をあぶり出していくわけで、それは、新聞社には、何度なく被害者や事件の関係者からのリークや依頼がありながら、黙殺していた事実。

膨大な被害者がいて、よくよく調べてみると、異常なことが溢れていたはずなのに、教会という地域の良心・道徳を扱う場所が、まさか児童を虐待するような神父を大量に抱えているわけがないという常識(偏見)にとらわれてしまい、結果、見過ごしてしまっていた。

地域とはまったく縁もゆかりもない、庵野秀明監督似の新編集長が赴任するまで、事件に「スポットライト」が当たることはなかったわけでして、この冒頭からラストまでの流れが、・・・・・・上手よね~。


で、まぁ、事件を追っている中で、教会からの圧力があったり、911が発生してスタッフを割かなくてはいけなかったり、他社に出し抜かれるのではないかという疑心暗鬼で記事の発表時期をめぐって内輪揉めが発生したりと、・・・・・・真摯に主題に向き合っているけど、無理のない起伏をつくって、観客を退屈させないようにしているのは、ホント、上手よね~。


スポットライト 世紀のスクープ カトリック教会の大罪
by カエレバ

2016年5月14日土曜日

大根仁監督「バクマン。」



大根仁監督の「モテキ」は、テレビも映画も、楽しく見ました。

で、その大ヒットのおかげなのか、漫画「バクマン。」の実写化にも起用され。

「モテキ」のクオリティーからすると、まぁ、大きく外すようなことはないだろうなぁとは思いつつ、なかなか機会がなく。
ようやくネット配信で見ました。

こんな映画


予想を裏切られることなく、長大な原作を、うまーくエピソードを取捨選択して、二時間に収めてました。

ほぼ原作通りのキャラと外観。


担当の服部さんだけ、原作では「現場をある程度経験した有能編集者」でしたが、映画版は、「まだまだ経験不足」という感じ。

まぁ、二時間という短い時間で、あれこれ的確な指示ができる編集者がいたのでは、主人公たちの自律性が損なわれるからなー。
青二才の主人公たちと同じく、彼も成長していくキャラにしたのは、当然と言うか、妥当と言うか。


映像にしても、冒頭における「少年ジャンプ」についての説明から始まって、漫画の描き方や実際に描いているシーン、アンケートシステム等が、CGと実写を融合させて描かれており、、「せっかく映画だしね」という贅沢、かつ分かり易い。

また、ライバルである新妻エイジとのアンケートでの人気争いも、同じくCGを用いつつ、実際のバトルにしてしまうのは、巧み。

音楽も素晴らしく、映像も綺麗、物語のテンポは良く、「モテキ」と同じくエンディングまで趣向を凝らしていて、さすが大根仁監督だったのですが・・・・・・・。

漫画原作の難しさ


が、・・・・・・・映画を批判したいわけではないのですが、物語に無理があるよなぁ。

原作がそうだから、仕方ないんだが。

高校生でデビュー、そのまま週刊連載って、あまりに非現実的。
漫画なら「まっ、いいか」となるのだが、実写にしてしまうと、途端に違和感バリバリ。

せめて大学生くらいなら、「あるか? あり得るか?」なんだろうが、これやってしまうと、原作無視&原作レイプという批判が飛んで来るのは目に見えているし、しかも、亜豆美保との関係性も微妙になってしまう。

そもそも、「主人公の作品がヒットして、アニメ化するまで結婚しない」という二人の現実離れしたやり取りは、高校生が限界だよね。(高校生でも、「ちょっと・・・・」ではあるけど、まぁ百歩譲って)
大学生でそんな夢語っていたら、「ぐーむ」となってしまうもの。


そして、現実に高校生を続けながらの漫画家生活が、主人公の肉体を限界に追い込むわけで、無茶な設定の結果として当然の帰結というところが妙なリアリティだなぁ・・・・・。

まぁさ。ここらへんが、「あしたのジョー」における力石設定(■あしたのジョーの登場人物 - Wikipedia)みたいなもので、マンガの醍醐味・ダイナミズムなんだが、再三再四言っているように、実写化してしまうと、「うーん」。

で、その「当然の帰結」を、ジャンプ三原則の「友情・努力・勝利」で乗り越えたことになっているけど、ぶっちゃけ根性論でして。

対象年齢を考えろ、ということで


原作の「バクマン。」は、ジャンプのアンケート至上主義を舞台にして、バトル漫画のノリを展開させたことが、さすが ガモウひろし先生 大場つぐみ先生でした。

で、多くの少年誌のバトル漫画において、「世界を救わなくてはいけないのに、主人公は子供か少年なの?」というド定番のツッコミがありますが、まぁ、少年誌なんだからあたり前田のクラッカー。
メインの読者を喜ばせなくて、なにが漫画だ。


で、映画にしても原作準拠になるのは仕方ないわけで。

だいたいにして、この映画の想定される観客の年齢層は、学生さんか、原作の熱心なファンだろうから、間違っているのは私の年齢であって、「これでいいのだ ||:3ミ」なんだろうなぁ。



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