2014年11月2日日曜日

台湾映画「九月に降る風」の感想



台湾映画「九月に降る風」を見ました。


「日本では映画界に行くような才能が、漫画に行っている」なんてことは、よく言われます(かつてかな、今は言われないか?)。

台湾映画を見ていると、逆に、「日本なら漫画界に行っていたような才能が、映画に集まっている」のかな? と、この作品を見ても、思ってしまいます。

日本でも、「桐島、部活やめるってよ」なんかもあるし、そうそう卑下することもないかと思いつつも、台湾映画は、うまーく青春映画つくるな。

ハリウッドの青春映画も悪くないけど、やっぱ、バタ臭くて。台湾あたりだと、やっぱり儒教圏なのか、共感しやすいです。


ストーリーは、中高生にありがちな、ホモソーシャルな仲間たちが、ちょっとしたすれ違いの重なりで、バラバラになっていくというお話。


面白いのは、台湾のプロ野球賭博事件の進展と、彼らの関係が破壊されていく姿が重なりあっていること。

子供の夢であるプロ野球の世界が、所詮は、汚い金と絡んでいるという現実。

つまりは、青春を謳歌している彼らだけども、薄皮一枚で、ドロドロとした現実(未来?)が待っているという暗喩になっているんだよね。


で、まぁ、ネタバレになるんだけれども、途中で、主人公が親友と事故るんだよね。

主人公は軽傷程度で済むけど、相方は頭を打って、植物人間になってしまう。

・・・・・・・まぁ、人、好き好きあるんだろうけど、「唐突な事故からの植物人間」って展開は、うーむ。

それ以外は、けっこう、ちゃんと「青春あるある」、または「あるかも」的なエピソードを積み重ねているのに、ここで、一気に悪い意味での「マンガチック」になっちゃうんだよね。

物語なんて、所詮は偶然の積み重ねだったりするんだけれども、交通事故って、やっぱり安易な悲劇に思えてね。(実際の交通事故は、当然、悲劇ですけど)


まぁ、「病気」「事故」「夭折」こそ、青春映画! という人もいるだろうから、これはこれでいいのかもしれんけど。個人的には、なんか・・・・ね。


さらに大事なネタバレだけど、最終的には、目覚めないで終わる。変にご都合主義でなかったので、良かったけど。

正確には、死んだのかな?
(難癖をつけると、これはこれで、ご都合主義で殺した気もするけどね。)


そんな感じで、親友は目覚めること無く、仲間とはバラバラ。後味悪いです。

でも、一応、希望がある所は、主人公と親友にとって英雄である「廖敏雄」に、最後に出会えたところ。

なんで出会えるのかと言うと、親友が植物人間になる前に、「廖敏雄」のサインボールを偽造していたんだよね。

高校生にもなって、そんな阿呆なことを、どうしてやったのかと言うと、単純に主人公を喜ばせたかったのかもしれないし、親友の幼稚さに主人公が呆れ始めていることを敏感に察知にして、彼をつなぎとめようとした風にも見える。

いずれにしろ、「偽」なんだよね。

でも、まぁ、「瓢箪から駒」とでも言いますか、この「偽」から、「真」に出会えてしまう。

どんなくだらない青春(偽)でも、意味(真)はあるんだ! というメッセージなのかな? と僕は思ったけど、さて、どうなんでしょう。


でも、スーパースターである「廖敏雄」も、野球賭博にかかわっっていたというところが、やっぱり皮肉がきいているけどね。


台湾映画の感想。
魅惑の90分映画「藍色夏恋」
映画「あの頃、君を追いかけた」に、身悶えする

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2014年10月31日金曜日

THE NEXT GENERATION パトレイバー/第3章



人質になった隊員救出がメインの第四話。
南海で見つかった謎の生物にまつわる第五話。


四話の感想としては、ロシアから研修できている、という設定のカーシャが大活躍なんですが。
彼女、ミズタクこと松田龍平の奥様なのね。

さすがイケメン、奥様もお綺麗で。
白兵戦のシーンも、美しく舞ってました。


それ以外の感想は、やはり、今回も緩い。
バトルシーンは、力入れてやっているのが分かるけど、人質になった隊員たちが、拘束もされずに自由気ままにしているという、このリアリティのなさ。

