2015年11月17日火曜日

台湾の民主化運動を下敷きにした「GF*BF」の感想



台湾映画の「藍色夏恋」が、好きでして。

その主演だったグイ・ルンメイ(桂綸鎂)が、「GF*BF」でも高校生役をしているというので、見てました。

撮影当時は20代半ばくらいかな?
「美人さん」というよりは、「可愛らしい」顔立ちなので、ちゃんと高校生に見える。大したものです。(「藍色夏恋」とは、違った女子高生像になっているし)


で、「GF*BF」というタイトルですが、原題は「女朋友 男朋友」(朋友 = 友達)。「girl friend」の略でGF、「boy friend」の略でBFですから、まんまです。

GFが、グイ・ルンメイ。BFで登場する男性二人が・・・・・、物凄いガタイがよろしい。とても、高校生には見えなかったですが、まぁ仕方なし。


で、お話しの流れですが、台湾映画では定番感のある、同性愛を加えての、三角関係。

林美宝(女)は、(幼馴染なのかな?)陳忠良(男)が好き。

陳忠良(男)は、王心仁(男)が好き。

王心仁(男)は、林美宝(女)が好き。


で、ネタバレ。

林美宝は王心仁と付き合うことになるのだが、陳忠良を想いを引きずっている為か、うまくいかず。
二人は別れて、王心仁は結婚。
なんだけれども、すっぱりと切れることはできず、体の関係がズルズルと続く。

陳忠良は、男性の恋人を手に入れるが、彼には家庭がある。
が、林美宝が日陰の女として生きていることを知り、自分の境遇の情けなさを痛感。

自分もこんな恋愛を止めるので、お前も止めろと林美宝に忠告する。

で、林美宝は陳忠良と別れるのだが、彼女は妊娠をしており、また同時に病気も患っていた・・・・・。


まぁ、こんな流れでした。

特徴的なのは、台湾の民主化運動を背景にしているところ。

「海角七号 君想う、国境の南」では、かつての日本統治時代の悲恋を背景にしていたけど、こちらも、微妙な問題を果敢に扱うなーと感心。

が、「海角七号」にしても、今作の「BF*GF」にしても、軽い。
「いいんか、これで? 当事者たちから、軽薄な描き方だ! と文句が出ないの?」と、ちょっくら不安になってしまう。


邦画で学生運動を扱うと、連合赤軍事件が想起されてしまい、こういう風には、描けないよなぁ・・・・。

なんとなく覚えているのは、三田誠広さんの「漂流記1972」なんかは、軽いタッチで書かれていたような気がするが(もう、おおかた忘れちまった)、あれが作品として成功だったかどうかは微妙かな?

最近だと、「坂道のアポロン」なんかは、学生運動を絡めて描いていたけど、やっぱり重苦しい時代の雰囲気を醸し出す装置して使われていたなぁ・・・・・。


別に重いから良くて、軽いから悪いとはならないのではないわけでして。

ちょっと面倒な素材であっても、「えぇーい、使っちゃえ!」とばかりに物語に組み込んでしまう「軽さ」が、台湾映画の貪欲さでもあるわけでして、これはこれでいいんでしょうけど。


それよりも、病気という処理が、どうにも安直なような。(「事故」と「病気」は、青春映画のお約束ですが・・・・・)

ラストの枠に収めるために、無理に引っ張ってきた感が強かった。(一応、林美宝が、お腹をさすっているシーンが伏線なんだろうけど)

特に、子供を産めば死ぬと分かっていて、どうして、林美宝は、出産という選択をしたのか?

新しい命は、自分の命よりも尊重されるべきだから?
王心仁を愛していたから?

うーん、どうにも納得できる答えが、ないような気がします。
だって、出産したら自分は死んでしまい、家族のいない彼女の子を育ててくれる肉親はいない。
無責任と言えば、無責任。


彼女にとっては、陳忠良は家族同然であったのかもしれないけど、それをアテにするというのも、なんかいい加減過ぎるような。

そして、陳忠良が子供たちを育てたのは、林美宝への友情?
彼女の愛情に応えてやれなかった、罪滅ぼし?

うーむ・・・・・。


一応、産まれてきた双子は、かつての彼らと同じように学校のやり方に抗議している。

まさしく「彼ら三人」の子供であることを象徴している。


現実には、学校への反抗を主導していた王心仁は、体制側に取り込まれてしまって、さらには、林美宝を愛人にしていた。
簡単に言えば、汚い大人になってしまった。

「でも、もしかしたら、新しい命こそが、あの時のキラキラと輝く青春時代を継承してくれるのではないか?」というオッサン・オバサン感泣の展開なんだが、やっぱり、なんか無理に収めたような気がしてしまうなぁ・・・・・。


台湾映画の感想。
台湾映画「海角七号 君想う、国境の南」
台湾映画「花蓮の夏」を見て
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映画「あの頃、君を追いかけた」に、身悶えする
台湾映画「九月に降る風」の感想
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