2014年8月13日水曜日

『惡の華』 第五巻 の感想。


徐々に破滅に向かい始める第五巻。九話と十話が入ってます。

・九話
ついに佐伯に体操着が盗まれたことも、教室をメチャクチャにしたこともバレてしまう。

主人公の春日は別れを切り出すが、それを拒絶する佐伯。


ここらへんが、なんで? とも思うけど、女のプライドなのかね?

仲村という存在を意識していなければ、まぁ、別れたでしょうな・・・・。


何度も書いているけど、佐伯というのは秩序・体制の象徴。

だから、混沌・反体制になびく春日は、佐伯には理解できない。というよりは、認めることができない。認めることができないから、手放す・・・・となるのではなく、逆に、引き留めようとする。

そこらへんが女のプライドであり、体制側の意地なのかな?


で、親にバレて家を出るわけだけど、そこで出会ったのが仲村。

そのまま、二人で町を出ることを決意。


・十話
で、なんの計画もなく、ただ、
山の向こう 何があるかな?
という漠然とした思いだけで自転車で走り出す二人。

が、金も装備もなく、雨が降り出したので、山を登っている途中で、二人とも道端で休憩。

そこに、嫉妬に狂った、というよりは、二人がくっつくのを認めたくない(それを嫉妬と言うのか?)佐伯が登場。

二人の女性があらわれて、互いに春日を自分の方に引っ張り寄せようとする。


で、春日が、どちらを選ぶかと言うと、
選べない… そんなことできない!
僕に選ぶ権利なんて無いんだよ!
と叫んで、どちらの女性も失望させるという、大変(しょーもない)男らしい逃げで終わり。


冷静に考えるまでもなく、金もないのに、仲村と一緒に町の外に出て、どうするんだ? ということなんだけど。

でも、春日は、佐伯を選ぶことは出来ない。


同じクラスだったけれども、春日にとって単なる想像上の存在(アイドル)だった佐伯を、現実のものとして、捉えられない。

それは、「惡の華なんて、おれも分からねーよ」と告白してしまったのと同じで、中学生の春日にしてみると、よく分からないけど、自分の幼い自尊心を満たしてくれるものでしかない(まぁ、そんなもんだけどね)。

佐伯に憧れていたのもポーズなら、また文学好きも単なるポーズに過ぎず、もちろん普通ならそれでいいのだけれども、仲村という強烈な個性の前では、その嘘を自覚せざる得ないわけでして。


てな感じで、中途半端な自分というものを突きつけられて、今回は終わり。


で、何度も考えてしまうのは、仲村は春日に恋愛感情はあったのかな?
ここまで見てきても、やっぱり、よく分からんね。

春日は、仲村に対して、少なくとも性的な対象として見てはいるけど。

佐伯が、ウブな春日を引かせるくらいに迫ってくるのに対して、仲村は、そんな彼女を小馬鹿にしていることからすると、仲良しこよしの恋愛ごっこを軽蔑しているのは確かなよう。


春日が、仲村も佐伯も選べないと叫んだ時に見せた表情は、ちょっとだけ「女」な感じがしたけど、どう感じるかは、人それぞれだからなー。


過去の感想。
『惡の華』 第一巻 の感想。
『惡の華』 第二巻 の感想。
『惡の華』 第三巻 の感想。
『惡の華』 第四巻 の感想。


『惡の華』Blu-ray 第五巻
by カエレバ

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