2014年10月14日火曜日

魅惑の90分映画「藍色夏恋」



「90分 映画 おすすめ」とかで検索すると、けっこういろいろと出てくるんだけど、「藍色夏恋」は載っていないので、ご紹介。

上映時間は、83分。
台湾映画。
制作は、2002年。もう十年以上前なのね・・・・。


邦題は「藍色夏恋」という、こっ恥ずかしいものになっていますが、原題「藍色大門」、英題「Blue Gate Crossing」。

超訳すると、「青春の門」てな感じか? こっちも、恥ずかしと言えば、恥ずかしいタイトルです。


ストーリーは、少女の一夏の恋を描いた、淡い作品です。

と、書いてしまうと、まぁ、ありきたりなんですが。


徐々にネタバレなんですが、同性愛の映画です。

ですが、この映画の秀逸なところは、同性愛を描きつつ、決して物珍しいものにはしていない。大仰にはしていない。

だからといって、オシャレ映画にして誤魔化してはいない。
その苦悩から逃げてはいない。


女子高生が、同級生を好きになる。

現代だって、異性を好きになるよりも、同性愛は、ハードルが高い。
まして十年以上前。

当然、それは、身近な人にも秘密にしなくてはいけない。


・・・・・・でも、思春期の恋愛なんて、異性愛者でも、そんなもんですよね。

だから、僕のような同性に性的な興味を持たないタイプでも、単なる野次馬的な「ゲヘゲヘ、同性愛の世界は、こうなっているんだ」という下世話な視点ではなく、共感をもって、この映画を見ることができます。


まぁ、おっさんなんでね。

表情のかたい線の細い少女が(ある意味、エヴァの綾波タイプか?)、孤独と戦いながらも、ひたむきに恋情を守っている姿は、グッときます。
(主役の女の子は、グイ・ルンメイ(桂綸鎂)。これがデビューとは思えないレベルの、いい演技をします。中国語が分からなくても、吹き替えよりも、字幕版をオススメします)


ラストも、程良いんだよね。

主人公は、意を決して、意中の子に告白をするんだけど、残酷にばっさりと断れてしまう。(まぁ、相手は異性愛者なんだから、そりゃ当然なんだけど)
ご都合主義を発揮すること無く、また変に温情をかけることなく、これがリアルな反応。


でも、もう一人の重要な人物である、主人公に恋してしまう少年とは、理解し合える。


で、ずっと不機嫌そうにしていた主人公の少女は、理解し合えたことで、鮮やかな笑顔になるんだよ。

そこから、思春期特有の一過性同性愛から異性愛になっていくようにも見えるし、同性愛者のまま異性の友人(理解者)を得たようにも見える。

同性愛者にすると、このラストは「逃げだね」「ねぇーよ」「こんなのファンタジー」となるかもしれないけど、まぁ異性愛者の僕からすると、九十分で、過不足無く、ちゃんとまとめたな~と感心。


ストーリーも巧みだけど、派手さのない音楽も良くてね。

また、台湾の夏の風景が、日本人には、新鮮。
十年以上前だけど、舞台は台湾の都市部だから、そこそこ発展しており、日本人からすると、そんなに違和感はない。

でも、やっぱり微妙に違う。
自転車やバイクが走り回る町中や、高校の校舎、アパートの屋上とか、やっぱり、異国。

そこらへんも、見ていて面白いです。


で、ベタ褒めしておきながら、なんですが、この映画を数人の知り合いにみせたところ、あまり、いい評価はいただけませんでした。

曰く「単調」だそうで・・・・・・。


うーむ。

なぜだ、なぜ、この映画の良さを理解できない。こんなに素晴らしい映画なのに。単調? そんなことないだろう。九十分という長さで、青春の孤独と愛を十二分に描いているじゃないですか? どうして理解できないんだ!? くそっー、おれは孤独だ!!

という、まぁ、ねじくれまくった中高生のような気分も、ちょっとだけ味わいました。


派手さはないので、普段、起伏のはっきりとした映画を見ているタイプには、受け入れ難いかな~?

アマゾンでの評価は高いんですけどね・・・・・・。


藍色夏恋 [DVD]
by カエレバ

0 件のコメント:

コメントを投稿