後は、レイバーをおとりにして、背後から急襲というのは、初期OVAのまんま。

ここらへんも、わざなんだろうね~


五話。

「レイバーと怪獣」は、漫画、アニメ、ついには映画にまでなったわけでして、まぁパトレイバーシリーズのお約束。

特撮には思い入れがないので、いろいろとパロっているんだろうけど、正直、いまいち理解できず。

ストーリーも、やはりいい加減。

慰安旅行にきていた第二小隊が、なんとなく怪獣騒ぎに巻き込まれるという、やはりリアリティのない展開。


相変わらず、くだらなくて、とても良いです。


過去の感想
THE NEXT GENERATION パトレイバー/第1章
THE NEXT GENERATION パトレイバー/第2章

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2014年10月30日木曜日

西川美和監督「夢売るふたり」を見て、どうしようもない不安が襲ってくる



西川美和監督の作品は、「ゆれる」にしても、「ディア・ドクター」にしても、見ている人の価値観が試されるような映画ですが、「夢売るふたり」は、前二作以上でした。

ネタバレですが、開始早々、夫婦で営んでいる酒屋が火事になってしまい、せっかく築いた夢の城を失くしてしまった旦那が、やさぐれて、ろくに働きもせずに昼酒。

しまいには、真面目にバイトに勤しむ妻を詰るといったダメ人間化。それが開始二十分くらい。

さすが、西川美和監督でして、妙に迫るものがあって、見てられない。
鑑賞諦めて、録画しておいた「タモリ倶楽部」に逃げちゃったよ。


つまんなくて見るに耐えないということは往々にありますが、この作品の場合は、痛々しくて見てられない。

小説にしろ、漫画にしろ、映画にしろ、まるで男性社会への復讐のように女性が女性自身を露悪趣味で描くことが往々にしてあります。

まぁ、この映画も、その路線なんだけれども、凡百の作品とは違い、松たか子さんの怪演もあって、メーターが振り切れている感じ。

僕が男性だからなのか、どうにもツライ内容でした。
女性が見ると、また違うのかな?


この映画の筋立てで秀逸なのは、結婚詐欺を題材にしているけど、「男が女を騙す」や「女が男を騙す」ではなく、「夫婦が女を騙す」というところ。

どんなに立派な仕事をしていようとも、結婚や出産を経験していない女性というものは、世間では、まだまだネガティブに捉えられてしまいがちです。

時には、世間が思う以上に、本人が、そう思ってしまったりもします。

で、自らの人生に、どこか欠けているものがあるのではないかと恐れて生きている女性に対して、埋め合わせをしてくれるのではないかと思わせるような男があらわれるわけでして。
もしかしたら、お金でもって解決ができるのではないかと思ってしまい、ついつい差し出してしまう。

この行為が、つまりは、騙す側、資金を得る側からすると、「夢を売る」です。


単純に男性が一方的に女性に売っているのではなく、夫婦で売ることで、物語に異様な緊張感を持たせています。

特に、途中から登場する、「一般的には女性的な魅力に乏しいと評価されてしまうような容姿を持った」(←言葉って便利です)ウエイトリフティング選手の女性に対して、松たか子は、「いくらなんでも、これは無理ね」と言ってしまうのですが、それに対して、旦那の阿部サダヲが、「そんな言い方ねーだろ」と怒るシーンなんかは、もう、なにがなんだか。

つまりは、松たか子からすると、こんな不細工な女は、「女としての」夢を見る権利もないと断罪したわけでして、一方で、旦那の阿部サダヲは彼女にだって「女としての」夢を見る権利はあると主張しているんだけど、じゃぁ何をするかというと、結婚詐欺なわけでして。

