2014年7月2日水曜日

藤沢周「オレンジ・アンド・タール」


次に何を読もう? と本を探していて見つけた「オレンジ・アンド・タール」。

作者の藤沢周さんは、「ブエノスアイレス午前零時」を読んだことがあります。
これは、手放しの名作。

で、「オレンジ・アンド・タール」は、オードリーの若林さんが激賞しています。
若林さんも、たまに出てくるダークな一面が好きです。

なので、けっこう期待して読んだのですが・・・・・・、うーん、もう、こういう青春小説は、受容できない年になってしまったんだなぁと痛感。


本書は、2つの作品が掲載されているのですが、裏表の関係。

前半は、自殺した友人のことに悩む高校生の物語。

後半は、その高校生が崇拝していた二十代の青年、トモロウの物語。


前半では、時に哲学的なことを吐く、ミステリアスなトモロウのキャラが、際立っていました。


暴走族にスケボーで突っ込んだことを高校生から賞賛されると、
「いや……俺は、ただ、自殺しようと思ってただけだぜ」
藤沢周「シルバー・ビーンズ」
という感じで煙に巻いて、いっそう尊敬の念を集めたりします。

が、その半面、「なんで、この人、こんな生活しているんだ?」という謎が残ったまま。


それが、後半の小説で明かされるのですが、以下ネタバレですが、……………大学からドロップアウトして浮浪者のような生活をおくっているのは、県議会議員をしている父親への反発という、安っぽい動悸。

「もうちょっと、あるだろう・・・・・」と思ってしまったけど、まぁ、でも、読んでいるうちに思ったのは、「リアル尾崎豊って、こんなもんなのかもな」ということ。


まぁ尾崎豊はかっこいいけどねー。

でも、実世界においては、そうはいかないです。
父親なり社会への反抗を気取っているようで、第三者から見れば、単なる甘えの裏返しにしか見えない。

まぁ物語では、最後には父親の世界から脱したようだけど、その一連の流れに対して、どうにも共感は出来ない四十前の夜です。



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