田舎の映画館なのですが、まだ公開から間もないこともあって、けっこう人は入ってましたね。
さすが、トム・クルーズ。
今年は、「ザ・マミー 呪われた砂漠の王女」も公開されました。
しかし、怪奇モンスターのアベンジャーズであるダーク・ユニバースとやらの口開けなのに、「大丈夫?」と、要らぬ心配をしてしまう、「なんだかなぁ」感の強い作品でした。
で、今作は・・・・・、うーむ、微妙。
予告編を見て感じるように、コメディタッチ。
なのですが、CIAの仕事を隠れ蓑にして、麻薬の運び屋をやっていたという、まぁ、実際には、冗談にならないようなシリアスでハードな稼業をしていたわで、トム・クルーズのスター性をもってしても、どうしても乖離が出てしまう。
これがフィクションであれば、「なんだかんだで、ハッピー♪」というオチもあろうけど、実際にあった話をもとにしているからねー。
そうそう、ウソもつけないわけでして。
だから、どんなにコミカルで陽気なシーンでも、「最終的には、破滅しかないよね」と観客としては先取りしてしまい、どうにも単純に楽しめない(し、ラストは案の定だった)。
シリアスな物語に構築することも可能だったろうに、・・・・・と言うか、普通につくったら、そうなるタイプの題材だよね。
ただ、まぁ、あまりにもぶっ飛んでいるから、「コメディで撮ったら、面白いのでは?」と思った製作者の思惑も理解できるけど。
マネーロンダリングをする暇もなく、膨大な紙の束が、家中にゴロゴロしていた状況なんかは、「こりゃギャグだな」って思っちゃうよね。
そして、まぁ、製作者として、最終的には、政治風刺にしたかったんだろうなぁ。
冷戦下における中南米の複雑な国際環境下で、政治家(共和党・保守・タカ派)は安易に火遊びを試み、それを支える官僚(CIA)の走狗としてバリー・シールがいたわけだが、国民を欺くような汚れ仕事故に、つけこまれる隙があり、まぁ、それが、副題の「アメリカをはめた男」となるわけだ(正確には、「アメリカ政府をはめた男」になるのだろうが、それだと、キャッチーさが薄れるよね)。
だから、劇中のバリーは、「汚れ」の割には、家族思いで愛妻家。
手下には高圧的に接するようなこともなく、「稼業」こそ、どうしようもないが、ものすごーく「悪い人」としては描かれていないわけで、だからこその、コメディタッチなんだろうし、製作者としては、本当の「悪人」は「バリー・シール」ではなく、物語の背景にいる政治家と匂わせたい為にも、原題は、「American Made」(アメリカ製・アメリカ産)という、強烈な皮肉となっているんだろうなぁ。
そして、劇中ではレーガン政権への批判となっているけど、・・・・・・イラク戦争も、保守系の政治家たちの幻想と願望によって引き起こされた失策という構図を継承しているわけで、ここらへんは、さすがリベラルの牙城ハリウッド。(来年あたりからは、反トランプ映画が、続々と出て来ることでしょう)
と、まぁ、そんな製作者の意図通り、いろいろと勉強にはなる作品ではありました。
が、やっぱり、実際の「稼業」とトム・クルーズ演じる「キャラ」との差が、どうにも埋まらず、映画的な感動やらカタルシスには薄いよなぁ。
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