この二重三重に倫理的にややこしい展開、そして男女の対立に、なんか、もうグッと疲れます。


で、この夢を売って(結婚詐欺)手に入れた資金で、なにをしたいのかと言うと、炎上してしまったお店の再建。

これも、また「夢」なんだよね。

でも、それは旦那の阿部サダヲの「夢」であって、妻の松たか子の「夢」かと言うと、ちょっと微妙。


それは自分でも自覚しているようだけど、「なんで、そこまで旦那に固執するの?」というのは、どうにも、映画の中には答えはないようです。

強いて言うと、この社会が、未だに暗黙裡に女性に強制していることなのかな?
妻は黙って、旦那に付き従うもの。


で、最終的には、お金も集まり、阿部サダヲが理想とする店が開業できそうになるけど、・・・・・・が、最後の結婚詐欺で、ヘマをしてしまう。

阿部サダヲは、母子家庭の家に入り込むため、得意の料理をするべく、店の再建を象徴する「包丁」を持ち出してしまう。

で、すっかり、そちらの家が居心地が良くなってしまった阿部サダヲは、松たか子のもとには帰ってこない。

彼にしてみれば、相手の家庭を信頼させる為だったのかもしれないけど、松たか子からすると、それは許せなかった様子。

独身の女に言い寄る分には我慢もできるけど、父が不在の家庭に、父親代わりになろうとするのは、彼女の中では一線を越えていると感じたようです。

結婚したら子供を持つべきというのは、それもまた、未だ日本社会が暗黙裡に女性に強制する観念でして、子供のいない松たか子からすると、阿部サダヲのやろうとしていること、度し難い背信行為だったのかね?


で、ラストですが、因果応報的に、阿部サダヲが逮捕されて、刑務所へ。

松たか子は、どうしたのかと言うと、僕の解釈では、刑務所の近くで働いているように思えます。

結局は、旦那と離れられないということを暗示しているのか?


一方で、最初に阿部サダヲにお金をくれた女性には、郵送で返金している。

最初のお金って、騙し取った(夢を売った)わけではなく、炎上してしまった店の常連さんが、お店の再建資金にと、くれたもの。

つまりは、この場合だけは、店の常連さんが、阿部サダヲの夢を買ったんだよね。

で、そのお金を返したのは、おそらくは逮捕された阿部サダヲではなくて、シャバにいる松たか子のはず。

すると、夢が実現したのではなく(お店の再建は失敗して、夢は実現していないからね)、もう必要ないから返金した、ということなのかな? こう考えると、二人は別れた、ということになるのだろうけど。

さて、うーむ、分からん。


とにかく全編にわたって、痛々しい映画でした。
まぁ、面白いんだけど、見るのがしんどかったです。



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2014年10月26日日曜日

松井優征「暗殺教室(11)」の感想



アニメ化&実写化が決定した「暗殺教室」。

こうなるのは時期が早いか遅いかの問題でして、クロリティが高く、人気がある作品ですから、当然の流れですなー。

でも、まぁ、実写化は、ちょっと意外というか、無謀というか。


早速、ビッチ先生が韓国人アイドルということで、ネットではもめているようで。

作品見ないで批判するのは良くないですが、確かにロシア人という設定にアジア人を当てるのは、・・・・・まぁねー。

いっそ、金髪という設定をぬいて、「謎のアジア人」にしてしまうなら、分かるんですけど。

公表されたキービジュアルでは、パツキンのズラかぶっているんだよね。うーん。

いろいろと、大人の事情があるんでしょうけど(注「また韓国がゴリ押しをしてきた! 日本のエンターテイメント業界は韓国に支配されている!!」という被害妄想ではないです)。

実写化って、難しいね。


それは、ともかく。


漫画の「暗殺教室」ですが、ある意味(←便利な言葉)現代漫画のトップと言える作品ではないでしょうか?

「破天荒な教師と、悩みを抱えた生徒たちとの群像劇」という伝統的な教師モノの型を舞台にして、ギャグ、人情、格闘、頭脳戦、友情、スポ根、微エロ、恋愛、パロディ、・・・・・・いろいろな要素がぎっちり入っています。

幕の内弁当とすれば、和洋中、魚肉野菜、米麺パン、和菓子洋菓子フルーツ、全部入っているという感じです。

これだけ詰め込むと、普通なら味が混ざって取り返しのつかない結果になるんだけど(邦画の大作にありがちですが)、「暗殺教室」は、ちゃんと筋が通っているのが、すごいというか、巧みというか。


ただ、11巻は、あんまりストーリーに進展はなく。長期連載を見据えて、引き伸ばしにかかっている感はあります。

別に、「つまらん」というわけではないのです。


最終的には、殺せんせーの正体が分かって、暗殺が成功し、生徒全員の問題が解決して、ハッピー! になると、多くの人が予想しているのでは?

で、おそら、僕以外の、く多くの読者が違和感を持っているだろうけど、殺せんせーって、完璧な教師なんだよね。

生徒からも絶大な信頼を寄せられている。

その完璧な先生を殺さなくてないけないというジレンマが、まったく描かれていない。


生徒たちは、毎度毎度、いろいろと手を変え品を変えて、殺せんせーを襲うけど、彼がいなくなってしまう恐怖や不安、殺してしまう罪悪感は持っていない。

逆に言うと、完璧な教師だから、きっと「殺せない」という安心感が出来上がっている、ということなのかね?

最終的には、それが、暗殺への最大の障害になっていくような気がしますが、さて、どうでしょう?


個人的な予想としては、「暗殺には失敗するけど、殺せんせーが、生徒たちの力によって怪物化する前の姿に戻って、ハッピーエンド」ではないかと思っております。


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2014年10月25日土曜日

新川直司「四月は君の嘘(10)」の感想



一度はピアニストを諦めた主人公の有馬だったが、バイオリニストの宮園の導きで、もう一度、プロになるべく立ち上がる。

その一方で、宮園自身は病魔に蝕まれており、バイオリニストを諦めようとする。

今度は、有馬が宮園を導こうとする・・・・・・というのが、以前までのお話。


10巻では、有馬の努力によって、宮園が、もう一度、生きる努力をし始める。

で、二人の関係は深まっていく。

徐々に、自分の気持ちに気が付き始める有馬。

二人の関係の進展に苛立つ、有馬の幼馴染の椿。


ド直球な、三角関係が、顔面紅潮するくらいに、清々しいです。


しかし、やっぱり宮園かをりは、死にそうだね。

タイトルからすると、「四月」が命日になるのかな・・・・・。


新川直司「四月は君の嘘」を、1巻から5巻までの感想
新川直司「四月は君の嘘」を、6巻から9巻までの感想


四月は君の嘘(10) (講談社コミックス月刊マガジン)
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2014年10月23日木曜日

映画「NO」を見てきました


チリのピノチェト独裁政権を退陣に追い込んだCM作成を追った映画「NO」を見てきました。

セミドキュメンタリー・・・・とまでは、いかないのかな?

でも、派手さはなく、淡々と進んでいくので、序盤は、ちょっと寝そうでした。

が、内部の不協和音や対立がありつつも、政権側からの嫌がらせを乗り越えて、徐々に退陣への機運が高まっていくのは、やっぱり緊張感が出てきて、目が覚めました。


作品としては、羽目を外さない大人向きの作品ですが、それでも、「CMは、こんなにも効果があったんだ!」という流れなものですから、逆に、「そんなに効果があったのかね?」などと斜に構えて鑑賞してました。

見終わった後に、wikiを見ると、国際的な圧力によって実施されたピノチェト大統領の信任投票は「反対が56%、賛成が44%」ということですから、けっこう僅差。

なるほど、こういう筋立ての映画ができるのも納得。
(■アウグスト・ピノチェト wiki)


で、実際に流されたCMが、映画の中でも登場するのですが、当然ながら、ちょっと古くさい。

80年代のバック・トゥ・ザ・フューチャーが流行っていたころのような、「未来は希望に満ちている!」という前向きなテイスト。

映画の中では、この無専任なくらいの明るさは、戦略であったと明かされているのですが、それにしても、民主主義の現実ではなく、理想・希望にあふれていて、今見ると、なんだか、こっちが恥ずかしくなってしまう。

現代日本に生きる僕にしてみると、まぁ、この眩しさは、ちょっとむず痒いですね・・・・・。

2014年10月21日火曜日

「我妻さんは俺のヨメ(13)(完)」の感想


最終巻でした。(ギャグが薄かったな~)


メインヒロインである我妻さんの憧れである関文先生が、実は、主人公の青島と同じ、タイムストリップの能力があることが発覚。

未来の我妻さんと青島の関係を教えてくれるのだけれども・・・・・・、関文先生に、そんな能力があるなんて、伏線あった? と思わないでも。

そもそも、なんで、主人公の青島が未来を知ることが出来るのか、理由がなかったからね。
基本、ギャグ漫画だから、そんなもんかもしれないけど、一応、理由が欲しかったような。


後、高校三年のクリスマスに、我妻さんとキスをするという未来も、どっかに行ってしまった・・・・。

まぁ未来が変わった、ということなのか?


で、ストーリーですが、性格は良いけど、努力は嫌いというダメ主人公が、努力の結果、ヒロインに振り向いてもらえるような成果を上げ、「もしかしたら、付き合えるのかな?」てな感じで終わり。

ありがちと言えば、ありがち。
王道なラストでした。

過去記事
「我妻さんは俺のヨメ(12)」の感想


我妻さんは俺のヨメ(13)<完> (講談社コミックス)
by カエレバ